以上の結果を要約すると以下のとおりである.
(1) フォーマルな場面における
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着の着用嗜好については, 成人式では振り袖, 卒業式には袴姿, 謝恩会・友人の結婚披露宴にはドレスか振り袖, パーティにはドレス, 夏祭りには浴衣という対応パターンがみられた.
(2)
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着の調達方法については「購入する」, 「持っているものを着る」についで「レンタルにする」という者が多い.
(3) それぞれの
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着についての評価を比較検討した結果, 振り袖は着装面や活動面, 手入れなどに難点はあるが最も日本の伝統的な独自性をもった礼装用としてふさわしい
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着として高く評価している.袴姿はレトロ気分を味わえるものとして, ニューキモノは, ファッション性やしきたりにこだわらない自由さの面で, 浴衣は, 気軽さの点でといったように, それぞれの特性を高く評価している.
(4) 着用嗜好別の評価では, 振り袖派は, 振り袖をそれほど窮屈でもなく変身願望も満たす
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着として評価し, ニューキモノ派は, ニューキモノをしきたりにこだわらず, 礼装用としても通用する気軽な
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着として評価していることが明らかになった.
(5) 因子分析の結果, 各
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着の評価基準として “ファッション性”, “機能性”, “伝統性”, “規範性”, “社会性” など五つの主要な因子が抽出されたが, それぞれの
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着によって, その重みづけに差異がみられた.
今回の調査では近畿圏に在学する女子学生を対象としたが, 今後, より広い地域での調査を行い比較検討していく予定である.
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