受刑者を社会に再統合するための支援のための努力は,典型的には,リスク基盤かニーズ基盤である.再統合のためのもう一つの考え方である,長所基盤の(あるいは,「修復的な」)社会復帰は,刑務所から戻ってくる人々を脅威ではなく利用すべき資産として取り扱う.本論文は,心理学者Albert Egrashの所説で初めて定式化された,長所基盤的なものの見方に拠りつつ,こうした努力の背後にある理論を探究する.Eglashは,償いのプロセスには,単なる罰や被害者への弁償ではなく,本人が「2マイル目」を進むことが含まれると主張している.Eglashが「創造的弁償」と呼ぶ,この「2マイル目」は,他者,とりわけ,他の受刑者や刑務所に行くリスクがある者を助けることで,自分の過ちを埋め合わすことを含む.私たちは,長所基盤型の努力は主として,スティグマを管理する手法であると主張する.過ちにより刑罰を受けた個人は,助力行動や,その他社会に積極的に貢献する努力に,明示的にかかわることを通じて,自らの名声を回復することができる.公的な認知に変化が生じることで,人の自己信念や自己アイデンティティの変化が生じうる.私たちは,「3マイル目」の歩みと名づける,長所基盤の動きにおける新たな発展で,本論文を締めくくる.「3マイル目」は,政治的なレベルにおいて,元受刑者の抱える問題に関する活動を行うことによる,スティグマ減少のための,より直接的な努力である.私たちは,この「3マイル目」を,脱スティグマ化に向けた自然な次の一歩であると主張する.
抄録全体を表示