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削除された「防衛大で国内最大級の大規模クラスター発生」の記事。感染者が「数十人規模にまで急増」の事実は存在せず

「【速報】防衛大で大規模クラスター発生か コロナ対応に課題」という記事を削除したNEWSポストセブン。同編集部は「感染者は数十人規模にまで急増」と伝えていた。

NEWSポストセブンは11月12日、前日に配信していた「【速報】防衛大で大規模クラスター発生か コロナ対応に課題」という記事を削除した。

記事では「感染者は数十人規模にまで急増」と報じていたものの、そうした事実が存在しないことがわかった。

防衛大学校は12日、ホームページに「新型コロナウイルス感染者に係るお知らせの訂正について」という情報を掲載。

11月7日に実施した抗原検査で学生1人の陽性が確認されたものの、2度のPCR検査で陰性と判定されたことや、濃厚接触者等84名も陰性であったことを報告している。

現役学生のコメントをもとに「感染者は数十人規模にまで急増」と報道

なぜ、防衛大で大規模クラスター発生という報道がなされたのだろうか。発端は防衛大学から発表された新型コロナウイルス感染者発生の情報だ。

東京新聞は8日に防衛大で初の感染者が確認されたと報じている

その後、防衛大学は9日にホームページで以下のように発表した。

《本校の男子学生1名が、11月7日に医療機関において抗原検査を受けたところ、新型コロナウイルスに感染していることが判明し、現在医療機関に入院しています》

同日、合わせて防衛大のキャンパス見学のツアーの中止も発表されている。

だが、削除されたNEWSポストセブンの記事は、防衛大学の感染者は1名ではなく、大規模なクラスターが発生しているという趣旨のものだった。

将来の幹部自衛官を養成する防衛大学校(神奈川・横須賀市)で、11月7日に学生1人が新型コロナに感染していることが発表された。しかし、その後、感染者は数十人規模にまで急増し、学内で隔離生活を送っていることが取材によりわかった。現時点では防衛省も横須賀市も感染者数を発表していないが、防衛大の学生たちは敷地内の学生舎(寮)で集団生活を送っており、感染者は今後さらに増える可能性もある。

「【速報】防衛大で大規模クラスター発生か コロナ対応に課題」

ポストセブンの記事は「(濃厚接触者以外の学生に対し)抗原検査が実施された結果、約80人の陽性者が確認されたと聞いています」という現役学生のコメントを紹介し、「3月から4月にかけて約200人の感染が判明した永寿総合病院(東京・台東区)に迫る、国内最大規模のクラスターとなることも懸念される」と報じていた。

その記事の中では、こうした感染拡大の背景に防衛大学のコロナ対応に関する課題があるとも指摘されている。

しかし、防衛大では現在までに大規模なクラスターは発生していないことが公式発表によって明らかとなった。

記事は現在閲覧できない状態に

12日、NEWSポストセブンは「【お知らせ】11月11日配信「防衛大でクラスター発生」記事について」と題した記事を配信。

《学内で約80人の学生らが隔離生活を送っているという事実と防衛大関係者への取材結果をもとに前掲記事を掲載しましたが、横須賀市の発表を受け、記事を非公開といたしました》として、記事を削除した。現在は閲覧できない状態となっている。