だがプーチン体制下で順調に増加してきた出生率も、2016年から再び低下しつつある。国家統計局によれば、2016年の出生数は前年より3%減少した。2017年1~9月の新生児は計120万人で、前年同期比より16万人、11.5%の減少となった。
出生数の減少は、80年代のベビーブーム期に生まれた女性が次第に高齢となったことが大きい。90年代の経済危機の時代に生まれた女性の人口層は薄く、今後再び人口減少社会に逆戻りしそうだ。
ロシア国立研究大学高等経済学院人口問題研究所のビシエフスキー所長は、「出産可能女性の減少により、ロシアは今後15年は人口減少が続く」とし、2050年の人口は1億700万人まで減少しそうだと予測した。同所長は、今後深刻な労働力不足に直面する可能性があるとし、旧ソ連に居住するロシア系住民の帰還促進や外国人労働者の誘致拡大を提案した。
ロシアの場合、5歳未満の児童死亡率が1000人当たり7.7人と高い(日本は同2.7人)。交通事故の死者は年間約2万5000人(日本は約3900人)、他殺約1万5000人(日本は約290人)、HIV感染者推定200万人(日本は推定2万5000人)、麻薬常習者推定400万人(日本は推定20万人)など、出生数は日本より多くても、社会環境から短命に終わるケースが多いことも事実だ。
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