当院における羊水量異常とそれに伴う新生児疾患について, 過去11年間の症例を集計して検討した.
羊水過多症
は21例, 羊水過少症は7例で分娩総数に占める割合は各々0.3%, 0.1%で, 男児が多かつた. 昭和58年1年間の正常分娩475例を対照として検討したところ, ともに早産, IUGRの傾向を示し, Apgar scoreも低く, 児の死亡率, 奇形率は
羊水過多症
で58.3%, 45.8%, 羊水過少症で50%, 50%と高い傾向を示した.
児の奇形は中枢神経系に多く,
羊水過多症
では無顎症, 過少症ではPotter症候群の症例もあつた.
羊水の循環動態, 調節機構はまだ不明の点が多いが, 胎児奇形との関連が高いと考えられることからも胎児情報源としての羊水の意義は大きい. 羊水量異常が疑われる症例では超音波断層法, 染色体分析, 胎児造影法などの出生前診断がより必要であろう.
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