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農林水産省

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特集1 みかん(1)

原産地はインドのアッサム地方で、中国を経て日本に伝わったとされるみかん。
よく知られたビタミンCのほか、近年の研究で改めてその健康機能に注目が集まっています。
古くから日本人に愛されてきたこのなじみ深い果物の世界を探訪してみましょう。

かんきつ類では最も収穫量が多い 温州(うんしゅう)みかん



皮をむきやすく、甘くて、食べやすい──。
温州みかんは長い時間をかけて育成され、日本を代表する果物の一つになりました。
みかん


中国の地名を冠した日本生まれのかんきつ
「『みかん』とは皮をむきやすい小型のかんきつ類の総称ですが、一般的には圧倒的に収穫量の多い温州みかんを指す言葉として用いられます」と語るのは、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)果樹茶業研究部門カンキツ育種ユニット長の吉岡照高さんです。

「温州」とはかんきつ類の産地として名をはせた中国浙江省(せっこうしょう)の地名ですが、原産地は鹿児島県の長島とされ、中国から伝わったかんきつ類から偶発実生(みしょう)として生まれたと考えられています。

江戸時代にみかんといえば紀州みかんが主流で、家名の存続が重視されていたことから種の無い温州みかんは避けられていましたが、明治時代を迎えると、その食べやすさと玉の大きさが人気となり、生産が盛んになっていきました。

各産地で進められてきた栽培の工夫や品種改良
暖かい気候を好む温州みかんは現在、主に関東以西の沿岸地域で栽培され、和歌山、愛媛、静岡が代表的な産地ですが、熊本や長崎など九州地方も1960年代に生産量を大きく伸ばしています。

「青島(あおしま)温州や宮川早生(わせ)など多くの品種がありますが、古くから三ヶ日、有田(ありだ)といった産地名がブランドとされています。これまで各産地では競うようにして栽培技術を磨き、よりおいしく、食べやすいみかんの選抜を進めてきました」と吉岡さんは言います。

また、もともと冬が旬の果物ですが、より早期の出荷を目指した品種育成も進められ、10月以前に収穫が始まり甘味と酸味のバランスが人気の早生みかんなど、長い期間、各産地のさまざまな味を楽しめるようになりました。


温州みかんとその他のかんきつ類
温州みかんとその他のかんきつ類 温州みかんは農林水産省「果樹生産出荷統計」(平成26年産)
その他かんきつ類は農林水産省「特産果樹生産動態等調査」(平成25年産)
温州みかんの収穫量と主なブランド名
温州みかんの収穫量と主なブランド名

出典:農林水産省「果樹生産出荷統計」(平成26年産)


温州みかんの収穫時期
温州みかんの収穫時期



取材・文/下境敏弘
撮影/島 誠



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