塩野義製薬研究所で開発されたOxacephem系抗生剤6059-SはCephabsporin剤より優れた
in vitroの成績を示し。臨床における高い有効性が期待される抗生剤の一つである。
今回われわれは本剤について基礎的. 臨床的に検討した結果, このことを裏付けることができる成績を得たので, その成績を報告する。
Staphylococcus aureusのMICは6.5~125μg/mlに分布するものと100μg/ml以上のものとの二相性を示し, 比較に用いた他の抗生剤 [Cefazolin (CEZ), Cefotiam (CTM), Cefmetazole (CMZ) およびCefamandole (CMD)] より劣っている。しかし,
E.coliに対しては6059-Sはもっとも強い抗菌力を示し, また
Proteus vulgaris,
Serratia,
Klebsiella pneumoniaeなどでは他の抗生剤に100μg/m以上の耐性のものにもかなりの抗菌力を示し, ことに
Pseudomonas aeruginosaにはCephalosporin剤としてはもっとも強いCefbtaxime (CTX) よりもすぐれた抗菌力であった。すなわちグラム陰性菌に対しては巾広い抗菌性をもつことを認めた。
ラットの臓器内濃度は腎>血>肺≒肝>筋≒脾>脳の順で, 従来検討したcephalosporin剤, CEZ, Cefbxitin (CFX), CMD, Cefuroxime (CXM) とくらべて, 肝ではてれらより低いが, 腎では当初CFX, CMDより低いものの,.1時間以後はこれらより高く, 肺ではほぼCEZ, CXMに匹敵し, 他剤より高く持続がよい。
臨床的に気道感染症8例。胆道感染症3例, 尿路感染症4例および急性リンパ節炎1例の計16例に使用し。
Stmptocoocus viridansが分離された肺炎と
E.coliによる腎盂腎炎の各1例に無効.adult T-cell leukemiaの末期肺炎は
Klebsiella pneumoniaeが
Pseudomms aeruginosaに菌交代して無効, マイコプラズマ性肺炎は判定不能としたが, 残りの気道感染症5例, 胆道感染症3例, 尿路感染症3例および急性リンパ節炎1例の計1a例に有効であった (投与量: 0.5~29.1日2~3回)。
副作用として筋注例に局所痛が1例あったが溶解液をかえることにより (蒸溜水→ リドカイン溶液) 投与を継続し得た。その他GOTの上昇例が1例あったが, 中止1週間後には正常化した。
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