特集 障害者割引郵便不正

家電量販店元部長ら10人逮捕

 障害者団体向けの割引郵便料金制度が悪用された事件で、ダイレクトメール(DM)を制度対象と偽って大量に発送したなどとして、大阪地検特捜部は4月16日、郵便法違反容疑で広告主の大手家電量販店「ベスト電器」(福岡市)の元販売促進部長久保俊晴(51)、印刷・通販大手「ウイルコ」(石川県白山市)会長若林和芳(57)=15日付で辞任=両容疑者ら8人を逮捕した。
 ほかに逮捕したのは、「博報堂エルグ」(福岡市)の執行役員板垣信行(47)、障害者団体「白山会」(東京都)会長守田義国(69)両容疑者ら。また、大阪市の広告会社「新生企業」(現・伸正)社長宇田敏代容疑者(53)=同法違反罪などで起訴=ら2人を再逮捕した。
 特捜部によると、久保容疑者は「違法性の認識はなかった」と否認。若林容疑者は「事実は争わないが、真意については弁護士と相談したい」と供述し、他の8人は容疑を認めているという。
 逮捕容疑では、10人は共謀し2007年2月、ベスト電器のDMを制度対象と偽装。白山会など2団体を差出人として、9回にわたり計約214万通を顧客に郵送、正規の郵便料金との差額約2億4000万円を不正に免れたとされる。
 特捜部によると、これらのDMは正規料金が1通120円だが、7円程度で郵送されたという。宇田容疑者らがウイルコに割引制度を不正利用することを提案。同社から売り込みを受けた博報堂エルグがベスト電器に仲介し、ウイルコが制作、印刷したDMを新生企業を通じて発送していたとされる。
 白山会は、発足当初から障害者団体としての実態がなく、同封した定期刊行物も購読者が8割以上など割引の適用条件を満たしていなかったという。(2009年4月16日配信、肩書き・名称、年齢はいずれも記事配信当時)

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