日本物理学会誌
Online ISSN : 2423-8872
Print ISSN : 0029-0181
ISSN-L : 0029-0181
非平衡定常系の熱力学と統計力学にむけて (<特集>線形応答理論から50年――非線形・非平衡の物理学)
田崎 晴明
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 63 巻 10 号 p. 797-804

詳細
抄録

マクロな系の平衡状態に関する普遍的な体系である熱力学と統計力学を非平衡定常系にまで拡張するという(まったく未解決の)課題について,問題意識と現状を解説する.特に,過剰熱の概念,「ゆらぎの定理」,確率分布の表現,そして,拡張クラウジウス関係式といった,非平衡定常系の物理学の鍵になりうる結果について,基本的なアイディアと意義を述べる.この解説では,非平衡物理の「業界用語」を持ちださず,古典力学と平衡統計力学の初歩的な知識だけを使って,ミクロな時間反転対称性がいかにマクロな非平衡物理と関わりうるかを描き出したい.

著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top