NMR現象において，ラジオ波(RF)パルスの照射で励起した核スピンが基底状態に戻る過程を“緩和”と呼ぶ．T₂緩和は横緩和とも呼ばれ，横方向の磁化ベクトルが時間(t)とともに減衰する緩和過程のことである．NMR信号のT₂緩和挙動はI⁄I₀＝exp(−t⁄T₂)と表され，この式の時定数(T₂)がT₂である．したがってT₂とは，RFパルス照射によって発信されるNMR信号が36.8％に減衰するまでの時間と定義することもできる．
またNMR緩和には，T₂緩和のほかに回復型のT₁緩和(縦緩和)がある．T₁は，NMR信号の縦磁化が63.2％まで回復するのに要する時間と定義される．

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【目的】Voxel-based quantification （VBQ） smoothingは，Montreal Neurological Institute標準空間上の定量画像に対する平滑化方法の一つである．VBQ smoothingは，組織境界の定量値の変化を抑制する特徴をもつが，脳の

マップに適用する際にの変化をどの程度抑制できるかは明らかになっていない．本研究の目的は，マップに対するVBQ smoothingの有用性を明らかにすることである．【方法】健常者20名を対象に2D multi-dynamic multi-echo sequenceを用いて脳を撮像し，（T₁値，T₂値，プロトン密度）画像を取得した．マップのカーネルサイズを1から6 mmまで変化させてVBQ smoothingとGaussian smoothingを適用し，脳組織を対象に平滑化後のの変化を評価した．【結果】VBQ smoothingを適用したマップは，Gaussian smoothingと比較して平滑化によるの変化が小さかった．また，カーネルサイズの増加に伴うの変化は，Gaussian smoothingと比較して小さかった．そのため，VBQ smoothingは，マップに対して平滑化を行う場合，Gaussian smoothingよりもの変化を小さくできることが示された．【結語】VBQ smoothingは，平滑化によるの変化を抑制でき，マップに対して有用な平滑化方法である．特にが大きく異なる組織が隣接する領域で有用性が高い．

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構造性および保水性を含めたクロボク土の土壌物理性は, 土壌深さによって規則的に変化する。土壌深さによる変形挙動の差異については不明である。側方拘束条件におけるクロボク土の応力緩和試験を行い, 緩和現象を規定する応力について実証的検討をした。土壌深さによるの変化の特徴を示し, 土壌の性状変化の種々の要因がに及ぼす影響を考察した。
土壌深さが浅いほどは減少し, 自然構造の有無にかかわらず有機物含有量とともには減少した。また, 土壌の緊密化によっては増大し, 含水状態によって複雑な変化を示した。さらに内部構造に由来する変形特性との関係も検討した。

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半導体デバイスの熱問題が深刻化している現在、Si MOSFETの適切な熱設計が求められており、熱・電気連成解析はその有力候補である。 熱・電気連成解析は、ボルツマン方程式の散乱項をで近似することによって解かれ、は専ら定数などが用いられる。しかし、は発熱現象に密接に結びついており、より正確ながより正確な発熱予測を可能とする。今回、我々はモンテカルロシミュレーションにより、運動量を求め、それらの結果を熱・電気連成解析にフィードバックすることによって、従来の熱・電気連成解析との比較を行った。

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正常5名,心筋梗塞症13名,肥大型心筋症8名の心電図同期MRIを撮影した.正常例では,左心室壁は均一な厚みをもち,T₂は,平均45.8±10.2msecであった.心筋梗塞症では,陳旧性梗塞巣は壁の菲薄像として描出され,T₂は平均42.9±11.1msecであり,新鮮な梗塞巣は壁厚の異常はみられずT₂は平均61.7±20.1msecであった.肥大型心筋症では,壁の肥厚は横断・矢状・冠状断層像で盲点なく描出されたが,T₂は,同一症例でも8例の平均でも左心室壁の各部位の差はみられず,心室壁の平均のT2は4L7±10.2msecであった.
心電図同期MRIでは,心筋梗塞症では新鮮な梗塞巣と陳旧性梗塞巣との鑑別が可能であり,肥大型心筋症では,T₂が正常心筋と差異はみられないものの肥厚部の立体的な把握が容易であり,MRIは,両疾患に対し有用な画像診断法と考えられる.

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MRIより得られるT1, T2を用いて, 非観血的に筋線維組成を推定できるかどうかについて検討するために, 16名の体育専攻学生に筋生検との測定を実施し, 両者の関係について検討した.
筋線維組成 (%FT線維) と (T1およびT2) の間には, いずれの組合せにおいても正の高い相関関係が認められた.また, 速筋線維の占有率が高い者ほど両において長い値が示されたことより, 速筋線維の方が遅筋線維に比べてが長いことが示唆された.
さらに, 筋線維組成の推定法としての妥当性を検討するために重回帰分析を行ったところ, T1とT2を組み合わせた変数およびT1の単独変数において筋線維組成と有意な関係が得られた.
したがって本研究では, MRIによるによって, 筋線維組成 (%FT線維) を非観血的に推定できる可能性が示唆された.

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低温でスピンアイス状態になるDy_2_Ti_2_O_7_の

は均一な試料(単結晶)でも広い分布を持ち、単純な緩和機構では説明できない。我々はこの原因を調べる為にA, Bサイトを元素置換した試料を作製し、交流磁化率を測定した。緩和解析の結果から、乱れた試料ほどの分布が狭くなる傾向があり、これは乱れが無いスピンアイス物質のに分布がある事に矛盾しない。本講演ではスピンアイス状態本来の緩和機構を議論する。

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照射食品に誘導されたフリーラジカルの不対電子のは，ラジカル相互作用の指標となる。連続波（CW-）ESRを用いる場合，1本線のピークではLund法のシミュレーションを用いる事ができる。複数ピークからなるCW-ESRスペクトルからを求めるため，ピーク分離を行った。はパルスESRで直接測定可能である。CW-ESRで複数ピークとなるスペクトルに対して，そのままLund法のシミュレーションを適用して，照射アミノ酸のを求めたところ，パルスESRの測定結果とは全く異なっていた。複数ピークをもつ照射アミノ酸のスペクトルに対してGaussianピークとしてフィッティング後，それぞれのピークに対してLund法を適用して求めたT₂は，パルスESRで測定された値とよく一致していた。CW-ESRによる測定で，複数ピークをもつESRスペクトルが得られた場合，ピーク分離後にLund法を適用する解析法は，を求める際に有効と考えられる。パルスESRで複数ピークが同じg値をもつ時，CW-ESRでラジカル構造を踏まえたピーク分離を行うと，簡単にを求められると考えられる。

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スピン三重項多重超伝導体で知られているUPt_3_においてその超伝導起源であると目されている反強磁性秩序(ゆらぎ)に対してNMRによる^195^Pt核のKnight shiftおよびスピン-格子

、スピン-スピンの測定を通じてその観測を試みた。

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ガラス状ポリカーボネート (PC) およびポリメタクリル酸メチル (PMMA) の圧縮降伏過程における単一を非線形単一緩和模型を用いて評価した. この模型は, 定数弾性率をもつ1個のバネおよび変形下で生じるガラスの構造変化を表現するパラメータとしての可変粘度をもつ1個のダッシュポットからなる. この模型を応カ-ひずみの実験曲線にフィッティングして求めたひずみ依存のは, 実際に種々のひずみ量において応力緩和させて求めたと良好に一致した. この模型は, PMMAの引張降伏過程における変化を定量的に表現することがすでにわかっている. したがって, この模型は, 高分子種および引張・圧縮の変形様式とは無関係に, 降伏過程におけるガラス状高分子の変化をおそらく一般的に表現できると考えられる. PCおよびPMMAにおける変化, および, 引張および圧縮下における変化の違いについても議論した.

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The diagnostic value of magnetic resonance imaging (MRI) for lesions situated in the major salivary glands was clinically discussed in this study. A total of 46 patients with salivary gland disorders treated in our department over the past five years were assessed by mean of MRI, and in 11 patients the findings were compared with the histopathological features of lesions sectioned at the same level postoperatively. In addition, preliminary investigations to introduce a new qualitative diagnostic procedure for estimation of salivary gland function in geriatric patients were attempted. In this investigation, T₁ and T₂ values, and signal intensity ratios of the submandibular gland were measured in elderly patients complaining of dry mouth and in healthy controls. Likewise, salivary gland function was examined by taste stimulation induced by applying citric acid to the tongue surface just before starting MRI. The results of these trials were as follows:
1 MRI clearly demonstrated lesions in the salivary glands.
2. The histopathological diagnosis could not be accurately predicted by signal intensity. However, benign tumors showed higher intensity signals than did malignant tumors in T₂-weighted images.
3. Cystic lesions could be differentiated from tumors by signal intensity.
4 Histopathological features of salivary gland tumors corresponded to the MRI signal intensity.
5. Relaxation times of T₁ and T₂, values and signal intensity in each major salivary gland were diminished in elderly patients in a resting condition.
6. Only T₁ values in healthy subjectives remarkably responded to taste stimulation.
These results suggest that MRI is useful and beneficial not only in the qualitative diagnosis of tumors arising from salivary glands but also in the estimation of salivary gland function. MRI should therefore be included in routine diagnostic examinations for salivary gland disorders.

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マイクロ流れに対応する格子ボルツマン法（Micro-flow LBM） を用いて燃料電池の触媒層を模擬した3次元のナノスケール流路内流動について解析を行った。その際、単一（SRT）モデルによるLBMと多（MRT）モデルを導入したLBMを用いた解析を比較検討した。得られた速度分布と分子動力学法により得られる速度分布とを比較することで多によるmicro-flow LBMの有効性を確認した。

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ポリエチレンテレフタレート (PET) エレクトレットについて表面電荷の等温的経時変化, 導電率, 誘電分散およびコンタクトレス電極による熱刺激電流 (TSC) の測定を行い, それぞれの方法で得られるの相互関係を検討した. このエレクトレットの表面電荷の寿命をGubkinの現象論を用いて求めた. 見掛けの導電率は電界方向によって大きく異なった. TSCのピーク温度から求めた2種類のと一致したが, この方法から表面電荷の寿命を推測することは困難であった. この寿命は電界方向によって異なる見掛けの導電的と比例関係にあることが示された.

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米飯の特性を物理的に把握するため, 米飯塊に一定の応力を加えた後, それが緩和される時間を測定したところ, 以下のような結果がえられた.1.米飯塊の応力は稲品種間で明らかな差がみられた.2.精米を室温と冷蔵庫に1ヶ月間保蔵したときの飯塊は, 応力が延長し稲品種間, 保蔵条件間で有意な差がみられ, 保蔵に対する品種の反応差が認められた.3.玄米を284日間保蔵し, 期間中に4回とう精, 炊飯し飯の応力を測定したところ, 保蔵期間の増加につれて応力は延長した.白米で保蔵したものは, いっそう影響が大きく表れ積算温度に比例するようにみられた.

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家兎膀胱にV2腫瘍を移植して, 腫瘍, 非腫瘍部膀胱組織ならびに血清を経時的に採取し, 腫瘍の発育に伴う¹Hの核磁気共鳴 (NMR) の変化を検討した. はパルスFT-NMR分光計を用いて, T1 (縦) は Inversion Recovery 法, T2 (横) は Curr-Purcell-Meiboom-Gill 法で測定した. 腫瘍の成長, 動物の体重変化ならびに転移の発生状況から1週から4週までが早期から中期, 5週と6週が末期とした.
腫瘍T1は病期とともに徐々に延長する傾向をみせた. これに対して非腫瘍部T1は中期まで腫瘍のT1より短かったが, 末期になるとむしろ腫瘍T1より著しく延長した. 一方, 腫瘍T2は病期による変化を示さなかったが, 非腫瘍部T2はT1と同様に, 末期には著明に延長した. 非腫瘍部と対照群のの延長は組織の水分含量の増加と平行した変化をみせた. これに対して, 腫瘍のと水分含量の間には, 腫瘍成長の全期間を一括してみると有意な相関はなかった. しかし, 各病期ごとにみるとT1と水分含量とはよく相関した. これは腫瘍のに影響する因子は水分含量だけでなく, 水と高分子の相互作用, すなわち水の構造化も少なからず関与していることを示唆している.
血清は腫瘍末期に延長した. この変化は血清蛋白濃度の低下と一致しており, 血清の変化が腫瘍に特異的現象とは考えられなかった.

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セメントの物性と強く関係する空隙構造の経時変化を非破壊で評価することを目的とし，核磁気共鳴法によるプロトン縦測定をセメントペースト調製直後から72hまで20min間隔で連続的に行った。縦の連続分布を仮定した解析を行ったところ，時間変化する特徴的な2つのピークが得られた。核磁気共鳴測定のセメント試料と同一条件で調製した試料に対して，窒素ガス吸着法による細孔径分布評価およびXRD測定による固相の組成分析を行った。分布と窒素ガス吸着法により得られた細孔径分布を比較することで，セメント中のプロトン縦は養生3日までに形成する10から50nmのミディアムキャピラリーおよび50nm以上のラージキャピラリー空隙に存在する水分子を識別できることがわかった。

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