Bloch-Sulzberger症候群は色素失調症と呼ばれる特異な皮膚症状を主体とする症候群で,歯,眼および毛髪ならびに中枢神経系などの異常を伴う遺伝性が強いと考えられる疾患である。歯科的所見としては,乳歯および永久歯の先天欠如,形成不全,萌出遅延,栓状歯,双生歯,早期脱落ならびに歯列不正などが報告されている。今回,Bloch-Sulzberger症候群と診断された1例を経験したのでその全身および歯科的所見について報告する。
患者は3歳9か月の女児で,出生時から下半身および腋下に紅斑を伴った膨疹を認め,本症と診断された。身体発育は暦年齢に比べ著しい遅れは認めず,歯年齢も暦年齢と相応していた。歯科的所見として,多数の乳.永久歯の先天欠如,形態異常,乳歯萌出遅延,歯列不正を認めた。皮膚症状,口腔内症状はともに両側性に認められたが,左側でより顕著であった。本症を有する患者の歯科的な対応としては,先天欠如,形成不全,萌出遅延などによる咀嚼障害,審実障害の改善を行い,齲蝕予防,口腔衛生指導も含めた継続的管理が必要と思われる。
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