これまでの障害者福祉において,「軽度」障害者に関する研究はほとんどなかった.本研究の目的は,「軽度」身体障害者が人生を送るなかで獲得してきたものや状況について考察し,「軽度」身体障害者の社会参加における特性について明らかにすることである.10人の「軽度」身体障害者にライフストーリー・インタビューを行った.その結果,彼らが獲得した5つのカテゴリーとして,(1)交渉で可能となった普通学校・普通学級への通学,(2)ひとりでできるための工夫,(3)移動の自由の獲得,(4)一般就労による経済的自立,(5)生活を豊かにするための多様な社会参加,が析出された.さらにこれら5つのカテゴリーを彼らの障害への意識の視点から再度分析すると,(1)他者との関係性において自己呈示の方法が問題となりやすいこと,(2)「福祉」や「サービス」の利用が限定的であること,(3)経済的余裕を根拠として社会参加の幅を広げること,という「軽度」身体障害者の3つの特性が明らかとなった.
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