初体重40g前後, 100g前後のWistar系ラットを用い健常時, CCl
4注射時, 腹腔開放 (短期間胃腸露出) 時, 左片側副腎摘出時のcyp. の食欲増進効果を調べた。
1. cyp.0.1mg/kg/日, 0.2mg/kg/日, 1mg/kg/日, 2mg/kg/日, 4mg/kg/日をラットに経口 (時に注射, 食餌中) 投与し摂食量, 体重増加量, 摂食状況を観察し, その結果相互間に差を認めなかった。 そこで以後の実験では, cyp. 投与量を2.5mg/kg/日とした。
2. CCl
4 0.05ml/100g, 0.1ml/100gの腹腔内注射を行なった場合
1) cyp. 投与群と無投与群では摂食量, 体重増加量に差を認めなかった。
2) 14~16日後の血液生化学所見では, 両群ともにCCl
4障害による影響を認めたが, 両群間の差は認めなかった。
3) 効率に関してはcyp. 投与群の方がCCl
4注射後4~5日間は高かったが, その後両群に差を認めなかった。
4) 組織学的検索では, CCl
4により両群の肝小葉には14~16日後でも中心性脂肪化および肝細胞破壊を著しく認めた。 その他副腎, 腹部筋肉等は両群ともに異常を認めなかった。
3. 一時的に腹腔開放を行なった場合
側腹部に切開を加え, 胃・腸を取り出し数分露出した場合, cyp. 投与の有無に関係なく摂食量, 体重増加量, 血液生化学所見, に差を認めなかった。
4. 左片側副腎摘出手術を行なった場合
1) 術後の体重減少率はcyp. 投与群の方が好成績で, 2~3日後には両群とも同程度の増加率を示した。
2) 摂食量, 体重増加量, 効率には差を認めなかった。
3) 血液生化学所見では Ht, Hbについてはcyp. 群がやや高値を示した。
4) 肝臓, 副腎の組織学的検索でも両群ともに正常であった。
5) 両群ともに術後腹膜, 胃, 肝臓等の癒着したものも見られたが, 食物の通過その他に支障はなかった。
抄録全体を表示