日本で臨床分離された
Staphylococcus aureus (19株),
Enterococcus faecalis (20株),
Streptococcus pneumoniae (16株) および
Haemophilus influenzae (18株) に対するtelithromycin (TEL) のMICおよびMBCを測定し, 既存のマクロライド系抗菌薬であるerythromycin A (EM), clarithromycin (CAM), azithromycin (AZM) およびjosamycin (JM) と比較した。その結果, すべての抗菌薬の
S. aureusおよび
E. faecalisに対するMBC
50/MIC
50およびMBC
90/MIC
90は32以上であったが,
S. pneumoniaeおよび
H. influenzaeに対するMBC
50/MIC
50およびMBC
90/MIC
90は2以内であった。したがって, TELは
S. aureusおよび
E. faecalisに対しては静菌的に,
S. pneumoniaeおよび
H. influenzaeに対しては
殺菌
的に作用することが示唆された。さらに,
S. aureus, S. pneumoniaeおよび
H. influenzaeの標準菌株に対するTELの
殺菌
曲線を求め, EM, CAMおよびAZMと比較検討した。その結果, TELは
S. aureus Smithに対して, CAMに若干劣るものの, EMおよびAZMと同様に, 1/2MICの濃度での増殖を抑制し, MICの濃度から緩やかな
殺菌
作用が認められた。また,
S. pneumoniae DP-1に対して, 他の対照薬と同様にMICより低い濃度で増殖を抑制し, MIC以上の濃度で
殺菌
的に作川した。
H. influenzae ATCC 49247に対しては, 1/2MICの濃度で増殖を抑制し, MIC以上の濃度で
殺菌
的に作川した。TELは, 特に
S. pneumoniae DP-1および
H. influenzac ATCC 49247に対して, EM, CAMおよびAZMに比べて短期間で強力な
殺菌
作用を示し, さらに, これら抗菌薬で
S. aureus Smithおよび
H. influemae ATCC 49247においてみられた再増殖も認められなかった。
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