2008年11月,BeckとTewsはWPA-TKIPに対するパケット改ざん攻撃を提案した.彼らの攻撃(Beck-Tews攻撃)はIEEE802.11e規格に対応した無線LAN機器のみを対象にしており,12〜15分の実行時間でMIC鍵の復元およびARPパケットやDNSパケットのような短い暗号化パケットを改ざんできる.JWIS2009において,大東と森井はBeck-Tews攻撃を改良し,
中間者攻撃
の仮定の下で3つの攻撃モードを使い分けることでIEEE802.11e未対応機器でも実行可能な攻撃を提案している.さらに,メッセージ改ざんモード(MIC鍵が得られている条件でメッセージを改ざんする処理)を改良し,実行時間を1分程度まで減少させることに成功している.しかしながら,この実行時間は大きく見積もった値であり,実際の実行時間は更に短くなると予想される.本稿では,無線LAN機器を利用した攻撃実験を行うことによってJWIS2009の攻撃の実行時間を計測し,最も良い条件のときに攻撃の実行時間が平均で10秒程度まで減少することを示す.
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