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明治大学新入生への学長メッセージ インターネットで動画を配信しました

2011年度 明治大学新入生の皆様へ

4月7日10時より、「入学式告辞に代えての学長メッセージ」をインターネット上で動画を配信しました。

すでにホームページでお知らせしましたように、本学では、未だ余震が頻発しているうえに、原発事故、計画停電による交通機関の乱れをはじめとした社会的状況に鑑み、参加者の方々の安全面を第一に考え、予定されていた2011年度明治大学入学式の挙行を中止しました。

現在、学長・納谷廣美から新入生の皆さんへ向けたメッセージの動画配信は終了しましたが、以下からテキストにてご確認いただけます。新入生やご父母・関係者の皆様には、式典に代えて、ぜひご覧ください。

2011年4月7日
明治大学

入学式告辞に代えての学長メッセージ

こんにちは。学長の納谷です。

新入生の皆さんへの学長メッセージに先立ち、まずこの場を借りて、3月11日、東北地方太平洋沖で発生した巨大地震、およびそれにともなう大津波によって被害に遭われた皆様方に対し、明治大学を代表してご挨拶させていただきます。

このたびの東日本大震災において、お亡くなりになられた皆様のご冥福をお祈り申し上げますとともに、謹んで哀悼の意を表したいと存じます。また、被災された皆様、さらには福島第一原発の事故などにより、やむを得ず避難生活を強いられている皆様に対しては、心よりお見舞い申し上げます。皆様が一日でも早く、普段どおりの生活を取り戻せることを、切望いたします。明治大学も、いろいろな形で、皆様への支援をさせていただきます。

ところで今、東京は、春爛漫の花の色に染まり始めております。例年より、わずかながら遅れての、今年の開花。自然もまた、我々と同じく、今回の大震災による惨劇を思い、次に向けての第一歩、この一歩「前へ」出るために、身構えていたのでしょうか。ようやく、皆さんの新たな志とともに歩み出したようにも見受けられます。

本来ならば、本日4月7日、日本武道館において入学式の式典を挙行し、新入生の皆さんに対し、ご入学のお祝いをさせていただく予定でおりました。しかしながら、先日の大震災で、未曾有の被害が発生しました。加えて、福島第一原発の放射能漏れ事故が発生しています。放射能汚染による危険度は、現在のところ、レベル6相当との評価がなされています。そのレベルは、実質的には、同じく冷却系損失事故でレベル5と評価された、1979年の米国・スリーマイル島の原発事故より高いと言われております。また他方で、原子炉が暴走し、レベル7と言われた1986年のソ連・チェルノブイリの原発事故よりも低いものと評価されています。さらに、このたびの原発事故は、首都圏の電力事情にも、多大な影響を与えております。計画停電の実施などにより、生産・物流をはじめとする経済分野の停滞は、大きな社会問題になっています。

このような状況に鑑み、私どもは、皆さんの安全確保を第一に考え、苦渋の決断、すなわち日本武道館において入学式の式典を挙行することを中止する決定をいたしました。明治大学を代表して、新入生の皆さん、およびご父母・ご親戚の皆様に対し、このたびの中止措置について、ご理解を賜りたくお願い申し上げますとともに、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。

さて、わが明治大学は、今年1月17日に、創立130周年を迎えております。本学にとってこの記念すべき年に、しかも一般入試の志願者数が「2年続けて日本一」という厳しい入試を戦い抜いて、皆さんはご入学されました。ご入学、誠に、おめでとうございます。皆さんと新しい縁をもつことができ、私どもは大変嬉しく思うとともに、皆さんを心より歓迎いたします。

1881年(明治14年)、本学は、わが国が封建社会から近代社会へと変容する時代に、明治法律学校として創立されました。創立者は、若き法律家―岸本辰雄、宮城浩蔵、および矢代操の3名です。彼らは、わが国の「近代化」を図るためには、まず「個」の確立が必要であるとの潮流に与いたしました。「個」の確立を基礎とした教育方針は、近時、「個を強くする大学」というキャッチ・フレーズとなり、発展的に継承されています。この「個を強くする」という語は、決してエゴを奨励するものではありません。私どもは、社会や企業などのいかなる組織の中にあっても、自らの使命・役割を見出し、一人の『個』として輝ける人材を育成するという意味で用いています。

ところで今、わが国では諸分野にわたり、パラダイムシフトが始まっています。ドイツやフランスがモデルとなった「明治維新」、アメリカをモデルにした「戦後改革」。これらに匹敵する、歴史的な転換期を迎えています。しかも世界は、米国一極主義の構造が揺らぎ始めており、21世紀社会において、基軸となるべきモデルを見出せないまま、先行きが不透明な状況下にあります。世界秩序の多様化・フラット化が進行している中で、大学を取り巻く環境も変化しているといえます。

この時代状況の中で、明治大学は節目の年、創立130周年を迎えたわけであります。その記念事業の基本コンセプトは、「世界へ」であり、そのサブ・タイトルは「『個』を強め、世界をつなぎ、未来へ」です。人類の未来を見据えて、「世界へ」飛び立つ人材を育成すること。この点に、本学の現時点における使命があるとの確信に基づいています。世界をつなぎ、国際社会における真の平和の構築に寄与できる大学、それは、本学が目指す「世界に開かれた大学」、そして20年後の創立150周年に向けた展望として期待されている「世界に発信する大学」という構想に挑戦する大学を志向しています。

このような時期に、ご入学された皆さん。皆さんは、このたびの東日本大震災を、どのように見ておりますか。確かに、自然災害ではあります。その震災による被害は、未曾有のものです。わが国と国民にとって、大きな損失です。その復旧・復興には、長い歳月にわたり、国をあげて取り組むことになるでしょう。しかし私は、この大震災につき、もう一つの視点を提示したいと思います。

それは、今回の大震災は、わが国が戦後65年間、一貫して「経済復興」を旗印に追求し、かつ社会の諸分野で展開された「効率化・合理化」という政策・路線に対する警告ではないかと観ております。今こそ我々は、このたびの大震災を教訓にして「人間性を基本に据える」という政策視点のもと、すべての社会制度やシステムにつき抜本的に見直し、必要な変革を提言し、その実現にむけ挑戦すべきではないでしょうか。いかなる困難や労苦があろうとも。そして、その中から、再び、光輝満つ日本として復興しなければならないと思います。

新入生の皆さん。皆さんには、わが明治大学において、ぜひ、国際的視野に立って、かつ遠くを見つめて、人類のために何ができるかを学んでいただきたい。さらに皆さんには、どのような難局に遭遇しても、もう一歩「前へ」歩み出しうる勇気、すなわち「明治魂」を習得してほしいと願っています。

最後になりましたが、皆さんが明治大学の学生として、「今を大切に」との心構えで、実り多い学生生活を送られることを心からご祈念申し上げまして、学長の入学式告辞に代えたメッセージとさせていただきます。

2011年4月7日

明治大学
学長 納谷 廣美


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