欧州理事会、アルバニアと北マケドニアの加盟交渉開始を承認

(EU、アルバニア、北マケドニア)

ブリュッセル発

2020年03月30日

欧州理事会(EU首脳会議)は3月26日、アルバニアと北マケドニア(旧マケドニア、旧ユーゴスラビア)のEU加盟交渉の開始を承認したPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2019年10月の欧州理事会における両国の加盟交渉の開始承認が期待されていたが、一部加盟国の反対で判断が持ち越されていた。

2019年12月に就任した欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、自身が率いる執行体制を「地政学的な欧州委員会」とし、西バルカン諸国のEU加盟への道筋をつけることを重要課題に位置付けている。2019年10月の判断保留を受けて、欧州委は、2020年2月5日に、経済・カバナンス体制などの改革を重視することによる加盟交渉プロセスの信頼性の向上、首脳・閣僚級の対話と加盟国によるモニタリングを通じた、より強力な政治主導など、加盟プロセスの改善を提案。また3月2日には、アルバニアと北マケドニア両国における法の支配に関する改革の進捗を考慮し、両国との交渉開始を再度、勧告していた。

アルバニアに対しては、交渉開始前の選挙・司法改革などを要請

今回の欧州理事会での承認を受けて、欧州委は今後、両国の加盟交渉に関する指針と原則を定めた交渉枠組みをつくり、枠組みがEU理事会(閣僚理事会)で承認された後、本格的な交渉がスタートする。ただし、アルバニアについては、欧州理事会での承認前日の3月25日、EU一般問題理事会が、交渉開始に先立って、選挙および司法分野の改革、組織犯罪と汚職対策をさらに進めるよう要請している

欧州委のオリベル・バルヘリ委員(欧州近隣政策・拡大交渉担当)は、両国との加盟交渉開始について、「西バルカン諸国の地政学的な重要性を確認するもので、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)という困難な時期にありながらも、EUには地政学的な意思決定を行う意思と力量があることを示すものだ」と述べた。また、フォン・デア・ライエン委員長とジョセップ・ボレル・フォンテーリャス副委員長兼外務・安全保障政策上級代表も交渉開始を歓迎し、西バルカン諸国の地政学的重要性を強調するコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

北マケドニアは、2004年3月にEUへの加盟を申請し、2005年12月にEU理事会から加盟候補国認定を取得した。アルバニアは、2009年4月にEUの加盟申請をし、2014年6月に加盟候補国として認定された(2019年10月4日記事参照)。

(村岡有)

(EU、アルバニア、北マケドニア)

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