SQL ServerとOSSが勢力拡大の兆し――DBMS市場ITmedia リサーチインタラクティブ 第6回調査

ITmedia エンタープライズとITRが実施した読者調査から、データベース導入における現状と今後の動向を伝える。

» 2010年05月12日 15時30分 公開
[藤村能光,ITmedia]

ITmedia リサーチインタラクティブでは、第7回読者調査「クライアント環境」を5月26日まで実施しています。クライアントOSやOfficeソフトの導入や入れ替え意向を調査します。ご回答いただいた皆さまには、調査結果の分析リポートを提供します。回答ページはこちらをクリック


 ITmedia エンタープライズと調査会社のアイ・ティー・アール(ITR)が実施した「DBMS(データベース管理システム)」の読者調査から、企業が活用しているDB(データベース)製品の主流はRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)であることが分かった。また、製品別の利用状況では、Oracle Database、Microsoft SQL Server、IBM DB2の3製品を主要なDBとしている企業が7割を超えた。今後の導入意向ではOracle Databaseに加え、Microsoft SQL Serverやオープンソースソフトウェア(OSS)への回答も集まった。DB製品の現状および今後の動向を、調査結果から伝える。

調査概要

  • 目的:DBMSの導入や入れ替え意向の分析・考察
  • 調査方法:Webによるアンケート。調査票の作成と結果の分析はITRが担当
  • 調査期間:2010年3月11日から25日
  • 有効回答数:183件

DBシステムの現状

 図1は、DB製品の利用状況を示したものだ。RDBMSが92.8%を占め、ほかのDBMS製品の利用は1割程度かそれ以下だった。企業のデータ管理の主力製品はRDBMSであり、構造化/非構造化データを統合管理できるXML DBMS(11.1%)、GoogleなどのWebコンテンツ管理で注目を集めるキー・バリューストア(7.2%)の利用は、現状では少ない。

 RDBMSが幅広く利用されているのは、データ管理に対する企業のニーズの中心が、トランザクション処理やデータウェアハウスなどのデータ分析であるからだ。また、RDBMSがオブジェクト指向DBやインメモリDBMSなどの機能を吸収し、拡張を続けている点も理由に挙がる。

利用しているDB製品の種類 図1:利用しているDB製品の種類(有効回答数180件、複数回答) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年5月)

 企業で利用しているすべてのDB製品を聞いたところ、Oracle Databaseの利用が71.5%と最も多く、Microsoft SQL Server(53.1%)、MySQL(41.9%)、PostgreSQL(33.0%)、IBM DB2(22.3%)が続いた。その他の製品はいずれも1割以下だった(図2)。

企業内で利用されているすべてのDB製品 図2:企業内で利用されているすべてのDB製品(有効回答数:179件、複数回答) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年5月)

 図3は、企業内で最も利用されているDB製品を1つ選んでもらった結果である。ここでもOracle Databaseが46.1%でトップを占めた。以下は、Microsoft SQL Server(21.0%)、MySQL(12.6%)、IBM DB2(6.0%)、PostgreSQL(5.4%)となった。

 上位5製品の合計は91.0%である。企業向けDB製品市場では、Oracle製品が依然として多く、寡占化が進んでいる。一方で、約2割が主要DB製品にオープンソースを採用しており、オープンソース製品の活用が進んでいる傾向がみられた。

現在、企業内で最も利用されているDB製品 図3:現在、企業内で最も利用されているDB製品(有効回答数:167件) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年5月)

DBの運用上の課題

 図4は、DBの運用上の課題を聞いた結果である。最も回答が多かったのは「障害対策/可用性対策」の31.7%だった。「データボリュームの増加」(26.7%)、「運用コストの削減」(26.1%)、「検索性能」(25.6%)、「トランザクション性能」(22.8%)が続いた。一方、「データ連携」(16.7%)、「データベース数の増加」(11.7%)、「データ品質の確保」(9.4%)、「マスターデータの管理」(9.4%)の回答率は低かった。

 この結果から、データ管理担当者は、DBシステムの性能を確保しながら運用管理コストを下げるという相反する課題に直面しており、新たな技術の導入やシステムの大きな修正には手が回っていない状況が推測される。

DB運用上の課題 図4:DB運用上の課題(有効回答数:180件、上位3つを回答) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年5月)

DBに対する今後の期待

 今後導入したいDB製品を1つ選んでもらったところ、Oracle Database(25.3%)が最も多く、Microsoft SQL Server(22.0%)、MySQL(14.3%)が続いた。上位3製品の順位は、図3の「現在最も利用しているDB製品」と同じだったが、今後導入したいDB製品として、Microsoft SQL Server、MySQLやPostgreSQLといったオープンソース製品の割合も増えている。

 今後利用したいDB製品を選定する理由をまとめたのが、図5である。最も多かった理由は「性能が良い」(35.7%)であり、「初期導入費用が安い」(34.4%)、「アプリケーション開発がしやすい」(30.6%)も3割以上となった。これらの理由は「運用管理が容易である」(23.6%)や「既存のデータやプログラム資産との互換性」(16.6%)よりも高い。性能を確保した上でコストを削減するために、安価な製品にリプレースするという意向がみられた。

今後利用したいDB製品を選択した理由 図5:今後利用したいDB製品を選択した理由(有効回答数:157件、複数回答) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年5月)
回答者プロフィール 図6:回答者プロフィール(有効回答数183件) 出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2010年5月)

ITmedia リサーチインタラクティブでは、第7回読者調査「クライアント環境」を5月26日まで実施しています。クライアントOSやOfficeソフトの導入や入れ替え意向を調査します。ご回答いただいた皆さまには、調査結果の分析リポートを提供します。回答ページはこちらをクリック




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