主な式典におけるおことば(令和2年)

天皇陛下のおことば

新年一般参賀
令和2年1月2日(木)(宮殿)

新しい年を迎え,皆さんと共に祝うことをうれしく思います。

その一方で,昨年の台風や大雨 などにより,いまだ御苦労の多い生活をされている多くの方々の身を案じています。

本年が,災害のない,安らかで,良い年となるよう願っております。

年の始めに当たり,我が国と世界の人々の幸せを祈ります。

第201回国会開会式
令和2年1月20日(月)(国会議事堂)

 本日,第201回国会の開会式に臨み,全国民を代表する皆さんと一堂に会することは,私の深く喜びとするところであります。
 国会が,国民生活の安定と向上,世界の平和と繁栄のため,永年にわたり,たゆみない努力を続けていることを,うれしく思います。
 ここに,国会が,国権の最高機関として,当面する内外の諸問題に対処するに当たり,その使命を十分に果たし,国民の信託に応えることを切に希望します。

国立障害者リハビリテーションセンター及び国立職業リハビリテーションセンター創立40周年記念式典
令和2年1月22日(水)(国立障害者リハビリテーションセンター)

 国立障害者リハビリテーションセンター並びに国立職業リハビリテーションセンターの創立40周年記念式典に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 この2つのセンターは,障害のある方々が自立した生活を送り,社会に参加することができるよう,医療から職業訓練,就労支援までを一貫して行うことを目的として,昭和54年に設立されました。
 近年は,科学技術の発展に伴い,再生医療を受けた人に対するリハビリテーションの手法の開発など,様々な新しい取組も進められていると聞いております。こうした取組の積み重ねや,情報通信技術の発達など,社会環境の変化を背景に,障害のある方々がその能力を活かして働くことができる社会が,一歩一歩実現に近づいていることを喜ばしく思います。障害者の自立と社会参加のために力を尽くしてこられた両センターの職員を始め,多くの関係者のたゆみない努力に対し,心から敬意を表します。
 今年の8月から9月にかけて東京2020パラリンピック競技大会の開催を控えている我が国では,障害のある方々に対する理解が徐々に深まってきていることを感じています。今後,障害の有無にかかわらず,誰もが相互に人格や個性を尊重し支え合う「共生社会」が築かれていくことを切に願っています。
 創立40周年を迎えた両センターが,それぞれの機能をより一層充実させ,今後も我が国のリハビリテーションの分野において大きな役割を果たしていくことを期待し,お祝いの言葉といたします。

全国戦没者追悼式
令和2年8月15日(土)(日本武道館)

本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。

終戦以来75年,人々のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき,誠に感慨深いものがあります。

私たちは今,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,新たな苦難に直面していますが,私たち皆が手を共に携えて,この困難な状況を乗り越え,今後とも,人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。

ここに,戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ,過去を顧み,深い反省の上に立って,再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,全国民と共に,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

第202回国会開会式
令和2年9月17日(木)(国会議事堂)

 本日,第202回国会の開会式に臨み,全国民を代表する皆さんと一堂に会することは,私の深く喜びとするところであります。
 ここに,国会が,当面する内外の諸問題に対処するに当たり,国権の最高機関として,その使命を十分に果たし,国民の信託に応えることを切に希望します。

第203回国会開会式
令和2年10月26日(月)(国会議事堂)

 本日,第203回国会の開会式に臨み,全国民を代表する皆さんと一堂に会することは,私の深く喜びとするところであります。
 ここに,国会が,国権の最高機関として,当面する内外の諸問題に対処するに当たり,その使命を十分に果たし,国民の信託に応えることを切に希望します。

議会開設百三十年記念式典
令和2年11月29日(日)(国会議事堂)

 議会開設百三十年記念式典に,皆さんと共に出席することを誠に喜ばしく思います。
 我が国の議会は,明治23年,大日本帝国憲法の下で開会された第1回帝国議会に始まり,中断されることなく,戦後,日本国憲法により設立された国会に引き継がれて,今日に至っています。
 明治,大正,昭和,平成,そして令和と,これまで130年の歳月にわたり,議会が,我が国における議会政治の確立に努め,国の発展と国民生活の安定向上に力を尽くしてきたことに深い感慨を覚えます。
 現在,我が国を含む世界各国は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大による困難な状況に直面しております。その中にあって,国内外の諸情勢に思いを致すとき,国会が,国権の最高機関として,国の繁栄と世界の平和のために果たすべき責務は,ますます重要になってきていると思います。 
 ここに,関係する皆さんが,先人の努力をしのぶとともに,決意を新たにして,国民の信頼と期待に応えることを切に希望します。

GEA国際会議2020開会式
令和2年12月14日(月)(ザ・キャピトルホテル東急)

 国内外からの参加者を迎え,GEA(地球環境行動会議)国際会議2020が開催されることを,うれしく思います。
 気候変動やその他の脅威から地球環境の保全を図ることは,私たちが取り組むべき喫緊の課題と言えます。私がこれまで関わってきた「水」の分野においても,近年頻発する水災害はその遠因に気候変動があると分析されており,今十分に対策を講じなければ被害が激化していくことが懸念されています。
 また,現在世界各地で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の感染拡大は,人類にとって大きな試練です。この困難な状況を乗り越えていくために,今後,私たち皆がなお一層心を一つにして力を合わせていくことが大切です。同時に,この感染症の試練は,私たちの日々の生活や社会の在り方を改めて見つめ直す機会ともなると思います。
 このような中で,「環境と経済の統合~環境と成長の好循環を目指して~」をテーマとした本会議は,持続可能な社会の構築に向けて,私たちが国や立場の違いを越えて協力し合うため,世界の(えい)智を結集する貴重な機会です。今年2020年は,2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」の達成に向けた「行動の十年」の始まりの年であるとともに,気候変動に関する「パリ協定」の実施が開始される重要な年です。世界全体がこれらの目標に向けた取組を本格的に推進していくことが求められている現在,私たちの望む未来に向けて一人一人がどのように行動するかが問われています。
 今回の会議では,持続可能な開発目標,気候変動,生物多様性の保全,循環経済など幅広い課題に対する国や企業の戦略,科学技術や金融の果たす役割などについて,様々な分野の専門家を迎え,議論が行われると聞いています。
 この会議で,私たち人類と,私たちの子孫,そして更には全ての生き物が,末永く地球環境の恵みを享受できるような未来の実現に向け,活発な議論が行われ,世界に向けて発信されることを期待いたします。そして,新型コロナウイルス感染症の試練を乗り越え,持続可能な社会の構築に向けた具体的な取組が更に進むことを願い,挨拶といたします。