電気、天然ガス、飲料水、食卓塩の無償供給が2018年末で終了

(トルクメニスタン)

欧州ロシアCIS課

2018年10月02日

トルクメニスタンのグルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領は9月25日、同国で1993年から続いていた国民向けの電気、天然ガス、飲料水と食卓塩の無償供給を2018年末で終了する大統領決定に署名した。同決定では終了の理由を「政府活動の持続的拡大、資源の合理的利用、社会的補助制度の発展のため」と説明している。

署名されたのは大統領決定「電気、ガス、飲料水、食卓塩の国民向け供給の整理について」。2019年1月1日以降、これまで無償だった電気、ガス、飲料水、食卓塩の供給を有料化し、内閣に対して関係法令の見直しや準備を指示するもの。同国ではサパルムラト・ニヤゾフ前大統領が電気、ガス、飲料水については1993年から、食卓塩については2003年から無償供給としていた。同制度は、天然ガスを豊富に埋蔵・産出するトルクメニスタンの富を象徴する制度となっていた。

また、ベルディムハメドフ大統領は2018年9月25日、アシガバードで開催されたトルクメニスタン人民評議会(ハルク・マスラハティ)で、農業制度改革や2019年の政策課題について演説。安定した高い経済成長と経済の多角化の達成に向け、同年の優先的な資本投下先として、a.炭化水素燃料からのポリエチレン、ポリプロピレン、ハイオクタンガソリンなどの高付加価値化製品の製造、b.トルクメニスタン~アフガニスタン~パキスタン~インドをつなぐ天然ガスパイプライン事業(TAPI、2018年1月25日記事参照)、c.隣国への電力輸出に向けた既存発電所の新設・改修、d.首都アシガバードと、トルクメンバシ(同国西部、カスピ海東岸)、トルクメナバート(東部)、ダシャウズ(北部)をそれぞれ結ぶ幹線道路の建設や補修、などを挙げた。このほか、国民の給与・年金・奨学金の額を10%以上引き上げ、国民の社会保障を充実させることが政府の重要な課題であり、国家予算の75~80%を社会保障費に割り当てる意向を表明している。

(高橋淳)

(トルクメニスタン)

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