日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
原著論文
脂肪吸引術後の術後合併症により救急搬送され入院加療が必要となった4例の検討
宮崎 百代小林 憲太郎山本 真貴子松田 航廣瀬 恵佳植村 樹佐々木 亮木村 昭夫
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2020 年 41 巻 4 号 p. 392-395

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抄録

脂肪吸引術は, 体形の美容的改善を目的とした保険外診療である。手術は全身麻酔下で小さな切開孔から盲目的に広範囲の脂肪吸引を行う。外来手術で行われる症例が多いが, 時に術後当日に救急搬送を要する患者が発生し, 救急部門でその合併症治療に迫られることがある。今回われわれは, そのような患者の実態調査と他院保険外診療による合併症患者の診療請求のあり方を後方視的に検討した。2年半の間に該当症例は4症例であり, 全患者が入院診療を必要とした。半数は輸血を要するほどの貧血を呈していた。また併発した合併症に対し手術療法が必要となった症例もあった。当院当科では, 事務部門と協議し, 東京保険医協会のコメントをもとに保険診療としたが, 診療費は多額になる症例もあり, 保険診療とすることで公的医療費の負担が増すことを考えると, 手術した施設に支払いを請求するなど他の対策も講じる必要がある。

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