紀州のスラッガー・林 晃汰(智辯和歌山)「夏こそ大阪桐蔭を打ち崩す」
全国で最も怖いといわれる智辯和歌山打線。その打線を引っ張るのが林 晃汰。紀州ボーイズ時代には通算32本塁打を記録。智辯和歌山へ入学すると、1年春からベンチ入り。その後も順調に本塁打を積み重ね、2年夏の甲子園では興南戦で本塁打。さらに3年春の選抜の創成館戦で、本塁打と、二季連続で甲子園で本塁打を放った。近畿大会を終えて高校通算41本塁打。侍ジャパンU-18代表の一次候補に選出された紀州のスラッガー・林晃汰の成長の歩みを振り返る。
スイング軌道を修正し、中学時代は32ホーマー
紀州のスラッガー・林 晃汰(智辯和歌山)
―― 林選手が野球を始めたのは小学1年生から。野球を始めた時から長打力に自信はありましたか?
林晃汰(以下林):いやそうでもないです。長打力が出てきたのは、中学生(紀州ボーイズ)からです。
―― 中学時代はホームラン結構打ってましたね。32本打ってると聞きました。
林: そうですね。2、3年生で増えた感じですね。
―― 何がきっかけでホームラン打てるようになったんですか?
浅野: 中学の時の監督からバットをボールの下に入れろと言われて、それを1年生の時から意識してました。救い上げるようなスイングはここから始まったと思います。
―― ホームランは中2のいつから中3までどれくらい増えたんですか?
林: 中中学校1年生の時は3本で、中2から20本以上打ったと思います。救い上げるスイングもつかんできましたし、身長も、体重も170センチ70キロから176センチ76キロと大きくなったことも増えたことにつながったと思います。
―― すごいですね。智辯和歌山に行くきっかけは何かありましたか?
林: 小学校からずっとテレビで見ていましたし、西川遥輝(北海道日本ハム)さんに憧れを持っていました。
―― 智辯和歌山に入学してみてどうですか?
林: バッティングはもちろんですけど、人数が少ないので、守備もしっかり練習してるのでいいなと思いました。
―― 高校のレベルの高さはどうですか?
林: 今まで下に入るスイングをやってきただけだったんですけど、高校に来て、それが全然通用しなかったと。高嶋先生からしっかり振ることを教えてもらって、そこから高校のレベルについていけるようになりました。
―― それでも1年春から近畿大会に出ています
林: 近畿大会に出てくる投手のレベルの高さは、全然、上のレベルだったので、手も足も出なかったです。
―― 1年夏が過ぎ、1年秋にも近畿大会に出場。近畿大会・滋賀学園戦では2打席連続本塁打もありました。
林:そうですね。それぐらいからしっかり自分のスイングをするようになりました。
―― ボールの下を捉え、すくい上げるという打ち方はあまり変わってませんよね?
林: 変わってないです。中学校の時はずっとそれでやってたんで、まあそれは体に染みついていますね。高校のスピードについていくために、タイミングの取り方を変えたりにしていました。
―― タイミングの取り方もそうですが、智弁和歌山の打者といえば、スイングのスピードが速いというイメージがあります。
林: 確かにタイミングが大事なんですけど、スイングのスピードを上げることにこだわっていて、中学の時よりスイングスピードは上がっています。
―― 1年生の冬場ではどういう練習をしてましたか?
林: 振れる打者になれることが一番の課題で。量をやるっていうことを意識してやってました。
[page_break:右ひじ手術も結果的に自分にとってプラスとなった]右ひじ手術も結果的に自分にとってプラスとなった
―― 冬を超えて、ホームランをけっこう量産するようになりましたね
林: そうですね。まあ、安定的に出るようになりました。1年生の時は15本ぐらいしか打てなかったんですけど、そこからホームランの量は増えたと思います。
―― 甲子園で興南戦でホームラン打ったじゃないですか。あの時はどうでしたか?
林: 正直、打った喜びの前に、肘が痛かった思い出しかないです。和歌山大会の2回戦から肘を痛めてしまい、薬を塗ってたので、痛くて記憶はなかったですね
―― 大会終わって、手術しようみたいになったんですか?
林: 興南戦が終わって腕が上がらなかったので、病院行ったら、即手術みたいになりました。
―― 秋はプレーは難しいと言われて、どういうふうに自分の中で受け止めたんですか?
林: 仲間たちが絶対に甲子園に連れて行ってくれると思ってたので、そこはチームに託しました。
―― 仲間たちの戦いを見てどうでしたか? 秋の大会逆転勝利とかあったじゃないですか。
林: 本当にすごいなと率直に嬉しかったです。ただ自分自身、戻って居場所はあるのかと、不安や焦りとかも結構ありました。
―― 冬場はどういう思いでやってきましたか?
林: まずは元の普通のプレーができるように、焦らず、しっかりと調整してきました。
―― バッティングはどういうふうに磨きをかけてきたんですか?
林: バッティングは量を意識してやってきました。1日700本をノルマにスイングを重ねてきました
―― 手術を終えて、バッティング自体変わってきたんですか?
林: 怪我をして、リハビリしている間はずっと、スクワットや体幹トレーニングなどで下半身などを強化してきたんで、それで打撃は安定してきたかなと思います。
―― 怪我した時期というのは林選手にとって、大きな時期でしたか?
林: 結果的に自分がレベルアップするためにも、あの時期はよかったんじゃないかと思います。
[page_break:選抜は課題だらけだった。夏はその悔しさを晴らしたい]選抜は課題だらけだった。夏はその悔しさを晴らしたい
―― 冬を超えて、選抜まで練習試合がありましたが、調子はいかがでしたか。
林: 調子は良かったです。6本くらい本塁打は打ちましたし良い感覚で選抜に臨むことができました。
―― 初戦の富山商戦では無安打のスタートでした。
林: 相手投手は良かったんですけど、力んでしまって、自分のスイングができなかった。そういうところがだめですね。
―― 3回戦の国学院栃木戦の第1打席で三塁打を打ちましたが、試合までどう整理されたんですか?
林: 初戦では焦りというものがあったので、しっかりとボールを見て打つようにしました。
―― 準々決勝の創成館戦、ホームランを打ちましたけど、ホームラン打った感じはどうでした?
林: あれはしっかりと打てたホームランだったと思います。あの時は長打を打って、チームに勢いづけようと思って打ちました。
―― 林選手の打球は左中間に伸びる印象を受けるんですけど、それについてはどう考えていますか。
林: 自分の特徴だと思っていますし、調子のバロメーターで、左中間へ伸びるときは調子がよい証拠で、自分の調子が悪いと出ないですね。実は狙って打っているわけではなくて、基本的にセンター返しを意識しています。少しポイントが遅くても、しっかりと芯でとらえることができれば伸びていきますので。
―― 決勝までいって、自分のバッティングというのはどうでしたか?
林: プレッシャーもあったんですけど、メンタルの弱さが出た大会だったかなと思います。レベルの高いピッチャーだったので打てなかったです。
―― 選抜決勝では大阪桐蔭の根尾くんと対戦しましたがどうでしたか? 根尾くんのボールを打席に立って目の当たりにして
林: そうですね。根尾君は非常にレベルの高いピッチャーで、速球の威力、変化球の切れもほかの投手も全然違っていて、手も足も出なかったです。そういう投手を打っていかなければならないので、夏はしっかりやっていきたいと思いました。
―― そして林選手のバッティングフォームといえば、けっこう独特というか、ヘッドをピッチャー方向に向けてやるじゃないですか。あれはどういう意図があるんですか?
林: 自然体を意識しています。あれをやることで、飛ぶようにになるのかなと思います。
―― なるほど。あの動作は、車の運転でいうと、いわゆる遊びというか、それに近い感じなんですか?
林: そうですね。
―― 逆にああいうふうにやらないと、タイミングが合わない感じなんですか?
林: まあ、動いておきたいなと思っています。
―― 選抜が終わって、バッティングを改めたことってあるんですか?
林: 全体的な動きが大きかったんで、そういうところを修正しました。足の上げ方を少し小さくしたことで、軸のブレを防ぐことができて、県大会では3本塁打を打つことができました。
―― 近畿大会では、今年2回目の大阪桐蔭との対決となりました。いかがでしたか?近畿大会では、今年2回目の大阪桐蔭との対決となりました。いかがでしたか?
林: 根尾君は思い切りインコースにきたり、変化球だとか、しっかり投げてきます。そこにしっかりと目がついていって、ボール球を振らず、対応できたらなと思います。
―― では、夏場での課題と意気込みを教えてください
林: しっかりと体を作って、チャンスの場面で、しっかりと打っていきたいです。やっぱり勝たないと終わりなので、しっかり準備してやっていきたいです。
文=河嶋宗一