薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第17回) 議事録

1.日時

平成27年2月24日(火曜日)13時30分~15時30分

2.場所

旧文部省庁舎2階 第2会議室

3.議題

  1. 6年制薬学部への編入学・転学部について
  2. 質の高い入学者の確保と教育の質の向上に向けてのフォローアップ状況について
  3. 薬学実務実習に関するガイドラインについて
  4. その他

4.出席者

委員

永井良三座長、市川厚副座長、井上圭三副座長、稲垣美智子委員、乾賢一委員、生出泉太郎委員、太田茂委員、勝野眞吾委員、北澤京子委員、倉田雅子委員、野木森雅郁委員、橋田充委員、平井みどり委員、松原和夫委員、村上雅義委員、望月正隆委員、望月眞弓委員

文部科学省

寺門医学教育課長、平子企画官、丸岡薬学教育専門官、柴田技術参与ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省医薬食品局総務課 田宮医薬情報室長

5.議事録

【永井座長】  時間になりましたので、第17回目の検討会を始めさせていただきます。最初に、事務局から委員の出欠状況と配付資料の御確認、説明をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  本日、欠席は森山委員でございます。
 それから、本日は、オブザーバーとしまして、厚生労働省から田宮医薬情報室長に出席いただいております。
 それから、事務局でございますけれども、医学教育課長が交代しまして、寺門課長が着任しております。少し遅れてまいりますので、またよろしくお願いいたします。
 資料の確認をさせていただきます。まず配付資料としまして、会議次第が1枚ございます。続きまして、資料1として、「6年制薬学部への転入学・転学部について」の(案)、資料2としまして、「6年制薬学部への編入学・転学部に関する調査」、資料3としまして、その調査のまとめ、A3のものでございます。それから、資料4としまして、「6年制薬学部への編入学に関する追加調査」、資料5としまして、その追加調査のまとめ、これもA3のものでございます。それから、資料6としまして、「平成26年度 質の高い入学者の確保と教育の質の向上に向けてのフォローアップ状況」。それから、資料7としまして、これもA3ですけれども、平成22年度から26年度の「入学試験・6年制学科生の修学状況」。資料8としまして、横の表になりますけれども、「平成26年3月薬科大学6年制学科卒業生就職動向」、資料9としまして、「薬学実務実習に関するガイドライン」。資料10としまして、「各団体において取り組む事項」。資料11としまして、「薬学実務実習に関するガイドライン」の1枚ものでございます。それから、机上には緑色の冊子で、改訂の薬学教育モデル・コアカリキュラムの冊子、それから、前回までの会議の資料をとじたものがございます。
 不足等がございましたら随時おっしゃっていただければと思います。以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、本日は、前回、平成25年12月ですから、1年半前ですか、検討会を開きまして、それ以降フォローアップワーキング・グループにおいて御検討いただきました6年制薬学部への編入学及び質の高い入学者の確保と教育の質の向上について御議論いただきたいと思います。また、前回の検討会で決定いたしました薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂を踏まえまして、実務実習に関する検討状況について御確認をお願いしたいと考えております。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入りますが、まず6年制薬学部における編入学等について御議論いただきます。各大学に調査を行っているということを前回の検討会で御報告いただきました。その後、各大学からの調査結果を踏まえましてワーキングで御議論いただいて、提言案をまとめていただきました。この提言案は、本日御議論いただいた後に検討会の決定として各大学に周知してまいりたいと思います。まずは、事務局から御説明をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  フォローアップワーキング・グループにつきましては、井上副座長に主査を務めていただきまして、前回の検討会以降議論を行っていただきました。編入学に関するフォローアップにつきましては、受入れ年次、出身学部、人数等の実態ですとか、既修得単位の認定方法等について適切かどうか確認するということと、それから、問題点や注意すべき点について議論を行ってきていただいております。少しお時間を頂いて資料の説明をさせていただきます。
 まず初めに資料2を御覧いただきたいと思います。これは前回の会議でお配りしているものですけれども、各大学の編入学・転学部の人数ですとか、単位認定方法の実態について調査をしたときの調査の資料でございます。
 この結果をまとめたものが資料3でございます。この資料3につきましては、既にメールでお送りしており、また時間の関係もございますので、簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 この資料3の項目でございますけれども、左側から大学名、学科名がございまして、それから編入学年度ということで、平成19年度から25年度までありますけれども、それぞれの年度ごとに、編入学生数、その出身学科、そのときの選抜方法、それから、そのときに入った学生の卒業状況という形で数字等が入っております。
 その右側は、単位認定の考え方、基準ですとか、単位認定方法、それから、入った学生の指導・教育上の配慮、今後の課題等について各大学からの回答をまとめております。これは基本的に該当があった大学から出てきたものでございますので、全部の大学が載っているわけではございません。
 編入学については、これは16ページ目までが編入学でございまして、最後の1枚、17ページ、18ページが転学部になっております。編入学の人数については、16ページのところに全体の合計がございますけれども、7年間で540人の学生を編入学として受け入れているというところでございます。
 それから、この資料の右半分の方の単位認定の考え方ですとか、単位認定の方法等についてでございます。大変読みにくくて恐縮でございますけれども、内容を見ますと、例えば出身大学の単位取得証明書ですとかシラバスを基に個別に科目を確認して単位を認定していくというような具体的な記載がある大学がある一方で、例えば包括認定ですとか一括認定というような形で書かれていて、具体的にどのように行っているのか、ちょっと分からないという大学も幾つかございました。
 そういったことを踏まえまして、追加で確認する必要があるということで、資料4でございますけれども、この資料4を基に追加で調査を行いました。追加の調査の内容でございますけれども、既修得単位の認定につきまして、自分の大学の科目、あるいはコアカリと対応をさせて認定したのかどうかというようなこと、あるいは、一括認定とか包括認定とかいう言葉を使っていますが、それは一体どういう意味なのかというようなことについて調査を行いました。
 それの調査で得られた結果が資料5にまとめたものでございます。こちら、上のところに調査の項目について書かれておりまして、それに沿った形で調査をまとめておりますけれども、左側から大学名がございまして、その次に、マル1として既修得単位の認定方法というところで回答していただいております。この中で、1ページ目の下の方の大学のところで、aの「自大学の開講科目に読み替える」というような大学は恐らくきちんとやっているであろうというところですが、それ以外の記載のところはどうなのだろうかというところを見ますと、1ページの上の方の大学になりますけれども、出身の大学で履修した科目について、内容については余り問わずに、単に単位数を積み上げて認定をしているというような状況が読み取れます。
 このような結果を踏まえフォローアップワーキング・グループで検討していただいて、まとめていただいたものが資料1でございます。この報告につきましては、先ほど座長からもお話がございましたけれども、可能であれば、この検討会の名前で各大学に出していきたいと考えておりますので、このこともありまして、先生方には事前にメールで確認いただいて意見も頂いておるところでございます。
 資料1の内容について簡単に説明いたします。まず「はじめに」ということで、前提でございますけれども、編入学制度については、学生の多様な進路を考慮したり、制度に柔軟性を持たせるというような意義があると。その一方で、6年一貫の薬学教育においては、適切に行わないといけないということで、その辺りの確認が必要であろうということで調査を行ったというところを書いております。
 次の2番の調査の概要につきましては、今説明させていただいたようなことを記載しております。これの関係でこの資料の5ページ目を御覧いただきたいんですけれども、この資料の5ページに出身学科について、学年ごとにまとめております。非常に多様な学科から入ってきているということで、特に3年次編入でも、文系の学科からも入ってきているというようなことがございますし、4年次編入でも、薬学科、薬科学科以外からも、例外的ですけれども、入ってきているというところがございます。
 また本文にお戻りいただきまして、調査の概要ということでこのような状況でございますけれども、本文の2ページ目を御覧ください。本文2ページの真ん中辺りのところからフォローアップの結果ということでまとめております。
 まずマル1、全体を通じてでございます。ここで下線が入っていたり見え消しになったりしているものがございますが、これは事前にメールで意見を頂いたものについてこのような形で入れております。ここでは6年制薬学教育というのは体系的に行われているというようなこと。そのような中で編入学をやるに当たっては質の担保ができるように以下配慮しないといけないということを述べております。
 具体的にはマル2以降でございます。マル2、受入れでございますけれども、6年制薬学教育はコアカリに基づいて体系的に編成されているということで、編入学で入ってきた学生の履修に支障がないように受入れ年次を決める際の基準を明確に設定しておくことが重要だということ。そのために、そもそも6年制薬学教育の年次ごとの体系を明確にする必要があるということ。
 それから、次のページに行っていただきまして、受入れ後に必要と見込まれる学修の量を踏まえて、受入れ年次ごとに最低限履修しておかなければならない科目とか必要な単位数というのを明確にしておいて、それに基づいて受入れ年次を判断することが適当であるというようなことがございます。
 また、6行目でございますけれども、4年次編入については、4年次の最初に入りますので、残り3年間できちんと卒業できるかどうかということの見込みについて厳格に判断する必要があるということ。それから、共用試験までに実習に必要な知識等を修得できるか、あるいは、「ヒューマニズム」ですとか、改訂コアカリの「基本事項」、「薬学と社会」等についても修得できるかどうか、適切に判断しないといけないということがございます。
 それから、マル3としまして、単位認定と受入れ後の科目の履修についてでございますけれども、既修得単位の認定については、単位取得証明書やシラバス等を基に個別に確認していく必要があるだろうと。その際に、専門科目は当然ながら、「ヒューマニズム」ですとか「基本事項」、「薬学と社会」といった科目も適切に行う必要があるということ。学生を受け入れた後に、その学生の未修得単位については、支障のないように履修できるようにしないといけないけれども、それができないのであれば、受入れ年次について見直す必要があるということでございます。
 それから、4番、「おわりに」としまして、履修状況等々についてフォローして、自己点検・評価を行っていく必要があるだろうということ。コアカリが改訂されまして、体系的なプログラムが必要になりますので、これからは今まで以上に適切に行う必要があるということ。
 それから、めくっていただきまして最後のページですが、編入学制度、多様性を得る手段ではあるんですけれども、質が担保されるように、自主的、自律的に努力していただく必要があるというようなことでまとめております。
 資料については以上でございますので、確認いただければと思います。よろしくお願いします。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見を頂きたいと思います。
 5年次の編入というのがありましたけれども、どのくらい、何校ぐらいあるのですか。
【丸岡薬学教育専門官】  4年次です。
【永井座長】  5年次はなかったでしたしょうか。
【丸岡薬学教育専門官】  5年次はないです。4年次までです。
【永井座長】  4年次まで。はい。
【勝野委員】  調査の結果、回答されてきた編入学を行っている大学が、非常に偏っているといいますか、国立は東京大学一つしかありません。あとは全部私学です。調査して分かったかどうか、もし分かったら教えていただきたいんですが、編入学をしている、この受け入れた大学の、編入した学生の元が、国公立が多いのか、私学が多いのかですね。多分私学と国公立では授業料が、この表に出てこないですけれども、授業料が大体3倍ぐらいなんじゃないかと思います。そうすると、その辺りがどうなのか気になるんですけど。
【丸岡薬学教育専門官】  出身の学科については聞いておりますけれども、その大学がどこであったかということについては聞いてはおりません。
【野木森委員】  1点質問なんですけれども、編入が、今も偏っているというお話がございましたけれども、全体の資料を見せていただいた中で、編入された学生さんが必ずしも規定の年限で卒業できていないケースがままありますよね。そういう方たち、まだこの数字だけでは統計的に余り見ることはできないかもしれませんけれども、ほかの学生さんの例えば留年の頻度とか、それから、薬剤師の国家試験の合格具合とか、そういうのに何か差異があるかどうかというのは今のところつかめているんでしょうか。
【丸岡薬学教育専門官】  その辺につきましては、まだ数字が少ないというところもございますけれども、一応卒業の状況を数えますと、一般の学生よりも少し数字が低い、卒業率は少し低いというような状況でございます。国家試験の合格率まではこの調査では聞いておりませんので、その辺は分かりません。
【野木森委員】  卒業率が低いということをどういうふうに理解したらいいのかと。編入するという人は多分普通に入学する人よりももう少し薬学に対する意気込みというのが強いような気もするんですけれども、その人たちの方がむしろ低いということは、やはり基本的な教育レベルというのか、知識自体もそもそも足りなかったと。それを克服するのが難しいという見方をされるのか、やはりそれなりに勉強はしてくれているんだけれども、どう言ったらいいんでしょうか、実際6年ちゃんとやる人と比べたら必然的に差が出てしまうんですよということなんでしょうか。
【丸岡薬学教育専門官】  その辺は個々の状況を積み上げてみないと分からないところがございますけれども、ワーキング・グループでの議論では、編入してくる学生というのはいろいろな事情もあることですので、その辺のところを一般の学生と単純に比べてよいのだろうかというような御意見はありました。
【永井座長】  よろしいでしょうか。
【井上副座長】  ただいまの問題ですけれども、ここを読んでいただきますように、極めて多様であり、かつ薬学以外のところからの編入が非常に多いわけですね。本当に様々ですので、これ、統計を取るというような代物ではほとんどないぐらいなんです。一般論として言えば、編入して入ってくる学生が学力的に非常にフィットしているとか、そういうふうには必ずしも結果が出ないケースの方が私は多いような気がしました。
 やはりここに書きましたように、1年だったら、1年のときにはどこまでという、大学がきちっとした基準を決める。2年だったら、2年の終わりのところで、このぐらいまではちゃんとクリアしておかなきゃいけない、そういう基準をきちっと決めて、その上で募集をかけて試験をしてという、そういうことをしないといけないんじゃないかなと思うんですけれども、そこまできちっと必ずしもなっていないと思います。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【乾委員】  「おわりに」のところにもお書きになっているんですけれども、やっぱり各大学が自主的に自己点検、自己評価を行いながらと、そして、多様な教育を推進するということが重要です。薬学教育評価機構でいろいろと今、調査をしっかりしていただいて、いい形で動いているかなと思うんですけれども、この編入学に関しては何かそういうことも触れられる御予定があるのかどうか。非常に難しいところがあると思うし、かなり特殊なケースと捉えてもよろしいかと思います。今後のことをいろいろ考えていくに当たってどのようなお考えでしょうか。
【井上副座長】  評価機構としては、編入学に関しての調査はしております。ただし、この基準を作った時点で編入学についての基準というのは入れていないんですね。そのために、ここまずいんじゃないですかというような指摘がなかなかできない点がございます。これを見ていただきますと、500人ぐらい、非常にたくさんの編入学が行われているという実態を私どもは把握していませんでしたので、編入学がそんなに重要だというふうにはその時点では考えていなかったんですけれども、今後はかなりしっかり考えていかなきゃいけないなと思いますね。
【乾委員】  ありがとうございました。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
【村上委員】  課題とか問題点に関しては、きっちりと詳細に記載されていると思います。一方で、この編入学制度に対する一定の考え方というのを、やはり検討会のレポートですので、示さないといけないんじゃないのかなと、そういう思いがあります。非常にいい制度なので、適正に活用して、効果的な成果を上げていきましょうと、もしそういうトーンでこの文章を書けるのであれば、実施する大学任せといいますか、実施する大学だけに対して適正にやりなさいよというふうな文章になっているのを、もう少し踏み込んで、大学に関わる人たちが結集していいシステムに育て上げていただきたいとかいうふうなところまで書き込んでいただく、恐らく一番最後の「大学関係者の自主的、自律的な努力が期待される」というところの文章にその意味が含まれていると思うんですけれども、例えばガイドラインとか、そういうものもみんなで作ってやってくださいねというふうな、そんな文面も少し足していただくのがよいと思うんですがいかがでしょうか。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【井上副座長】  それをもしやるとしたら、文科省がこのワーキンググループを更に続けるとか、そういう類いのことが多分必要だろうと思いますけれども、それはどうでしょうかね、文科省の方としては。ガイドラインを作るというような組織みたいなものを考えるとすれば、文科省の方が主体的に動かないといけないだろうと思いますけど。
【丸岡薬学教育専門官】  ガイドラインといいますか、そういったものがこれ以上のもので何か作れるかどうかというのはまずあるかと思いますけれども。
【井上副座長】  いや、これ、ガイドラインというのを銘打てば、これは飽くまで、こういう感じですという言いっ放しの感じのところがどうしてもあるかなとは思うんですね。だから、かくあるべしと。ガイドラインというのはどっちかというとかくあるべしだという感じがするので、かなり個別の項目に限ってガイドラインで決めて示していくというのも一つのやり方で、各大学はそのガイドラインに従ってやっぱり考えるでしょうから、これだと、ちゃんとしなさいよと言っているだけだと言われちゃうと、どうしてもつらいんですけれども。
【永井座長】  まずは何か発出して、おいおい状況を見ながらガイドラインも必要かというような位置付けだろうと思うんですけれども、今の時点で、追ってガイドラインを出すからともすぐには言えないところがありますよね。時間がかかるでしょうから。ですから、それは、そういう含みを少し文言の中ににじませて、まず。
【村上委員】  すいません。具体的に何かせよという話じゃありません。やっているところが考えろというのではなくて、それに関わる人たちが一緒になってみんなが協力し合いながらいいシステムに育てていきましょうというふうなメッセージが文面にもう少し色濃く出た方がいいかなという趣旨です。
【永井座長】  各大学任せではないということですね。プロフェッショナリズムにも関わることですね。関係する人が今後協議を重ねてよい制度にしていく必要があるというような文言で締めくくるということでしょうか。
 ほかに御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 もしよろしければ、頂いた御意見を幾つか踏まえまして、少し文言を訂正して、それは副座長と座長にお任せいただきたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
 その上で、提言を各大学へ周知し、適切な運用を促したいと思います。また、もし御意見おありでしたら、後ほどでも結構ですので、お寄せください。
 ありがとうございます。それでは、続きまして、質の高い入学者の確保と教育の質の向上について御議論をお願いいたします。前回も御議論いただきましたけれども、その後フォローアップワーキング・グループで議論を頂いてまいりました。事務局からまず御報告をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  資料6を御覧ください。この件につきましても、今お話がございましたように、フォローアップワーキング・グループで議論を行いまして、この資料6のような形でまとめたものでございます。資料の内容に沿って簡単に説明させていただきます。
 まず1番の「今までの経緯」というところでございますが、この検討会とフォローアップのワーキング・グループにおきまして、この件について今まで議論されてきたところですけれども、そもそもの問題意識としましては、質の高い卒業生を輩出する要因の一つは、一定以上の学力を有する入学者の確保であるという考えで、薬科大学・薬学部のフォローアップを行ってきたというところがございます。
 ワーキング・グループにおいては、平成24年に23の学部に対して書面調査を行って、その中から9学部に対してヒアリング調査を行いまして、その中から浮かび上がった問題につきまして、フォローアップ状況のまとめということで、24年度にそういったまとめを作っていただいております。
 これと併せまして、ヒアリング対象の9学部に対しては、それぞれのところに対して今後改善すべき事項というのを提示しまして、これに対して平成25年の5月末までに9学部から改善計画が提出されました。
 ワーキング・グループにおいては、この9学部からの改善計画と、それから本日お配りしております資料ですけれども、22年から26年の入学試験、あるいは6年制学科生の修学状況、国家試験合格状況を参考にしながら検討を行いまして、これらについては、一部の大学だけではなくて多くの大学に共通した課題、問題点であるということで整理を行ったというものでございます。
 次の2番の「各大学における取組の必要性」でございますけれども、いろいろございますけれども、例えば医療専門職はこれまで以上の課題解決能力が求められるということ。薬学部に対しては、優れた人材の養成に大きな期待が寄せられているということ。それから、次のページにまいりますけれども、各大学の人材養成の質の低下というのは、薬学教育全体の評価の低下ですとか医療の質の低下につながるおそれがあるということ。取組が必要だということ。このことについては、教学組織に加えて、設置者(経営組織)の役割も重要であるということが書かれております。
 3番の「フォローアップの内容」でございますが、マル1として「提出された改善計画」。これは9学部から出てきたものを拝見してまとめたものでございますけれども、各大学、努力はされているというところですけれども、計画を見ますと、具体性に欠けるものですとか抽象的なものが目立つということ。それから実効性があるかといったことやPDCAサイクルがちゃんと回るかどうかという懸念もあるということ。入学者選抜において、学力の確認をされているのかどうか不明。あるいは、教員体制や意識の違いに懸念があるというようなこと。あるいは、全体的な学力向上策等はどうなっているのかというような問題が見られたということでございます。
 また、情報の公表、これは学生の修学状況の数字ですけれども、その辺りの情報については余りホームページで公表がされていないというところでございます。
 それから、マル2、「入学試験・6年制学科生の修学状況等」というものでございますが、これはこの資料の6ページを御覧いただきたいと思います。この資料の6ページのところ以降で、卒業率、国家試験合格率と実質競争倍率について少し分析を行っております。これは後ほど出てくる資料7、A3の表に出てくる数字を基に分析を行っております。7ページを御覧いただきたいのですけれども、7ページのところに、まず図1、図2というものがございます。図1は実質競争倍率と卒業率を比べたものでして、図2は実質競争倍率と国家試験合格率を比べたものでございます。まず横軸の実質競争倍率を御覧いただきますと、一般的に実質競争倍率の高い大学というのは、卒業率、合格率ともに高い傾向にある。次に縦軸を御覧いただきまして、卒業率が低い大学、あるいは国家試験合格率の低い大学というのは、実質競争倍率が低い傾向にあるということが言えるのではないかと思います。
 上と下の表を、それぞれ見ますと、実質競争倍率が1倍ちょっとの大学でも、卒業率や合格率が高い大学というのはございますけれども、両方とも高い大学というのはないという状況でして、卒業率が高い大学は国家試験合格率が低く、逆に国家試験合格率が高い大学は卒業率が低いという傾向がございます。
 このことにつきましては、次のページ、8ページを御覧いただきたいと思いますけれども、こちらも二つございますけれども、実質競争倍率が低い大学というのは、入学した学生のうち、ストレートで卒業して、かつ国試に合格する者の割合が低い傾向にあるという図でございます。
 この上の図3でございますが、これは実質競争倍率と、それから対入学者国家試験合格率というものと比べましたものでして、これは何かと申しますと、国家試験合格者数を、これを6年前の平成20年度の入学者で割ったものでございます。下に注意書きでいろいろ留意事項がありますけれども、おおむね20年度に入学してストレートで卒業して国家試験に合格した者の割合というものの傾向が大体分かるかと考えております。これを見ますと、何となく傾向が見られるのではないかと考えております。
 本文の2ページに戻っていただきますと、2ページの真ん中のマル2のところは、今申し上げたことを記載しております。これらの卒業率や国家試験合格率というのは飽くまで指標の一つだということですので、これだけを見るということがないように、またほかのものについてもいろいろ検討していく必要があるだろうということを申しております。
 それから、下のところで、4番、「フォローアップの結果」ということで、これらのものを見まして以下の所感を得たというところでございまして、具体的には次のページ、3ページからでございます。まず「入学者選抜の見直し、入学定員の検証」でございますけれども、各大学において、AO入試等々、様々な入試が行われていますけれども、必要な学力の把握というものはやっていく必要があるだろうということを言っております。
 それから、また18歳人口が減少する中で、入学者の質を下げてでも経営の観点から定員分の学生数を確保しようという現状があるという話もありますけれども、こういう現状は改めなければならないということがございます。
 それから、一定以上の学力を有する入学者を受け入れることが重要でございますので、各大学において、いろいろな取組をやりながらも、入試による選抜が機能するように、適正な入学定員の設定について必要に応じて検討することも重要であるとされています。
 マル2として、教育方法、評価、教員体制の強化でございます。こちら、いろいろな事項が記載されておりますけれども、まず24年度に出されたまとめについて確認してやっていただく必要があるだろうということ。それから、教育の中では、学生の能動的な学習を促すことが重要であるというようなこと。それから、学生の成績評価につきましては、適切で教育上効果的な成績評価を行った上でちゃんとフィードバックしているということ。学生や保護者に対して、薬学生として要求される水準等々についてはちゃんと周知するというようなことですとか、進路変更を希望する学生のサポートが必要だろうということも書かれております。
 それから、教員体制の強化も必要でして、ファカルティ・ディベロップメントをきちんとやって、6年制薬学教育への意識の転換を図っていくことが重要であろうということを記載しております。
 4ページ、マル3の「内部質保証システム」でございますが、これも各大学ごとに、データやその分析に基づいた改善計画を策定して、PDCAサイクルを機能させて実効性を高めていくことが重要であるということでございます。
 それから、各大学において、授業評価ですとか、卒業生のアウトカムなどのデータを収集できる仕組み等を作ることも重要であるということが言われています。
 それから、マル4として「卒業生の評価」でございますけれども、卒業生の質を確認して教育に反映させるということと、それから、卒業生の活躍の状況、あるいはどういう卒業生が育ったかということについて、広く社会にアピールしていくことも重要であるということが言われています。
 マル5としまして、薬学教育評価でございます。6年制薬学教育で行われています第三者評価の薬学教育評価については、その内容について教育の改善につなげていくということと、それから、薬学教育を社会に対して説明していって、社会で活用できるように、その辺りの情報を積極的に周知することも必要であるということでございます。
 それから、5番、「情報の公表」というのがございます。学生の状況の公表については、これは平成24年度のまとめの中で公表するようにということを言っておりますけれども、これについて引き続き、社会の理解が得られるような方法により公表していく必要があるということでございます。
 5ページに行っていただきますと、公表する内容、こういったことを公表するということを言っております。これは24年度のまとめの中から引っ張ってきているものでございます。
 それから、文部科学省においてもその辺りの公表の状況を整理してホームページで公表するということとしております。
 6番、「おわりに」ということで、各大学、国家試験を目指して理念と乖離したような教育を行うということではなくて、一貫したポリシーを持って全体的な戦略を考えていく必要があるということ。それから、改訂されたコアカリの理念や内容に対応していくことが肝要であるということで、各大学、まずは自主的、自律的に取り組む必要があるというようなことで記載をされております。
 資料6は以上でございます。あと、資料7でございますが、これは毎年お出ししているものですけれども、各大学の入学試験の状況、それから、6年制の学生の進級状況、あるいは卒業状況でございます。また、右の方でございますけれども、25年度卒業者の入学年度別分布というのがございます。これは25年度末に卒業した学生が何年度に入ったかというものでして、ストレートで卒業したのか、1年留年したのか、2年留年したのかという数字でございます。一番右端に国家試験合格状況ということで、これは新卒の学生の状況ですけれども、国家試験の受験者数、合格者数、合格率を大学ごとに並べております。
 それから、資料8でございますけれども、こちらは6年制を出た学生の就職動向ということでして、右下に書いておりますけれども、これは薬学教育協議会が毎年行っております調査をもとにしてこちらで表に整理し直したものでございます。表面は26年3月卒業者で、裏面に参考までにその1年前のものについて載せております。
 資料の説明は以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは、御質問、御意見を頂きたいと思いますが。この問題、この後もフォローアップが必要ですので、今後の方向性も含めて御意見を頂ければと思います。では、生出委員からどうぞ。
【生出委員】  3点ほど質問があるんですが、まず資料6の1ページの2の中で、例えば1行目には「医療者」という表現、3行目には「医療人」という表現があるんですが、これ、どう違うのかということと、それから、5ページの「おわりに」ですが、「各大学においては、国家試験を目指して無事卒業させることに汲々として」と書いてあるんですが、これ、合格を目指してなのか、それを入れた方がいいのかどうかということと、一番下の段の「各大学の取組が行われるよう関係団体の役割にも期待したい」と書いてあるんですが、関係団体としか書いていないので、少しは具体的な表現があった方がより分かりやすい説明になるのではないかなと思いましたので、この3点ちょっとお尋ねしたいと思います。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【丸岡薬学教育専門官】  医療者、あるいは医療人のところにつきましては、余りこの辺りの用語の説明については、そこまで厳密に定義をされているものではございませんので、少しまた整理する必要があるかというふうには思います。
 それから、「おわりに」のところでございますけれども、ここは、国家試験を目指してというのは、おっしゃるとおり、合格ということになるかと思います。
 最後の関係団体でございますけれども、これは大学の関係の団体がいろいろございますので、そういったもので、例えば大学の集まっている国公立の会議ですとか、私薬大協ですとか、あるいは、それ以外にも、評価機構ですとか、共同試験センターとか、そういった関係の団体いろいろございますので、そういった団体のことになるのではないかと思っております。
【生出委員】  一つ、二つ、具体的に書くわけにはいかないんですかね。みんな書かなくちゃいけなくなるのかな。まあ、どちらでも。分かりました。
【野木森委員】  前回の会議のときも質問した記憶があるんですけれども、各大学で入学者と卒業者との数の乖離が非常に大きいところ、そこに実際卒業していない方がどういうふうな去就を採られたのか、調査できませんでしょうかということを確か発言したのを覚えているんですけれども、それと関連するんですけれども、今回もう一つ新しい情報が入ってきて疑問に思ったことがございます。それは、卒業者と国家試験の受験者数、二つ比べてみると、大体の大学は卒業者の大半が国家試験を受けられているんですけれども、そこのところに乖離のある大学、半分ぐらいしか受験していないとか、そういうところはどういう意図でそういう政策を取られているのか。それに対して、文科省としては特に疑問も持たれないで、各大学の自主性に任せてやはり運営されてきている、今後もまたしていこうとされているのかどうか。
 もう一つ、更に言ってしまいますと、入学者の質が悪いというような表現、直接は書いていないんですけれども、それらしいことが見えている文面があるんですね。そういう大学に対して改善策を取るように指導はされてきているんでしょうか。例えば私、一番気になったのが、個別の話になってしまいますけれども、薬剤師国家試験の合格者の比率が一番低いのが22%というのがあるんですね。資料7の裏側の下から5行目ですね。5列目の大学ですけれども、ここは、実際には合格者数11人しかいないんですね。そこは実際の入学定員というのは173名もいらっしゃるんです。そうすると、これだけ乖離があると、私が例えば親だとしたら、こういう大学に入れていいのかというのを思ってしまうんですけれども、こういうのを、今回の文面ですと、自主性に任せるという文面で書かれているんですけれども、依然としてこういうのを放置しておいていいのかということに対してはどうお考えなんでしょうか。
【丸岡薬学教育専門官】  このことにつきましては、平成24年度のまとめで個別に大学に対して問題点を指摘しまして、それを各大学で改善計画を立てていただいて、そういった形で1回指導をしているところでございます。今後につきましては、また今回このまとめていただいたものを踏まえながら各大学に対して取組を促していく必要があると考えております。
 あと、先ほど数字のかい離のところにつきましては、卒業者数と受験者数が違うというところ。
【野木森委員】  そうです。
【丸岡薬学教育専門官】  その辺のところまではまだ、こちらもフォローしきれていないところがございますので、その辺りのところ、大きく変わる大学というのはそんなに数も多くないと思いますので。
【野木森委員】  大体3割ぐらい減っているところから、5割まで減っているというところが、10まではいかないんですけれども、それぐらいあったような記憶がします。
【丸岡薬学教育専門官】  その辺のところは、また状況は確認していきたいと思っております。
【野木森委員】  それから、もう一つ、今後の方策についてはいかがなんでしょう。
【丸岡薬学教育専門官】  基本的には教育の中身を改善するのは各大学でやっていただくしかないところではあるんですけれども、このフォローアップのまとめを踏まえて各大学に促すということと、それから、学生が入学してどれぐらい卒業しているのかという、その辺の数字、現状というところをちゃんと数字を出していっていただかないと、それを見た学生がまた判断するということになると思いますので、その辺のところをちゃんとやっていきたいと思っています。
【勝野委員】  今の質問に関連しますけれども、ちょっと確認しておく必要があると思いますけれども、まず大学の質保証は、設置審のところで質保証、入り口の設置審でやります。それから、設置して一定の期間のところは、設置後のフォローアップという形でやるわけですけれども、そこがかなり以前に比べて大綱化されて、緩くなったという現実が今あります。一方で、それを保証するために、大学の機関別評価と、それから、薬学の場合だけ、新しく薬学ができましたので、分野別評価ということで、一定期間ごとに評価をすることによって、それが特別な義務といいますか、強制力はありませんけれども、ホームページ等で公開するということが義務付けられていますので、社会に認知された形でフィードバックされるという形で、緩い質保証があると思います。
 あと、私のお聞きしたいのは、このフォローアップの位置付けなんですけれども、これ、基本的に薬学の分野別評価と同じじゃないですか。この結果として、例えばピックアップした九つのところに改善計画なんかを出させて、そこだけやらせているというのはちょっとよく分からなくて、薬学全体のデータを見て、こういう問題があるかどうかということはあり得ると思うんですけれども、改善計画を出すのは、分野別評価ないし機関別評価がやることではないですか。
 文科省として、私、お聞きしたいのは、もう一つ、先ほどの御質問に関連しますけれども、一応、設置審と機関別評価、分野別評価という形で質保証の仕組みが出来ていますけれども、それと更に別に、特別に問題があるところはやはり出てきて、自主性に任せて問題があるというところはあると思うんですが、そうすると、どういう基準で文科省としてはそこを指導されるというようなことなのかがやっぱり問題だろうと思うんですが、その辺ちょっとお聞きしたいんですが。
【丸岡薬学教育専門官】  24年度のときに、薬学教育の全体の問題を把握するという趣旨で、このフォローアップワーキング・グループで書面調査とかヒアリングを行いまして、そこで全体的な問題というのは抽出して、まとめというような形で出したんですけれども、その際に、ヒアリングにお越しいただいた大学というのは、ここら辺の数字のところでいろいろ問題があったというところもあり、ヒアリングをしてみるといろいろ問題があったというところで、その辺りの改善に資するようにということで、言い方が指導ということになるのか、アドバイスということになるのかというのはちょっと分かりませんけれども、そういったことを大学にお伝えしたということだと思います。
 その後どうなったかということについても、少しちゃんとフォローアップした方がいいだろうとういことで改善計画を出していただいたというようなことだと思っております。
 設置審での審査ですとか、あるいは認証評価というのは、法令上決まっておるところで、その辺りの質保証システムの話だと思いますけれども、この辺のところは、飽くまで任意というような形になりますけれども、どういったことができるだろうかというのを考えたときに、例えばこういったことをやってはどうかということでやったものではないかと思っております。
【勝野委員】  そうすると、9学部というのは大体問題があると文科省は考えて指定しているということですか。
【丸岡薬学教育専門官】  当時の進級者、卒業者の状況、入学者の状況で、一応数字の基準を引いて、そこに該当する9大学というような形にしましたので、当時その数字が悪かった大学についてお話を伺ったというようなことです。
【井上副座長】  評価機構のやることと、それからこことが余り区別が付かないというお話だろうと思うんですね。一つは確かにそうなんです。我々も非常に悩むところなんですけれども、評価機構がやっていることは、7年に1回ですので、順番にしか来ません。結果を見ていますと、問題のある大学は何となく後ろ回し、後ろ回しにしていって、なかなか評価の結果が出てこないという傾向はあるかもしれません。そういう点では、この文科省のは、基本的には全部の大学、一斉にやるわけですので、全体的な傾向がつかめるとか、全体的な、これ、決して9校だけの問題じゃなくて、ここに書かれていることというのは、それよりもはるかに多い大学に当てはまる内容だと思うんですね。なので、そういう意味では、これをしっかり各大学が読み込めば、かなり警告にはなっている。本当は文科省はかなり遠慮深くて、なかなか実際の私たちのワーキング・グループで言っていることよりは大分ソフトなことになってはいるんですけれども、その辺が、ここでも「これでいいの?」と言われちゃうのかなという気はします。
【望月(正)委員】  その遠慮深いところだと思いますが、5ページの公表する内容で、その下に書いてあるのが、「文部科学省においては、上記に関する各大学の公表条件について整理し、ホームページで公表する必要がある」。必要があるという言葉は、本当に必要があるのですか。ここは、「公表する」でいいと思います。その前の4ページの一番下も、「いろいろ行う必要がある」。「必要がある」というのは、どのぐらいの力を持っているのかよく分かりません。
【井上副座長】  これは文科省じゃなくて、飽くまで人材養成の委員会、あるいはワーキング・グループが要望しているんですね。この人材養成でもってここが必要があるというふうにすれば、あとは文科省がそれに応じてということだと思います。
【望月(正)委員】  了解しました。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【稲垣委員】  質問なんですけれども、8ページの実際にこの見出しのことで評価する方法として実質競争倍率等の図を出しておいでいますけれども、さっと見ると、私立と国立というのは全然様相が違うのかなと思いまして、国立系の方は逆に右下がりの、どちらかというと逆相関のような形で、私立の方は相関のような形で表されていて、全然性質の違うものを一つの見解としてまとめていいのかなというのが一つありまして、質の向上に向けてなので、悪いところだけではなくて、いいところをもっと伸ばすところはどんな点があるかというようなものは必要ないのでしょうか。大変素人的な質問なんですけれども。
【永井座長】  いかがでしょうか。でも、同じ6年制ですから、国立ももっと頑張らないといけないというメッセージだと思いますけど。
【稲垣委員】  分かりました。
【永井座長】  あとは、いかによい点を伸ばすかですけど。
【井上副座長】  ただ、国立の場合には必ずしも、途中で薬学から違うところに行ってしまうという方も結構いるんですね。そういうのが結局下げることになりますよね。
【稲垣委員】  ああ、なるほど。
【井上副座長】  だから、国立と私立というのは、色分けしてありますように、一応別のものとして考えて、データを考えた方がいいというふうには思っております。そのために色分けしてあるという。
【稲垣委員】  それがどこかの文言に入っているのかなと思いましたので、質問しました。
【井上副座長】  余りそれは入っていません。
【稲垣委員】  どうして下がるのかなと思いました。
【井上副座長】  国立は余り問題ないと思っておりますので。
【稲垣委員】  分かりました。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【井上副座長】  結局これ、今後も更にフォローするんだというふうにはしているんですけれども、じゃあ、どうフォローすれば一体効果的なフォローになるんだろうというのは、非常に頭の痛いところで、その辺のところ、具体的にこういうふうなことをすればというのは、何か先生方に御意見があれは、是非お伺いしておきたいなと思いますけど。
【永井座長】  倉田委員、どうぞ。
【倉田委員】  一般の者としては、まず入学のところで、受験生や、その家族や周りの高校などに情報提供をして、ある一定のレベル以上の学力がないと薬剤師国家資格を得るための勉強はできないということを表明した方がいいのではないかと思います。でないと、仮に入学できたとしても、それから後学ばなければならないことが不十分で終わってしまい、結局卒業も、留年のような形になって、入学から卒業まで行けずに留年するような子供たちも多い学校もありますし、卒業してから国家資格を得たとしても、今、国家試験は、自分で考え、自分で行動できるような人たちを育てるような、試験もそういうことを目指すような試験にどんどん変えつつあると伺っています。そういうものに耐え切れないのではないかと思うので、やはりアドミッションのところはもう少し厳しくするように、一般にも厳しく受けとめてもらえるように広報した方がいいと思います。
【井上副座長】  試験科目は、1科目とか2科目とかという大学もあることはあるんですね。そういうようなことに関しても、もうちょっときちっと考えるようにという表現は一応はしているんですけれども、そのときに成績を、どこで線を切るかとか、そういう辺りはなかなか難しい問題もあるかなとは思います。将来的にはセンター試験がなくなって、文科省はそれなりのことをお考えなわけですので、そういうものがきちっと出てくれば、ある程度の線が出せるかもしれないなとは思っていますけれども、その以前の段階でどういうふうに具体的にしたらいいのか、なかなか難しいところはあります。
【倉田委員】  偏差値で大体このぐらいというのが暗に分かるような感じの情報提供とか、そういうのは無理なんでしょうか。
【井上副座長】  実はこれ、偏差値でデータを持たせたのもあるんですね。偏差値の方がもっとクリアになるんですけれども、偏差値というのは基本的にはオフィシャルなものでは必ずしもなくて、予備校なり何なりが出している数値なんですね。その偏差値も予備校が出しているので、予備校、予備校で結構幅もありますし、なかなかそれをオフィシャルな形で使えないというところは、残念ながらある。その辺をもうちょっと違う形でオフィシャルなものを何か、偏差値のようなものを文科省が何か出すとかというふうにすれば、それはそれでいいのかもしれませんけど。
【永井座長】  北澤委員。
【北澤委員】  今の倉田さんの御意見も誠にそのとおりという気もするんですけれども、一方で、そもそも4年の薬学部を6年にしたときに、4年では忙し過ぎるし、これでは詰め込みだと。要するに、詰め込めるだけ詰め込んで、試験に通るために汲々としないといけない。だから、2年延ばすんだということで6年にした経緯があったと思うんですね。だけれども、結局こういうふうなレポートで、最後に試験の合格率とか、そういうような指標で見てしまう。確かに、「飽くまで指標の一つであり」と書いてあるけれども、結局みんなが見ているのは、国試の合格率であり、卒業の割合。そして、この間の薬剤師の国家試験の合格率が割に低かったということで、大学の関係者の方々は、ああ、どうしようということで、私の印象では、逆に今、予備校化が進んでいるような、そういう傾向も感じます。それがそもそも薬学部の6年にしたときのあるべき教育の姿だったのかというふうに振り返ると、本当にこうだったのかなというふうにも思うんです。
 だから、その辺りは、現場の先生方にも考えていただきたいし、私が薬学教育にちょっと足を踏み入れて感じた印象では、学校によっては本当に早い段階から専門教育に突入して、ゲームでステージをどんどんクリアしていくように単位を取得して、6年が終わっていく。それで本当に医療人と言えるのか。薬学が6年になったときに言ってきたような。また、プラスアルファの部分でアドバンスをやるんだということで、各学校が独自のアドバンスのカリキュラムを増やしていくという話もあったかと思うんですけれども、その辺りは一体どこに行っているのか。その辺りのことも多少は思います。
【井上副座長】  評価機構で評価しているときには、国家試験はほとんど取り上げていないんですね。国家試験に非常に偏った教育をしているというふうにバツを付けているわけです。それがもう既に公表もされていますし、今はまだ3校しかありませんけれども、今年は10校出ますので、そういうのを見ていますと、今先生がおっしゃった部分、ある部分に関しては応えていると思うんですね。
 問題は、世の中が、結局そういう評価や何かよりも、司法試験で見ればお分かりのように、新聞でも何でも取り上げるのは、どっちかというと司法試験の合格率ばっかりがメインに取り上げられるんですね。なので、その辺は、社会といいますかね、我々の物の見方という辺りを、単に数字で、国家試験の成績、非常に分かりやすいですから、ついついそういうふうになるんですけれども、そうじゃないところの方がもっと重要だよということを我々は訴えていかなきゃいけないんだろうと思います。国家試験が全然意味ないということではもちろんありません。
【北澤委員】  もちろんです。やっぱり学費を出す親の立場というのもあると思いますので、国家試験の合格率、とても重要な指標だと思います。けれども、私が言いたかったのは、ここに「汲々とせず」と書いてあるんだけれども、現実汲々としている面もありはしないですかということを言いたかっただけです。
【井上副座長】  しています、確かに。
【永井座長】  ただ、6年制は医療人を作るわけです。国家試験を通らないと医療人にはなりません。ですから、国家試験というのは大事だと思います。一つ懸念するのは、卒業できればよいのですけれども、退学する人も結構これから出てくると思います。そうすると、これは高卒の学歴になります。せめて4年制で卒業できればよいのですが。そういうことを考えますと、やはりきちっと国家試験、9割ぐらいは通るということは大事だと思います。例えばセンター試験を受けてくるような学生はよいのですが、科目を絞って入学試験だけ準備してきた学生は、やはり学力不足という問題があります。今、大学で教えていることは相当広範で深いことを教えていて、これを概念でつないでいくというのはそれなりに知的なレベルが必要です。きちんと入学試験で学生を選抜するということが大変大事だと思います。
【野木森委員】  よろしいですか。先ほど私が言ったことに更に加えるような話になるんですけれども、国家試験が最終ではないにしても、ちゃんと卒業するということと、国家試験に合格するということは非常に大切だろうと思うんですね。そういう成績が悪いところは、ずっと固まってきているような気がするんですね。それはどこが悪いかといったら、選抜制度が悪いかもしれない。それから、実際に入った後に、教育の仕方が悪いから脱落者が多いのかもしれない。で、合格率も低いかもしれない。そういう個別の要素が必ずあるはずなんです。それが固定化しているということで、個別指導というのは私はもっとしていくべきじゃないかと思うんですけれども、それを踏み込むというのは、余りにも学校の自治というものを乱すというので、世の中には受け入れられないというものなんでしょうか。
【永井座長】  いかがでしょうか。画一的な教育をしていると、やはりドロップアウトする学生がいます。学生の状況を見ながら個別に指導することは、大学の役割であり、社会的使命だと思いますけれども。
【勝野委員】  もう1点よろしいですか。質の問題もあれなんですけれども、やはり日本の薬学教育が非常に偏っているといいますか、全ての薬学部の、定員ベースでいうと88%が私立大学ですね。さらに、国公立の中で6年制の薬剤師を養成するというのが全部ではありませんので、半分ぐらいだということになりますので、そうすると、9割が私立大学に日本の薬剤師の養成が依存しているという。ここをどう見るかというのは非常に難しい問題があると思うんですけれども、この現実はきちっと見ておく必要があるかなと。特に質の問題だけではなくて、授業料の問題ということを考えると、薬剤師の養成が非常に高額な、その部分でほとんど日本の薬剤師教育というか、薬学教育が占められているということは、これは非常に大きな問題じゃないかなと。その部分もやっぱり見ておく必要があるかなと思います。
【永井座長】  きちっと教育していただければよいのでしょうけれども、悪循環に入ったときに、経営の問題になってきますね。商業主義的になって成果は上がらないという学校が出てくる可能性はあります。
【勝野委員】  それともう一つは、授業料そのものが3倍ぐらい高いですね、国公立に比べて。そうすると、ある程度の財力がある家庭からしか薬剤師になれないということにもなってくるんですよね。
【永井座長】  退学者の数というのはまだ分からないでしょうか。中途退学。
【丸岡薬学教育専門官】  すいません。その辺、整理はしていないんですけれども。
【永井座長】  これから非常に重要な指標になると思いますね。
【平井委員】  どなたもおっしゃらないので、ちょっと思うんです。私、もう63ですけれども、私たちが大学に進学したころの進学率、大学の進学率といったら、多分30%ぐらいだったんじゃないかなと思うんですけれども。その当時の子供の数、今の子供の数よりも1.5倍ぐらいあったんじゃないかと思うんですね。それで、今、半分ぐらいの学生が大学に進学して、50%超えたと思うんですけれども。そうすると、こういう言い方をしたら非常に問題あると思いますが、あえて申し上げますと、大学教育を昔だったら受けていない、受けない方がいいような人も大学に行っちゃっているという現実があると思うんですね。それは薬学だけにかかわらず全体だと思うんですけれども、そうすると、薬学の中にも当然薬学の内容についていけない学生さんは含まれるはずで、そしたら、そういう人も、同じように卒業して、同じだけの資質を教育するというのは、これははっきり言って無理じゃないかなという感じがするんです。そうしたら、じゃあ、入り口のところで絞ればいいじゃないかということですけれども、それは多分、先ほど勝野先生がおっしゃったように、私立大学が主体の状況ではちょっと無理じゃないかなと思います。
 そうすると、じゃあ、一体何が問題なのかということになり、過去のことにさかのぼって言っても仕方がないですが、やはり薬科大学が多過ぎるということが一つあると思います。そういう状況の中で、本当に学生さんたちが途中でやめていく、あるいは国家試験に合格しないという状況が出てくるのは当然のことで、その人たちを無理やりに水準まで持っていくというのは、今のままの教育の内容では少し無理ではないかなと思います。そうすると、どうするんだと。入れた学生さんに対する責任をどう取るんだということをまず考えないといけないんじゃないかなと思います。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【松原委員】  余り言うべきことじゃないのかもしれません。規制緩和で大学が増えて、それを評価していく機関別、あるいは機能別評価機構が作られた。ただ、評価して、そこでよろしくないですねという大学がぼつぼつ出てきている。じゃあ、それに対して、強制的に何かをする機構が全く作られていない。入り口は易しくして、それを評価するところまで作る。それはよかったんだけれども、その評価に従って何らかの強制的な改善を促すというものがまるで作られなかったというところにやはり大きな問題があって、規制を緩和するのであれば、ちゃんとした基準に合ったいい物を、プロダクトでもそうですけれども、作ってくださいという基準を決めるべきはずだったのに、そこがなかったので、やはりもう少し原点に返って、ちゃんといい物、薬剤師は物ではございませんけれども、物とすれば物が作れなかった場合に対しては、作れる、作れなければ何らかに従うというものはやはりはっきりしておくべきだと思いますね。
【永井座長】  いかがでしょうか。文科省としてそういうことは可能なのでしょうか。
【丸岡薬学教育専門官】  設置認可のところで制限が緩和されて、その代わりに認証評価制度等々を作って、そういったもので事後的に評価していくというところについては、基本的な考え方としては、評価をして、その情報を出すことで社会が評価をして、それでいいところはちゃんと残っていくだろうし、というような基本的な考え方でやられておりまして、そこで評価が悪かったということで、国が直ちに何かできるという制度には、今はそういうことにはなっておりませんので、それは、今、松原先生がおっしゃったような全体的な話の中で、その中で薬学も同じような形でやっているというような状況でございますので、なかなか直ちにこれをどういうふうに変えていくのかというのはちょっと難しいところなのかなというふうには思っております。
【井上副座長】  認証評価ですら、実際にきちっと認定がされなかった場合でも、文科省は特別なことは現時点ではされていないんだと思うんですね、多分。我々がやろうとしている、薬学に要求されているのは、これは認証評価でもない。要するに、全く任意でやっていると言われれば、任意でやっているということなんですね。だから、その結果として、マイナスのバツの評価をしたところで、あとは、おっしゃるように、社会がそれをどう見るかということに期待するしかないのが現状だし、だとすれば、評価をやっぱり社会が、そこをきちっと見てくれるようなふうに持っていかなきゃいけないだろうと思います。そういう意味では、広報活動というのは非常に重要だとは認識しているんですけれども、なかなかそう簡単ではないなというのが実感としてはあります。
【丸岡薬学教育専門官】  一応この中にも評価の結果について各大学が積極的に社会に出していくようにというようなことは盛り込まれているかというふうには思っておりますけれども。
【井上副座長】  だから、精いっぱいそこにはそう書いてはあるんですけれども、何とも歯がゆい思いが私ども自身もしております。
【丸岡薬学教育専門官】  あと、それから、薬学の評価につきましては、学生が実習先で実習を行うに当たって、いろいろ条件が課されている中の一つとして薬学の評価もやる必要があるというふうに言われていますので、その辺はちゃんとやらないといけないということにはなろうかと思います。
【平井委員】  一つ提案したいのは、全てと言ったらおかしいんですけれども、学生数と教員数のバランスを考えたら、学生がちょっと多いところが全体的に多いと思うんですね。例えば非常に合格率の悪いような大学があるんですけれども、そういうところを閉めてしまうというんじゃなくて、そこにもちゃんと優秀な学生さんはいらっしゃるので、そういう人たちは臨床に出て優秀な薬剤師として活躍してくださるわけですよ。そうすると、合格ラインに達しないようなレベルの学生さんは、いかにいい大学と言われてもそういう人たちもいるので、そういう人たちは、別のことを目指していただくように、最初からある程度絞った人数で、そして、教員は、今でも非常に足りないところもありますので、教育負担が非常にかかっているという現実もありますし、そういう状況を緩和するためにも、学生数の定員数の見直しをやった方がいいと思います。
【井上副座長】  教員の数のことをおっしゃったんですけれども、実際には、ここには出ていませんけれども、教員の数と学生の成績ですね。単なる教員の数じゃなくて、分母を学生にして、それやったときに、必ずしもいい関係にはなっていないんですね。ですから、基本的には教員の質とか、意欲とか、そういうようなものもきちっと考えないと、どうも数だけではなさそうだなという感じを調査中に思いました。
【平井委員】  そうですね。おっしゃるとおりだと思います。教員も意欲を持って教育に当たれるような環境を整えていただかないといけないんじゃないか。
【永井座長】  それは大学ですから、研究をしながら教育をするには多分限界があります。教育センターを作って、それは補講でも何でもすることが大切です。【平井委員】  結構いろんな薬科大学で教育センターみたいなのをお作りになっていらっしゃるんですけれども、そこの方々の処遇というのがそうじゃない教員と違っていたりするのがあって、そういうのもすごく問題だと思うんです。
【市川副座長】  今まで出てきた問題を考えたとき、結局、定員数という問題が一つ、それから質の問題が一つあり、これはやっぱり非常に相いれぬところが出てくるわけです。最終的にはこのフォローアップでは、質のよい薬剤師を育成しましょうという、質を本来問うものであって、そういう議論をずっと進めてきたということで、それでまずその入り口である教育ということはどうだろうか。薬剤師の受験資格というのは大学に任されているので、大学の質を上げなければ、教育の質を上げなければいけない。その結果が今出てきているわけだと思う。その中においても、先ほどからずっと御指摘のある、かなり問題のある大学、あるいは、問題がないとしても、もっと改善しなければいけない大学もある。その共通点はどれだろうかというのが幾つか指摘されてきたことだと思うのです。
 一番大きいところは、もちろん定員数という問題が一つあると思います。その大学の出したもともとの入学定員数というのが、自分の教育範囲を超えているということがあるかもしれないと。だけど、その背景にはもちろん経営的な問題もあるかもしれないけど、いずれにしてもそういう問題が一つある。
 それから、次に入ってきた学生の質というものがそのときにしっかりとしたアドミッションポリシーの下でちゃんと管理されたかという問題がある。それも全部報告書に書かれている問題です。ここをしっかりすれば良いわけですが、しっかりすればいいということを言っても、なかなかそれは難しい問題が、定員数の関係で出てくると思うんですね。一番私が思うのは、定員数というのは、最終的に例えば今、1万3,000から4,000人受けているとしたら、正確にちょっと知りませんけれども、全部受けたとしたらそのぐらいになると思うんですね。それを本当にそのまま100%合格率になるように努力をして、それだけの質を上げて、国家試験の合格率を99%と、仮の話だけれどもなったときに、1万3,000人という合格者となりその数は需要供給バランスにおいて、決していいとは言えないということが前からシミュレーションで出ている。需給バランスの上でのある適数が出てくる必要がある。その数が将来どうなるかよく分からないけれども、でも、そこを一番なぜ言いたいかというと、大学としては、各大学いろんな努力をしていて、要するに、質をすごく大事にしているからこういう結果になってきている。だから、卒業者が20%とか30%というのも、結局結果論としては、薬剤師の質としては、当たり前だけど、国家試験に受かっているわけだから、担保されている。
 ですから、そこのところ、これ、今、6年制薬剤師教育の制度改革が途中経過の中で、非常に細かいことを議論するのは大変難しい問題がある。現在のところは数の問題の議論より、質の問題を議論することが大切です。それから、質の問題は、出てきた6年制の薬剤師さんが本当に社会において従来よりも貢献しているのか。間違いなく貢献していると思うけれども、そういう評価の蓄積がこれから先必要であろうと思うので、そういうところを含めて、フォローアップできれば制度設計は成功ということになるのかなと思います。
 私、フォローアップ委員会に出ていて、いつも思ったのは、定員数と質の矛盾点をどう説明していくかというのが大変難しい気が自分なりにしていたんです。もちろん定員数が多いのはだめだ、こうだ、こうだということは言えるけれども、言ったところで、質のところで、これは守られているのかというところを最後の歯止めとするならば、そういう議論ができるようなフォローアップが将来続くといいなと思います。
【松原委員】  ちょっと違った意見を言わせてください。例えばアメリカなんか見て、米国なんかを見てみれば、アメリカ薬科協会ですよね。Pharm.Dのプログラムを持っていて、きちんとしたPharm.Dにプログラムに従わなければ、Pharm.Dという称号を使えないようにしてある。ファーマシーというのでもいいわけですよね。ただ、ファーマシーじゃなくて、みんなPharm.Dなわけですから、Pharm.Dという称号を使えなくなったら、大学として成り立たなくなる。そういったようなやり方も今後検討されてもいいかなという。もし国のレベルで規制ができないなら、そういったやり方も。勝手にPharm.Dというのを使っている大学いっぱいありますから、それはちょっと論外ですが、やはりある程度の的確な基準の下にできたところには、Pharm.Dという称号を使えて、やらないところは、あなたのところはもう使わないでくださいというやり方も、あるかと思います。
【永井座長】  よろしいでしょうか。そういたしましたら、この問題、引き続き検討させていただくとことと、また、同時にこの報告について、各大学に周知するということにしたいと思います。ありがとうございます。
 では、最後に、昨年度の薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂をされましたことを踏まえまして、今後の実務実習の在り方について検討されているということですので、その内容につきまして、事務局から御報告をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  資料9から11でございます。こちらにつきましては、本検討会で最終決定いただきましたコアカリの改訂を踏まえまして、その改訂コアカリに基づく実務実習を実現していくためにどうしたらいいかということで、大学関係者、薬剤師会、病院薬剤師会、それから、厚労省、文科省、それから関係団体が集まりまして、薬学実務実習に関する連絡会議というのを置きました。この連絡会議を置いて議論するということにつきましては、前回のこの検討会で了解は頂いておるところでございます。
 この連絡会議で1年間検討を行いまして、このたびその検討結果をまとめたものとして、このガイドラインというものが作成されました。資料9がそのガイドラインでございまして、それから資料10としまして、このガイドラインを実現していくために各団体において取り組むべき事項というものを整理しております。
 それから、資料11を御覧いただきたいと思います。ガイドライン、分量がかなりありますので、資料11に簡単にまとめておりますので、こちらに沿って内容を説明させていただきます。
 経緯としましては、今申し上げましたように、改訂されたコアカリに基づく実習の在り方ですとか、実施体制について、薬学関係者で検討を行い、コアカリに準拠した実習を実施するための指針としてガイドラインを作成したというものでございます。
 2番の改訂コアカリに基づく実務実習の実現に向けた検討課題ということで、これはなぜこういうようなことで検討しなければいけなかったのかというようなところでございますけれども、端的に申しますと、改訂コアカリで実習の考え方ですとか内容が変わったところですけれども、全ての学生に対する実習が本当にできるのかというところでございまして、その問題を小分けにすると、そこに四つポツがありますけれども、一つは、そもそもどういう実習をやればいいのだろうかという実習の在り方の明確化、それから二つ目としまして、今のコアカリでは病院実習と薬局実習の目標というのを分けて書かれているんですけれども、新しいコアカリではまとめて書かれておりますので、そういったものにどういうふうに対応していくか、その趣旨を生かすにはどうしたらいいかというようなこと。三つ目としまして、改訂コアカリにおいて強化された内容がありますので、それを踏まえて実習内容の見直しですとか、あるいは施設の質をどういうふうに確保していくのかということでございます。それから、四つ目は、今のコアカリの中では学習方略というものが作られておりますけれども、これを新しいコアカリでも作るのかどうかというようなことで、こういった課題について検討してまいりました。
 その検討の結果が3番の「検討課題への対応」ということで、これはガイドラインのポイントになるかと思いますけれども、まず一つ目でございます。実習の在り方、コアカリの実習の在り方としまして、大学と施設が連携して、事前学習、病院実習、薬局実習の一貫性を確保すると。こういったことで学習効果を高めるというようなこと。それから、参加・体験型の学習を進めるということ。こういったことで、全ての学生が薬剤師の業務の意義とか臨床対応能力を身に付けられる。そういうような実習を目指そうという整理がされております。
 二つ目のポツとしまして、実習の一貫性というものを確保しないといけないですので、そのために病院実習と薬局実習を連続して行うということにしまして、全ての学生が行えるように枠組みを見直すということでございます。
 裏面を御覧いただきたいんですけれども、上と下がございます。上が今の実習のパターンでございまして、5年次で年3回機会がありまして、各学生はそのうち二つの期に薬局実習と病院実習をやるという形になっておりますけれども、学生Cですとか学生Fのように間が数か月空いてしまう学生がいるということになりますので、これを解消するために新しい枠組みとして、下でございますけれども、年を四つの期に分けまして、全ての学生が連続して行えるようにするというものでございます。一番下に書いておりますけれども、今後この辺りが可能かどうかシミュレーションをしていきまして、来年度中には一定の結論を得たいと考えております。
 表側に戻っていただきまして、先ほどの続き、3の三つ目のポツですけれども、こういった実習を行っていく上で、大学は実習の質の担保に主導的な役割を果たすということで、内容の提示ですとか、途中の把握、あるいは終わった後の評価をちゃんとやっていくということ。それから、実習施設においては、参加・体験型の実習ができるように環境を整えるということ。指導薬剤師においても、参加・体験型の実習ができるように、実習の実施計画書といったものをちゃんと作っていくという必要があるということが言われています。
 それから、四つ目のポツとしまして、統一した学習方略というのは作らないと。ただし、いろいろ例示をガイドラインの中で示しておりますので、こういったものを参考にして各大学、各施設で実習内容を作っていただきたいということでございます。
 4番、「今後の取組」ということで、今後、新しい実習が平成31年から始まりますけれども、それまでに大学、施設、関係団体で準備を進めていただいて、その準備の状況について毎年検証するということ。それから、ガイドライン自体も検証して、途中で見直していくということにしています。それから、実習施設の状況の確認ですとか、施設の要件の見直し、それから、先ほど申しました連続した実習が行えるような割り振り等々について検討していく必要があるということでございます。
 こういったことで、今後、このガイドラインに沿って、大学、施設、各団体で準備を進めるということになるかと思いますので、このことにつきまして、検討会としても承知をしておいていただければと思っております。
 説明は以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは、御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
 実習のパターンが3期から4期になるわけですが、教員の負担というのは、これは同じわけですね。
【丸岡薬学教育専門官】  基本的には学生の数が変わるわけではないですので、期が変わることによって負担が変わるということはないと思いますけれども、ただ、別の意味で、今度は大学がちゃんと実習に積極的に関わっていかないといけないという意味では、教員の負担、負担と言っていいのかどうか分かりませんけれども、教員の仕事は増えるというふうには思っております。
【永井座長】  大丈夫でしょうか。夏休みが少なくなる可能性がありますけれども。
 望月委員、どうぞ。
【望月(眞)委員】  このガイドラインの資料11の中で、2番目の中の三つ目のポツのところで、改訂コアカリで強化された内容への対応という中に、実習施設の質の確保というのが入っていますが、これ、非常に重要なポイントだと思います。アウトカムにきちんと到達させるためには、知識だけではなくて、きちんと実習を体験型で参加型でしてもらえるような形が取れる、そういう実習を供給できる質を持っている実習施設の確保ってとても大切で、ガイドラインの中にも、実習施設の要件ですとか、指導する薬剤師の指針ですとか、そういったものが書かれていますが、これを実際に4ポツの「今後の取組」のところで、「実習施設の状況の確認、公表」という形で出していかれると。ここはどんなふうに、ガイドラインにどう沿っているというような出し方をされるのか。今、実際私たちは、それを見たところで、結局調整機構を通じて実習施設というのは割り振られますから、こちらの方がそこは何か言える状況にはないと。調整機構の方でそこも質を確認した上で私たちに割り振ってくださるような形を取られるのか、その辺りについてどういうふうに今後対応されようと思っているか。
【丸岡薬学教育専門官】  その辺りは、一つ、施設の状況の確認、公表といった形で質を担保していくというところもございますけれども、施設の質の確保というのは、全体に通じるようなテーマでございまして、確かに調整機構を通じて割り振りを行うというような形になっておりますけれども、割り振られたところと大学とで連絡を取り合って、そこの質を高めていくというような取組を全部の大学が全部の施設で地道にやっていただくという必要があるかと思っております。
【望月(眞)委員】  運用がどういうふうにできるか。大学と実習施設が、一つの実習施設に複数の大学が関わるという形も結構出てくると思うんですが、その辺、うまく運用ができるかというのは、31年になる前に何回かは繰り返しトライアルみたいなシミュレーションみたいなのをやってみるような形になるんでしょうか。
【丸岡薬学教育専門官】  そうですね。一つの施設に複数の大学から来た場合に、その中で具体的にどういう実習をやっていくのかというところは、大学と施設ですり合わせをしないといけないということになると思いますので、その辺のところを、また計画書のようなもの等々を作って、その中ですり合わせをしていくというようなことを今後やっていく必要はあるかと思っております。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういたしますと、このガイドラインに沿って今後準備が進められることについて検討会として了解としたいと思います。ありがとうございます。
 予定した議事は以上でございますが、そのほか何か御発言おありの委員の先生方いらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。
 もしございませんでしたら、本日はここまでとしたいと思います。実はこのメンバーでの検討会は今回で最後になります。2年間にわたりまして、薬学教育の改善・充実について御討論いただきまして、また御尽力いただきましてありがとうございます。最後に事務局から御発言をお願いいたします。
【寺門医学教育課長】  一言御挨拶申し上げたいと存じます。この検討会におきましては、昨年度のモデル・コアカリキュラムの改訂の作業のほかに、本日御議論いただきました質の高い入学者の確保ですとか、編入学の在り方、並びに大学院4年制の博士課程の在り方など、大変多岐にわたる問題点につきまして、大変御熱心に2年間にわたり御議論賜りました。改めて委員の先生方の御尽力に対しまして感謝を申し上げたいと存じます。
 本日御議論いただきましたが、まだまだ課題があるわけでございますが、間もなく始まります新年度で新しいカリキュラムが実施されますので、そのフォローアップを通じまして、引き続き薬学教育の充実を当課としても進めてまいりたいと思います。
 委員の先生方におかれましては、引き続き御指導、御鞭撻賜りますように最後にお願いいたしまして、御礼とさせていただきます。本当にありがとうございました。
【永井座長】  それでは、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局医学教育課薬学教育係

電話番号:03-5253-4111(内線3326)