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能登半島地震の二次避難所となっているホテルアローレで、視覚障がい者向けに、コード化点字ブロックによる被災者支援。情報工学科松井くにお教授と「あうわ」視覚障害者の働くを考える会のグループで

「あうわ」視覚障害者の働くを考える会代表の林由美子氏のFacebook より

令和6年能登半島地震で被災された皆さまならびにご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

金沢工業大学工学部情報工学科の松井くにお教授の研究室では音声情報提供システム「コード化点字ブロック」を開発しています。点字ブロックの25個ある点に色をつけた「コード化点字ブロック」をスマートフォンのアプリで読み込むことで、音声情報を提供するもので、視覚障がい者の方が誘導情報を選択できるのはもちろん、観光客や外国人に向けの観光情報を提供することもできます。

コード化点字ブロックは、歩行者の進行方向によって異なる情報の提示が可能で、1枚の点字ブロックにつき2の25乗で約3,000万種類、さらに4方向あわせて1億3,421万7,728通りの情報提示が可能です。

金沢市内では金沢21世紀美術館周辺や国立工芸館周辺、国道157号線の香林坊二丁目交差点~香林坊交差点間、国道157号線の武蔵交差点~尾山交差点間に約130カ所敷設されているほか、神戸市のポートライナー「医療センター駅」などにも設置されています。

2024年1月28日(日)、松井教授は「あうわ」視覚障害者の働くを考える会の方2名と、令和6年能登半島地震の二次避難所となっている加賀市のホテルアローレにおいて、コード化点字ブロックを使ってホテル内の道案内を行なう被災者支援を行いました。

松井教授によれば「視覚障害者はいつもの場所と違うと本当に困っていました。今回はホテルなのでよいのですが、1.5次避難所では、夜中のトイレに行くのが難しく、我慢を続けるようなこともおっしゃっていました」と話します。

ホテルアローレで行った支援は「視覚障がい者が一人で部屋からロビーまで行けるようにする」というものです。松井教授らは、コード化点字ブロックを壁や柱に貼り付け、その場で案内情報を入力・登録しました。胸の高さくらいに印刷したコード化点字ブロックを貼ると、胸ポケットに入れたスマホがちょうどよく反応することがわかりました。

流れとしては、まずは、当事者の要望を聞く、ホテルにコード化点字ブロックの貼り付けの許可をもらう、現場で設置位置を決める、案内情報を考える、案内情報を入力する、ホテルの人にチェックしてもらう、実際に経路を歩いてアプリが反応するか、案内情報が正しいかを確認する、変更または追加情報がないかを確認する、当事者のアプリの利用法のこつを教える、これらを3時間で行ないました。

松井教授らは今回、飛び込みでお願いをしに行ったそうですが、ホテルアローレの太田 長夫 代表取締役社長が即、理解をしてくださり、今回の支援が実現しました。

「当事者の方の笑顔がとても印象的でした」という松井教授。「少しだけですが、復興支援のお手伝いと、コード化点字ブロックの新たな利用法の可能性が得られました」と語っています。

当取り組みの詳細は以下からご覧になれます。

「あうわ」視覚障害者の働くを考える会代表の林由美子氏のFacebook

【関連ページ】

松井くにお研究室が開発した「コード化点字ブロックについて」

金沢工業大学研究室ガイド 情報工学科 松井くにお研究室

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