2007 年 96 巻 1 号 p. 79-85
近年,診察室血圧が正常で,診察室以外の血圧が高値を示す「仮面高血圧」が注目されている.仮面高血圧は未治療者の10~15%,治療中高血圧患者の20~25%に存在する.その心血管リスクは正常血圧より2~3倍高く,診察室と診察室以外の血圧レベルが共に高い持続性高血圧と同程度かそれ以上である.仮面高血圧の表現型には,早朝血圧,ストレス性高血圧,夜間高血圧があり,その治療には個々の背景病態を把握する必要がある.早朝高血圧をターゲットにした降圧療法が,仮面高血圧治療の最初の第一歩である.