家族機能には家族が社会の単位として社会に対して営む対外的機能と家族が家族の成員に果たす対内的機能という2方向性があり4), ここでの方法は多面的なまた同時的複合的な家族機能の客観的基準を求めて, 日常活動から対内的機能をみる方法を用いた.比較上既存データを用いたための種々の制約と, 東京給与世帯も予備テストの意味で2事例にとどめた事例研究のため, 以上述べてきたことが一般的性質とはいえないまでも多くの示唆が得られたと考える.
1) 家族機能と家族構成, ファミリーサイグルとは密接な連関があり, 家族内機能数と家族労働力の関係はかなり密である.
2 東京給与世帯では家族外依存度が高い.
3) 農家世帯 (1953年) と東京給与世帯 (1969年) に共通する機能項目数の少ない機能群が時代, 地域, 家族の種類, 家族構成による変化の大きい機能群と考えると, 2方法を用いたがどちらもおよそ変化の大きい順に宗教活動 (以下活動省略), 家事 (生産面), 嗜好, 対配偶者, 経済 (生産機能), 家事 (サービス面), 対子, 社会, 保健, 経済 (消費機能), と並べることができた.
4) 農家世帯で重要だった機能は家事 (生産面), 経済 (生産機能), 宗教, 東京給与世帯で重要な機能は特に嗜好, 対配偶者, 次に保健, 対子 (生殖・養育機能), 社会, 家事 (サービス面) と続く.
5) 総家族機能数は農家拡大家族の方が東京給与世帯より大であるが, 労働力1人あたり平均担当機能数や妻の担当機能数, 重要度の高い機能群は東京給与世帯が最大である (労働力1人あたり平均担当機能数以外は農家核家族は最少).このように現代家族の機能縮小論からの予測とは逆のデータも多くでたが, 家族員の機能の時間密度についてみると確かに減少している.
6) 東京給与世帯では妻担当型機能が圧倒的に多く, 機能の型に変化のみられた社会, 経済 (消費機能) 両活動とも夫担当型から妻担当型へ移行した.
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