インタビュー記事

京成電鉄 鉄道本部副本部長兼安全推進部長 田中亜夫

受け継ぐもの、変えていくもの
3100形で実現しました。

田中亜夫

京成電鉄 鉄道本部副本部長兼安全推進部長
※インタビュー時、鉄道本部副本部長兼車両部長

16年ぶりとなる新型車両製造の総取りまとめを行った
鉄道本部副本部長兼安全推進部長の田中亜夫氏にお話を伺います。

導入のきっかけ(なぜ3000形ではなく、3100形の開発になったのか。)

 3000形は2003年に導入され、京成本線の輸送を担ってきました。さらに、当社の節目の事業となる2010年の成田スカイアクセス線開業時には、アクセス線用の車両として、3000形のデザインや一部機器を変更した3050編成を導入し、空港輸送を支えてきました。
 この間、訪日外国人が大幅に増え、お客様のニーズが多様化するほか、省エネルギー化などの技術も進歩してきました。これらの情勢の変化を踏まえ、サービス機器の拡充や更なるバリアフリー対応、省エネルギー化の推進を図り、全てのお客様に快適にご利用頂くため、京成グループ標準車両として、新京成電鉄と共同で新型車両の開発に踏み切りました。

新型車両(3100形)製造にかけた思い。

 新型車両は、今日まで京成電鉄が受け継いできた伝統や、3000形で培ってきた経験を基本としつつ、新しい技術や設備を取り入れ、「受け継ぐ伝統と新たな価値の創造」のコンセプトのもと、多様化するニーズと空港輸送という路線の特性に対応できる車両を目指し、開発を進めてきました。3100形が、京成グループの新しい歴史を築いていきます。

3100形開発のポイント(外装・内装)

 3100形は3000形の視認性や操作性を維持するため、前照灯や乗務員室の配置を継承しました。一方、先頭形状に絞りや折りを取り入れたほか、急行灯・尾灯は上部から降りてくるラインに合わせたシャープな形状とし、空港への速達輸送を担う車両として、スピード感を表現しました。
 今回導入する3100形は、成田スカイアクセス線で運用する車両であり、京成本線との誤乗防止を図るため、車体外板に成田スカイアクセス線の案内カラーであるオレンジを採用しています。さらに、空港を利用するお客様に、旅の高揚感を感じて頂きたく、沿線各所のイメージイラストを車体に描きました。
 車内設備においては、空港輸送を担う車両として、大きな荷物を持ったお客様にも快適にご利用いただくため、座席を一部折り畳み式とした荷物スペースや、フリースペースを設けました。

3100形に期待するものは何か。

 2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、これまで以上に訪日外国人のお客様がご利用されることが予想されます。3100形は日本の空の玄関口でお出迎えするに相応しい車両となっているので、当社のフラッグシップモデルであるAE形と共に、空港をご利用になるお客様のファーストチョイスになることを期待しています。