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総合受信料への収斂を提言 NHK受信料制度調査会が報告書

NHK会長の諮問を受けてフルデジタル時代の受信料制度のあり方について検討していた「NHK受信料制度等専門調査会」(座長・安藤英義専修大学教授)が2011年7月12日,報告書をまとめ発表した。

同調査会は中期的な課題として,地上・衛星を区分せずNHK が提供する基幹放送サービス全体を一体のものとして捉え,当面は衛星付加受信料制度を維持しつつも,最終的に総合的な受信料へと収斂するよう,NHK全体の事業規模を見ながら調整していくことが,ひとつの有力な選択肢となると提言した。

インターネットについては,もはや一部の若者層のみが二次的に用いるメディアではなく,「伝統的な放送」の役割・機能を果たしうるメディアになりつつあるとの認識を示し,多プラットホーム化時代にはNHKは視聴者までコンテンツが到達する確たる保障の枠組みを検討する必要があるとした。そのうえで,財源負担については,公共放送の「コア的公共性」を代替するものである場合は,受信料的な負担を想定するのが相当であるとし,利用可能受信機の設置者を新たな受信料体系に組み入れることなどを提言した。

これに対して,民放連の広瀬道貞会長は7月21日の記者会見で,「受信料で行うならば,大部分の人がネットで視聴できる環境を整備しなければならない。そのためのサーバーなどを備えるには大変な設備投資が必要で,受信料によるコスト負担は高額になる。それらを考えると,NHKの仕事ではないと思う」と述べた。

奥田良胤