一九六八年と二〇一八年の五〇年間の社会運動の変化と連続性をどのように捉えるべきだろうか。韓国と台湾の場合には、独裁体制から民主化運動へ、複数回の政権交代へ、近年の脱原発政策への転換の動きなど、きわめてダイナミックな変化が見られる。アメリカ・フランス・ドイツなどでも、一九六八年前後の学生運動は、その後の政治のあり様に大きな政治的影響力を持っている。
しかし日本の場合には、社会変革的な目標達成を志向するタイプの運動は、政治的機会構造の閉鎖性や社会運動の資源動員力の〈弱さ〉、フレーミングの難しさなどに規定されて、政治的目標達成に成功しえた事例に乏しい。政権交代も少なく、しかも政権交代にあたって社会運動のはたした役割は非常に小さい。社会運動出身者の政治リーダーも乏しい。
日本の社会運動研究は、このような現実を直視し、いかに克服すべきかを社会学的に提示していく必要がある。
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