展開葉が5枚になった
カリフラワー
‘野崎早生’とブロッコリー‘早生録’を用い, 昼夜温を変えて育苗を行い, 花らい発育に及ぼす生育初期の温度の影響並びに植物体の生育と花らい肥大との関係を調べた.
1. 1日を2分して, 第2相 (午後5時30分から午前8時30分までの15時間) の温度を15°C (
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) および20°C (ブロッコリー) として, 第1相 (午前8時30分から午後5時30分までの9時間) の温度を15°, 20°, 25°及び30°Cと変えて両植物を35日間処理した. その結果,
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は第1相の温度が15°及び20°Cでのみ温度処理終了までに花らい形成し, ブロッコリーはいずれの温度処理区でも花らいを形成しなかった.
2. 変温処理終了後, 各温度区とも露地区とトンネル被覆区に分けて, ほ場へ定植した. 両植物の出らい及び花らいの成熟は第1相の温度が高いほど遅れ, この傾向は
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においてブロッコリーより顕著であった. どの温度処理区においても, 出らい日並びに花らいの成熟日に, トンネル被覆による影響はほとんど認められなかった.
3.
カリフラワー
の成熟時の花らい重は第1相の温度が高いほど増加する傾向があり, またどの温度処理区の花らい重においても, トンネル被覆の影響はほとんど認められなかった. ブロッコリーの成熟時の頂花らい重は, 処理温度の高低及びトンネル被覆の有無にかかわらずほとんど同じ値となった. 変温処理中に花らいを形成していた
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はすべて正常な花らいとなったが, ほ場で花らいを形成した場合, 多くの異常花らいが発生した.
4.
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の成熟時の花らい重と出らい時の展開葉数, 成熟時の茎径及び総葉数との間に, それぞれr=0.37, 0.62及び0.32の有意な正の相関が認められた. ブロッコリーの成熟時の頂花らい重と出らい時の生育との間に有意な相関は認められなかったが, 成熟時の茎径との間にr=0.51の有意な正の相関が認められた.
5. 以上の結果から, 少なくとも
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の早生種に大きな花らいを着生させるためには, 花らい形成までに葉数を十分に増加させておき, さらにその後花らいが成熟するまで植物体全体におう盛な生育をさせることが必要と考えられる.
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