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(2023年10月現在)
(※)は名前の一部が略字表記になっています
70~最新回
60~69回
50~59回
40~49回
30~39回
20~29回
10~19回
1~9回
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
71
2023
東野圭吾
デビュー以来40年近くに亘り、ミステリー小説の世界を牽引。普遍的な世界観に裏打ちされた作品群は幅広い支持を集め、本年国内累計1億部突破。映像化、翻訳を通じて国内のみならず世界をも夢中にさせている
片岡仁左衛門
十五代目として上方歌舞伎の大名跡を襲名し四半世紀。色気あふれる悪党から人情味豊かな旦那役まで幅広い芸域をもち、コロナ禍においても、一世一代の大役を次々につとめあげ、無比の存在感を増している
野沢雅子
日本の声優を代表する草分け的存在として、1963年国産初のテレビアニメシリーズ「鉄腕アトム」出演を皮切りに「ゲゲゲの鬼太郎」「銀河鉄道999」「ドラゴンボール」等人気作品の主役をつとめ、世代を超え愛され続ける
東京新聞・小沢慧一記者
「30年以内に70~80%」という南海トラフ地震の発生確率が、水増しされた数字であり、予算獲得などのために科学が歪められている実態を、非公開の議事録や古文書の調査など丹念な取材によって明らかにした
栗山英樹
野球日本代表「侍ジャパン」監督として、2023ワールド・ベースボール・クラシックで30名の選手たちの力を結集させ、見事世界一に導く。人々に感動を与えるとともに、野球という競技の魅力を再認識させた
70
2022
宮部みゆき
デビューから35年、社会性を持つ現代ミステリーから、時代小説、ファンタジー、SF、ホラーまで数々の優れたエンタテインメント小説を発表。物語の力によって、老若男女問わず多くの人を読書にいざなう
三谷幸喜
大学在学中に劇団「東京サンシャインボーイズ」を旗揚げ、以来40年にわたり、コメディから「鎌倉殿の13人」などのシリアスな歴史劇まで舞台、テレビドラマ、映画のすべてで優れた作品を生み出し続けている
信濃毎日新聞社「五色(いつついろ)のメビウス」取材班
コロナ禍の地域社会において外国人労働者、住民に丹念に取材、その過酷な状況、さらには国の技能実習制度や入管制度の問題を明らかにし、彼らと共存し多様性を尊重する社会の在り方を提言した
NHK「映像の世紀バタフライエフェクト」
世界各国から収集した貴重なアーカイブス映像で現代史をたどる人気シリーズに、一人のささやかな営みが連鎖し世界を動かしたという新たな視点を導入、歴史の汲めども尽きぬ魅力を伝えている
羽生結弦
フィギュアスケートの男子シングルで五輪2大会連続金メダル、主要国際大会全制覇などの輝かしい記録を達成。本年プロ転向を宣言し、4回転半ジャンプなど、さらに高いステージを目指して挑戦を続ける
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
69
2021
小川洋子
三十余年におよぶ文業を通して、静謐さをたたえ、美しさに満ちた独自の作品世界を構築。多くの作品は世界各国語に翻訳され、「全米図書賞」「ブッカー国際賞」候補など海外でも高く評価されている
仲代達矢
1952年の俳優座養成所入所以来、日本を代表する俳優として幾多の演劇・映画に出演、89歳を迎える本年、「役者七十周年」全国公演を開始。また、みずから私塾「無名塾」を主宰し、後進の育成にも尽力してきた
高知新聞社 追跡・白いダイヤ取材班
2016年、高知県内のシラスウナギ集荷人事務所に火炎瓶が投げ込まれた事件をきっかけに、ウナギを巡る密漁や闇取引の実態を5年にわたり10都県・100人以上の関係者に取材。特集「追跡・白いダイヤ」に結実
松岡和子
第1巻『ハムレット』から25年、日本で3人目となるシェイクスピアの戯曲全37作の個人全訳を本年完結させた。原本に忠実かつ上演を前提とした翻訳は、蜷川幸雄はじめ多くの現代演劇人を魅了しつづけている
吉岡秀人
ミャンマー、カンボジア、ラオスなど、まだ医療が行き届いていないアジアの貧困地域で、25年以上にわたり無償の医療支援を行う。コロナ禍の今も、みずから最前線で治療を続ける「継続する力」に
68
2020
林真理子
40年ちかい文筆生活のあいだ、現代社会に鋭く切り込む小説から歴史、古典を題材にした作品まで多岐にわたる創作、昭和より続く「週刊文春」連載エッセイなど、常に最前線で活躍を続ける
佐藤優
『国家の罠』で2005年にデビュー以来、神学に裏打ちされた深い知性をもって、専門の外交問題のみならず、政治・文学・歴史・神学の幅広い分野で執筆活動を展開。教養とインテリジェンスの重要性を定着させる
滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール
今年3月、コロナ感染が拡大するなか、オペラ「神々の黄昏」の無観客上演をいち早く決断。ユーチューブでの配信は海外からを含めて41万人が視聴し、コロナ時代の文化イベントのありかたに一石を投じた
秋田魁新報 イージス・アショア取材班
2017年の配備計画浮上後、地元紙として計画の妥当性を調査・検証。防衛を専門とする記者がいないなか、地道かつ多角的な取材で現地調査のずさんな内容を暴く。本年、同計画は断念に追い込まれた
篠山紀信
半世紀にわたりスターから市井の人まで、昭和・平成・令和の時代を第一線で撮影。その業績は、2012年より7年間全国を巡回し、のべ100万人を動員した個展「写真力 THE PEOPLE by KISHIN」に結実する
67
2019
浅田次郎
1991年のデビュー以来、『蒼穹の昴』などの中国歴史小説、時代小説、戦争小説、直木賞受賞作『鉄道員』の珠玉の短編まで、幅広いジャンルにわたって、平成の文学界を牽引し続けてきた
吉田都
22年間にわたり英国の2つのロイヤルバレエ団において最高位のプリンシパルを務めるなど、世界的に活躍。確かなテクニックと高い音楽性により、今年8月の引退まで多くのファンを魅了した
NHK「おかあさんといっしょ」
幼児向テレビ番組の先駆けとして1959年に放送を開始。さまざまに創意工夫がなされた親しみやすい歌・ぬいぐるみ人形劇・体操などで、長年にわたり子どもと親の情操を育み続ける
戸髙一成とPHP研究所
旧日本海軍の中堅幹部が戦後おこなった座談会の400時間にもおよぶ録音テープを収集、10年以上の歳月をかけ文字起こしと校訂に取り組み、『[証言録]海軍反省会』全11巻に結実させた
ラグビー日本代表チーム
今年日本で開かれたラグビーワールドカップにおいて、史上初の決勝トーナメント進出を果たす。様々な国から来た選手たちが「ONE TEAM」となり強豪国を破る姿は、日本中に勇気を与えた
66
2018
佐伯泰英
1999年「密命」シリーズに始まる〈文庫書き下ろし時代小説〉という新たなジャンルを確立。平成の読者からの圧倒的支持を得て、累計発行部数は6300万部を突破、出版界を大いに活性化させた
東海テレビドキュメンタリー劇場
「ヤクザと憲法」「人生フルーツ」など、独自の視点から地方発のドキュメンタリー作品を制作。作品は映画としても公開され、他のローカル局がドキュメンタリー映画を発信することに大きな影響を与えた
明治書院「新釈漢文大系」
中国古典の代表的文献を幅広く網羅し、58年の歳月をかけて全120巻(別巻1)で完結させた。この文化遺産ともいうべき全集の執筆・編纂に関わった100人を超える漢文学者と版元の偉業に対して
松任谷由実
1972年、大学在学中の衝撃的なデビュー以来、その高い音楽性と同時代の女性心理を巧みに掬いあげた歌詞は、世代を超えて広くそして長く愛され、日本人の新たな心象風景を作り上げた
65
2017
夢枕獏
「陰陽師」、「餓狼伝」、「キマイラ」など映像化、舞台化、マンガ化が絶えない人気シリーズに加え、山岳、冒険、時代、SF、幻想小説など多彩な文筆活動で、40年にわたり読者を魅了し続けた
映画「この世界の片隅に」に関わったチーム一同
戦時下の広島・呉を舞台に、市井の日常を、緻密な時代考証と見事なアニメーション表現で活写。商業ベースに乗りにくいテーマを資金集めに苦心しながらも製作、大ヒットに結びつけた
チューリップテレビ報道制作局
富山市議会の強引な議員報酬引き上げへの不信から、地道な調査報道で政務活動費に関する不正を暴く。市議14人を辞職に追い込むきっかけとなり、全国の自治体での政活費チェックへと繋がった
奥本大三郎
文学と科学の幸福な調和である19世紀博物学の不朽の名著・ファーブル『昆虫記』。詩情に溢れ、時に難解ともいわれる全10巻20冊の大作を、30年の月日をかけ見事な日本語に移し替えた
浅田真央
世界選手権とグランプリファイナルで計7度の優勝、バンクーバーオリンピックでは3度トリプルアクセルを成功させ銀メダルを獲得。その後も氷上での華麗な演技は、残した記録以上のものを人々の心に刻んだ
岸惠子
国内のみならず欧米の映画界でも活躍。市川崑ら多くの名監督と日本映画の一時代を築き上げた。エッセイ、ルポルタージュ、小説と、作家としても注目を集め、表現者として存在感を示し続けている
64
2016
北方謙三
現代ハードボイルドの旗手と言われた著者が、十七年の時をかけ完結させた全五十一巻の北方版「大水滸伝」シリーズ。数多ある先人の水滸伝に正面から挑む斬新な解釈で平成の新たな読者を開拓した
熊本日日新聞
水俣病やハンセン病に関する調査報道、いち早くオウム真理教に迫ったルポなど、一貫して地域ジャーナリズムの担い手であり続け、本年四月の熊本地震でも自ら被災しながらその責務を果たした
池上 彰とテレビ東京選挙特番チーム
タブーを恐れず政治家に容赦ない質問や指摘を浴びせる池上氏のインタビューに加え、視聴者目線で候補者の経歴や活動をわかりやすく解説することにより、選挙報道に新たな地平を拓いた
秋本治
一九七六年に連載を開始した漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を四十年間一度の休載もなく描き続ける。世相・風俗を巧みに取り入れ、上質な笑いに満ちた作品を本年二百巻で堂々完結させた
森重昭
八歳時に被爆、戦後は一会社員として、独自に原爆投下後の広島の調査・研究を続ける。その後、米国民も知らなかった十二名の米兵捕虜被爆死を明らかにし、米国大統領初の広島訪問に繋がった
高橋礼華・松友美佐紀
リオ五輪決勝の最終ゲーム。土壇場から五連続得点のしなやかな逆転劇で国民を大いに魅了し、日本バドミントン界に悲願の金メダルをもたらした。その歴史的成果と東京五輪での活躍に期待をこめて
63
2015
半藤一利
『日本のいちばん長い日』をはじめ、昭和史の当事者に直接取材し、常に「戦争の真実」を追究、数々の優れた歴史ノンフィクションによって読者を啓蒙してきた
吉永小百合
長年にわたる女優としての活躍はもちろん、広島、長崎の原爆詩の朗読会を三十年にわたって続けており、東日本大震災についても被災者の詩の朗読を通して復興支援に尽くしてきた
NHKスペシャル「カラーでよみがえる東京」「カラーでみる太平洋戦争」
歴史的に貴重なモノクロ映像を国内外で収集し、徹底的な時代考証を行ったうえで、最新のデジタル技術を駆使してカラー化に成功。鮮明に蘇った映像は、視聴者に近現代史を体感させた
本の雑誌
従来の書評誌になかったエンタテインメント中心の書評、ユニークな特集、個性的な執筆陣などで日本の出版文化に独自の存在感をアピール。本年で創刊四十周年を迎えた
国枝慎吾
車いすテニスのシングルスで五度の年間グランドスラム、パラリンピック二連覇など輝かしい実績を挙げたことに加え、いち早くプロに転向しての活躍は、障害者スポーツに関わる人々に夢を与えた
62
2014
阿川佐和子
一九九三年に始まった週刊文春の連載対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」が1000回を達成。著書『聞く力』、テレビ番組の司会など、幅広い分野で読者、視聴者に支持されてきた
白石加代子
早稲田小劇場での初舞台から約半世紀にわたり活躍。怪談会を模した朗読劇「百物語」は二十二年間続け、本年九十九話で幕を下した。独りで様々な人物を演じ分け、観客に恐怖と感動を与えた
毎日新聞特別報道グループ取材班「老いてさまよう」/NHKスペシャル「認知症行方不明者一万人 ~知られざる徘徊の実態~」
認知症の身元不明者という極めて今日的なテーマについて、それぞれ新聞とテレビにおいて報道。家族との再会が実現し、国も実態調査に着手するなど、報道が社会を動かすきっかけとなった
タモリ
三十二年にわたって生放送の司会を務めた「笑っていいとも!」をはじめ、「タモリ倶楽部」「ブラタモリ」など独自の視点をもつ数多いテレビ番組の「顔」として、日本の笑いを革新した
若田光一
二〇〇九年に国際宇宙ステーション
(ISS)
長期滞在ミッションを達成、二〇一三年十一月から一四年五月までの滞在ではISSコマンダー
(三月~五月)
の重責を果たすなど、日本人初の快挙を成し遂げた
61
2013
中川李枝子 山脇百合子
誕生五十周年を迎える「ぐりとぐら」シリーズや「いやいやえん」など、数々の名作絵本、童話によって、子供たちの豊かな想像力と感性を育んできた功績。
竹本住大夫
八十八歳のいまも文楽の人気太夫として活躍。戦後の文楽を牽引し、昨年、病気で倒れた後もリハビリを経て舞台に復帰、語り続ける情熱に対して。
NHKスペシャル シリーズ「深海の巨大生物」
国立科学博物館およびJAMSTEC
(海洋研究開発機構)
との十年余の調査を経て、世界で初めて伝説のダイオウイカの撮影に成功。深海の生物の映像を広く紹介し、国民的関心を呼んだ。
中村哲
医師としてパキスタン・アフガニスタンの山岳地帯で医療活動を行なう。また、アフガン難民の対策事業、井戸掘りによる水源確保など三十年にわたるその活動と努力に対して。
サザンオールスターズ
デビュー三十五周年の今日まで、その音楽性、キャラクター、メッセージで現代日本の文化に多大な影響を与えてきた。これからも走り続ける日本を代表するバンドに。
60
2012
曾野綾子
永年にわたる文学者としての業績、鋭く社会問題に斬り込んだ評論活動、JOMAS
(海外邦人宣教者活動援助後援会)
を通じた開発途上国の貧困救援活動への献身
高倉健
最新作「あなたへ」をはじめとする五十有余年におよぶ活躍と、孤高の精神を貫き、独自の境地を示す映画俳優としての存在感
東京新聞「原発事故取材班」
福島第一原発事故はなぜ起きたのかを調査報道の手法で探り、情報を隠蔽しようとする政府・東京電力を告発し続けた果敢なるジャーナリズム精神に対して
近藤誠
乳房温存療法のパイオニアとして、抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、がん治療における先駆的な意見を、一般人にもわかりやすく発表し、啓蒙を続けてきた功績
伊調馨と吉田沙保里
ロンドン五輪の女子レスリングで金メダルを獲得し、日本人女子として初の五輪三連覇という偉業を成し遂げた
新潟県佐渡トキ保護センター
トキを日本に甦らせるため、人工繁殖、自然放鳥を地道に継続し、二〇一二年四月、三十六年ぶりの自然下における繁殖を成功させた努力に対して
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
59
2011
津村節子
夫・吉村昭の闘病から壮絶な死までを描いた『紅梅』は、作家という存在の厳しさを改めて世に示し、多くの人々に深い共感と感銘を与えた。
新藤兼人
独立プロを率いて多くの傑作映画を世に送り出し、九十九歳の日本最高齢現役監督として、今年は『一枚のハガキ』
(監督・脚本・原作)
を完成させた。
石巻日日新聞社と河北新報社
3.11東日本大震災で被災、数々の困難に直面しながら、地元新聞社としての役割と責務をそれぞれの報道において果たした、そのジャーナリズム精神に対して。
前新透「竹富方言辞典」
(南山舎)
前新透氏が二十七年の歳月をかけて採集した方言を収録し、日本最南端の出版社から刊行されたこの辞典は、琉球語と日本語の古層、民俗を研究するための貴重な文化遺産である。
澤 穂希
日本女子サッカーの歴史を切り拓き、「なでしこJAPAN」の中心選手として活躍、チームをまとめあげたリーダーシップに対して。
水戸岡鋭治
今春に開通した九州新幹線など、永年にわたり手がけてきた斬新な鉄道デザインの数々は、上品さ・遊び心・和の風合いと最新技術を大胆に融合させ、列車旅の世界を革新した。
58
2010
筒井康隆
作家生活五十年、常に実験的精神を持って、純文学、SF、エンターテインメントに独自の世界を開拓してきた。
金子兜太
自由闊達な精神のもと、九十歳を越えてなお旺盛な句作を続けて現代俳句を牽引し、その魅力を全身で発信している。
NHKスペシャル「無縁社会」
家族、ふるさと、地域や企業社会で人間の絆を失い、急速に孤立化する日本人。世代を超えて広がる新たな現代社会の病巣を丁寧な取材で抉りだし、警鐘を鳴らしている。
JAXA「はやぶさ」プロジェクトチーム
プロジェクトがスタートして十五年、打ち上げてから七年、小惑星「イトカワ」に着陸し、数々の困難を克服して帰還を果たす。日本の科学技術力を世界に知らしめ、国民に希望と夢を与えてくれた
吉岡幸雄
「染司よしおか」五代目当主として、伝統的な染色法による豊かな日本の色を探求し、古代色の復元と技法も究明した。東大寺等の伝統行事、国文学、国宝修復など幅広い分野に貢献している。
中西進「万葉みらい塾」
グローバルな視点から「万葉集」の研究・普及に務める。七年前から始めた小中学生のための出前授業は四十七都道府県すべてを巡り、古代の心の豊かさを伝え続けている
57
2009
佐野洋
作家生活50年、特に著作「推理日記」
(現在第11巻)
は、30年以上にわたって丹念にミステリー作品を論評した 貴重な推理小説文壇史となっている
本木雅弘と映画「おくりびと」制作スタッフ
映画化の企画・実現に尽力。主演した「おくりびと」はアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、言語や宗教の壁を越えて、日本映画の実力を世界に示した
坂東玉三郎
泉鏡花の戯曲「海神別荘」「天守物語」の決定版ともいえる優れた舞台をつくりあげた。正統的な歌舞伎のみならず近代劇、映像、中国昆劇と、その活躍の場をひろげている
今井書店グループと「本の学校」
「地域から」を原点に、米子で「生涯読書の推進」「出版界や図書館界の明日を問うシンポジウム」「職能教育としての業界書店人研修」につとめてきた努力に対して
蓬田やすひろ
歴史・時代小説の挿絵画家・装丁家として永年にわたり活躍、独自の繊細で流麗な画風は多くの人に愛されている
高見山大五郎
ジェシーと呼ばれ、明るいキャラクターと異文化のもとで 厳しい稽古に耐える姿が共感を呼んだ。大相撲の国際化に 貢献し、世界各国から力士が集まる道を拓く
56
2008
宮尾登美子
「櫂」「一絃の琴」「松風の家」から今年出版された「錦」まで、日本の伝統文化や歴史の中の女性の生き方をテーマに数々の名作を執筆し続けている
安野光雅
絵画、デザイン、装幀、文筆など多方面にわたるすぐれた業績と、その結晶ともいうべき「繪本平家物語」「繪本三国志」の刊行に対して
北九州市立 松本清張記念館
地方財政が厳しい折から各地の公立文学館などが苦戦するなか、水準の高い研究誌を刊行しつつ、多彩な企画展を催すなど、健闘しながら開館十周年を迎えた
かこさとし
「だるまちゃんとてんぐちゃん」「からすのパンやさん」など、 絵本作家、児童文学者としてのユニークな活動と、子供の遊びについての資料集成「伝承遊び考」全四巻の完成
羽生善治
永世名人をはじめとする数々のタイトルを獲得し、将棋界の頂点に立ちながら、将棋の創造性、魅力をさまざまな形で発信している
55
2007
阿川弘之
「阿川弘之全集」全二十巻に結実した六十年に及ぶ端正で格調高い文業と、今なお旺盛な執筆活動に対して
市川團十郎(12代目)
様々の困難を乗り越えて、パリ・オペラ座での史上初の歌舞伎公演を成功させ、日本の伝統文化の価値を国際的に認識させた
講談社「全国訪問おはなし隊」
キャラバンカーに児童書を積んで全国を巡回し、幼稚園、図書館、公民館、書店などで、各地のボランティアと共に、読み聞かせや紙芝居など、子どもたちと本との出会いの場をひろげている
桂三枝
永年にわたり幅広い活躍を続け、また上方落語協会会長として六十年ぶりの落語定席「天満天神繁昌亭」の建設、運営に尽力、上方落語を隆盛にみちびく
小沢昭一
TBSラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」で三十五年にわたり中高年へ励ましのメッセージを送り続け、また亡びゆく風俗や放浪芸の記録と紹介にも大きな役割を果たしている
マツノ書店
地方の一個人古書店でありながら、明治維新史に関する貴重な文献の復刻出版などすでに二百点以上を刊行、社会的文化的貢献をおこなっている
54
2006
小林信彦
純文学、エンターテイメント、評伝、映画研究、コラムなど多方面にわたってすぐれた作品を発表し、その文業の円熟と変わらぬ実験精神によって「うらなり」を完成させた。
いしいひさいち
「鏡の国の戦争」「忍者無芸帖」「ののちゃん」など特異なキャラクター作りと鋭い風刺の効いた四コマ漫画を衰えぬパワーで描き、多くの読者を楽しませてきた手腕に対して。
黒柳徹子と「徹子の部屋」
本人のたゆまぬ精進とスタッフの協力により、三十年間一回も休むことなく良質かつヴィヴィッドな対談番組を送りつづけている努力に対して。
八木書店『徳田秋聲全集』
明治・大正・昭和三代にわたって活躍した作家の膨大な作品の発掘につとめ、十年間の歳月をかけて四十三巻に及ぶ貴重な大全集を刊行した。
旭川市旭山動物園
人間と動物との新しい触れ合い方を多彩に創出し、廃園の危機から十年あまりで「入園者数日本一」まで育て、新たな動物園のスタイルを創設すると共に、地方活性化の新しい可能性を提示した。
竹中文良と「ジャパン・ウェルネス」
医師としての知見とがん患者としての体験をもとに、がん患者とその家族の心の問題を追求する執筆活動の傍ら、NPO「ジャパン・ウェルネス」を設立、多くの患者と家族の心のケアにつとめた功績に対して。
53
2005
津本 陽
「乾坤の夢」「薩南示現流」など、歴史小説、剣豪小説に新境地を開き、さらに戦記文学へと幅を広げる旺盛な作家活動。
蜷川幸雄
歌舞伎座7月公演「NINAGAWA十二夜」において、シェイクスピアと歌舞伎を見事に融合させた画期的な舞台を創造。歌舞伎の可能性を飛躍させた演出に対して。
黒田勝弘
四半世紀にわたり韓国に特派員として駐在し、その政治、経済、歴史、文化のみならず日韓関係全般を、広く深く報道し続けた功績。
テレビマンユニオン
表現の自立を目指した放送人たちが民放から独立、以来三十五年、「遠くへ行きたい」をはじめとする良質で息の長い番組を制作し続けてきた実績。
野見山暁治、窪島誠一郎の戦没画学生慰霊美術館「無言館」
絵を描き続けることを願いながら戦没した画学生たちの遺作を集めて展示し、人々の心に感動を与え続けている営為に対して。
日本スピンドル製造株式会社
JR福知山線の事故に際して、社員約二百三十人が現場へ急行、負傷者の救助に当った決断と行動力をたたえ、救援活動に駆けつけた多くの人々の代表として。
52
2004
宮城谷昌光
中国古代王朝という前人未踏の世界をロマンあふれる雄渾な文体で描き、多くの読者を魅了した功績。
木村光一と「地人会」
被爆した子供たちや母親たちの手記、日記などで原爆の悲惨さを訴える朗読劇『この子たちの夏─1945・ヒロシマ ナガサキ』を二十年にわたって全国で上演、また台本を公開して自主上演に協力し、多大な感銘を与え続けた実績。
中村勘九郎(5代目)
「コクーン歌舞伎」「野田版研辰の討たれ」「平成中村座」など歌舞伎の新たな可能性を探る様々な試みを成功させ、この七月にはニューヨークで「平成中村座」の「夏祭浪花鑑」を公演し高い評価を受けるなど、歌舞伎の魅力を世界に広げた功績。
北海道新聞「道警裏金疑惑」取材班
北海道警の裏金疑惑を長期にわたって追及し、組織ぐるみの腐敗構造を明らかにした功績。
保阪正康
独力で冊子「昭和史講座」の刊行を続け、無名の人々の証言や貴重な史料を残すべく努めるなど、一貫した昭和史研究の仕事に対して。
平凡社『日本歴史地名大系』
地名研究の精髄を集約した郷土の歴史事典を二十五年にわたって刊行し続けた志と尽力に対して。
51
2003
渡辺淳一
医学小説から歴史小説、恋愛小説に至る幅広い作品群、また最近作『エ・アロール』で老人問題に取り組むなど、時代の抱えるテーマに果敢に挑みながら、常に多くの読者を獲得してきた旺盛な作家活動に対して。
沢木耕太郎
ノンフィクション作品においてユニークで清新なスタイルを確立、常に単身で息の長い取材を続け、質の高い作品を世に問い続けてきた功績。
紀伊國屋ホール
一九六四年に開場して以来、多くの若い演劇人に表現の場を与え、日本の演劇や落語などの芸能を地道に育ててきた功績。
長岡輝子
長年にわたる舞台女優、演出家としての活動、および方言を生かした朗読によって宮澤賢治作品の新たな魅力を引き出して一般に広めた功績。
雑誌「國華」
一八八九年に創刊以来、百十余年にわたり、質の高い図版と論考によって、すぐれた美術工芸品を世界に紹介するなど、日本の美術史学界を主導してきた文化的偉業に対して。
夢路いとし・喜味こいし
コンビ結成以来六十年以上、第一線に立ちつづけ、近代漫才の本道を行く話芸で日本の大衆芸能を豊かなものにした。
50
2002
五木寛之
デビュー以来、現代性に富んだ作品を常に世に問い続けてきた作家活動。また多岐にわたる文明批評、とりわけ日本人の高い精神性を平易な文章で説き、広汎な読者を獲得した功績
杉本苑子
独自の視点と手法により歴史上の人物に新しい光をあてた豊潤な作品群に対して。またテレビラジオ放送講座によって日本の歴史を親しみのあるものとした功績
松本幸四郎(9代目)
歌舞伎役者の枠を越えて、二十六歳のときミュージカル「ラ・マンチャの男」に主演、今年千回上演を達成するなど、その充実した舞台活動に対して
倉本聰とフジテレビ一「北の国から」制作出演スタッフ
二十一年間に及ぶ前人未到の長期シリーズにより日本人の原点を見つめなおし、世代を超えて感動を与えた
国谷裕子キャスターと NHKテレビ「クローズアップ現代」制作スタッフ
発足以来十年、千六百回を超える番組で、身近な暮らしから政治、経済、国際情勢まで、現代が抱える諸問題を平易かつ的確にレポートし続けてきた功績
風間完
長年にわたり新聞、雑誌に小説の挿絵を描きつづけ、情感あふれる美人画、風景画で独自の境地に達した画業
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
49
2001
丸谷才一
創作、批評、書評、エッセイから対談・挨拶まで、多ジャンルにわたる知的にして旺盛な文筆活動により、日本文学に豊かな広がりをもたらした
宮崎駿
世界的にも高水準のアニメーション作品を20年以上にわたって製作し、世代を越えて人々に感動を与えつづけた
毎日新聞旧石器遺跡取材班
衝撃のスクープ・旧石器発掘捏造の取材・報道によって考古学界を根底から揺さぶり、日本の先史時代を大きく見直す役割を果たした
NHK「プロジェクトX」制作スタッフ
戦後日本を築き上げた名も無き人々の挑戦の物語を描き、元気を喪失している多くの日本人に明日への勇気を与えた
双葉十三郎
半世紀以上に及ぶ、高い見識とユーモア精神に溢れた映画批評の集大成「西洋シネマ大系──ぼくの採点表」全6巻の刊行
イチロー
米国大リーグの選手として攻走守にわたる卓越した野球術を発揮し、日本人のみならず米国人まで魅了した活躍
48
2000
佐藤愛子
紅緑、ハチローそして愛子……、欲望と情念に惑わされる佐藤一族の壮絶な生の姿を、12年の歳月をかけて20世紀の歴史のなかに描いた大河小説『血脈』の完成
古山高麗雄
著者自らも戦った大東亜戦争・ビルマ戦線での死者と生者のありのままを、『断作戦』『龍陵会戦』『フーコン戦記』の三部作に書き続けて20年、戦争のむなしさを語り伝える作家活動
香川県琴平町「金丸座」のこんぴら歌舞伎
現存する最古の芝居小屋「金丸座」での歌舞伎公演を昭和60年以来、町をあげて継続し、江戸文化の伝統を現代に蘇らせ、新しい息吹を与えた
永六輔
放送タレントとしてTBSラジオ「土曜ワイド」などを担当し、庶民感覚あふれる内容と語り口でラジオ放送に一層の親しみと楽しみを与えつづけてきた活動
佐々淳行
社会の治安を乱す破壊活動との戦いに半生を尽くし、その切実な体験を『完本 危機管理のノウハウ』にまとめて刊行するなど、広く一般に危機管理の要諦を訴えた功績
田村亮子
日本人の精神を高揚させたシドニー五輪での金メダル獲得。国民の期待を一身に背負い悲願を達成した、その弛まざる努力に対して
47
1999
井上ひさし
戦中戦後の庶民の真実の姿を活写した『東京セブンローズ』の完成、「こまつ座」の座付き作者としての活躍、そして「ことば」をめぐる軽妙洒脱なエッセいなど、多岐にわたる文学活動の充実
中村又五郎(2代目)
歌舞伎役者として、立役から老役、老女形まで、広い芸域のますますの円熟に加え、三十年にわたり国立劇場の伝承者養成事業に携わり、伝統芸能の土台を支える後進の育成を続けた功績に対して
産経新聞「毛沢東秘録」取材班
膨大な内部資料や回想記を渉猟し、これまで報道されなかった多くの事実をもとに、日本の新聞ジャーナリズムが初めて毛沢東と文化大革命の全体像を鮮明に浮かび上がらせた歴史ドキュメント
宮脇俊三の鉄道紀行
旧国鉄全線完乗をはじめ世界の鉄道に乗車を続け、これまでレイルファンの趣味の読み物だった鉄道紀行を、文芸の一ジャンルとして確立した
国立天文台「すばる」プロジェクトチーム
宇宙を見通す眼、巨大望遠鏡「すばる」を、日本で初めて外国領土ハワイのマウナケア山頂に造る、その構想から完成までの二十年間の研究者およびスタッフたちの情熱と弛まざる努力に対して
小沢征爾と サイトウ・キネン・フェスティバル松本実行委員会
教育者・斎藤秀雄の門下生を中心に結成されたサイトウ・キネン・オーケストラによる音楽会を開催し、松本から最高水準の音楽を世界に送りつづける指揮者小沢征爾と松本実行委員会の営為に対して
46
1998
平岩弓枝
江戸の風物、人情を豊かに謳いあげ、日本の情緒を満喫させる「御宿かわせみ」シリーズ、世の悪を一手に引き受けた幕閣・鳥居甲斐守忠耀を描く「妖怪」など、歴史・時代小説に独自の世界を確立した
木津川計「上方芸能」編集長
芸能の衰亡は民族の興亡にまで関わるとの理念に基き、私費を投じて季刊「上方芸能」を刊行し続けて三十年。上方の伝統芸能と大衆芸能の継承と発展に尽くし、次代を担う人材を育てた
櫻井よしこ
従軍慰安婦、エイズ、政官の腐敗、税制、教育など多岐にわたる諸問題を、ねばり強く追求し、現下の「日本の危機」の本質を鋭く証す言論活動に対して
「捕虜体験記」全八巻 「ソ連における日本人捕虜の生活体験を記録する会」編集
抑留者六十二万人、うち六万人が死亡した過酷なソ連強制労働体験を、延べ三百二十六人が執筆し、一九八四年から十四年をかけて全八巻にまとめあげた。思想や信条にとらわれず体験事実を尊重する編集方針を貫き、後世に貴重な記録を残した
村上豊
卓抜で変幻自在な挿絵や斬新な構図と豊かな彩りの装幀で、画家として出版ジャーナリズムに新生面を拓いた
NHK「ラジオ深夜便」製作スタッフ
若者向けであった深夜の放送の中に中高年齢層にも聴くに耐える心やさしい番組を定着させるとともに、定時ニュースや緊急災害時の速報など、ラジオの役割の再認識とメディアとしての可能性を拡げた
45
1997
山田風太郎
激動の時代の生の証をとどめる「戦中不戦日記」「あと千回の晩飯」などの著作のほか、一世を風靡した「忍法小説」、歴史と虚構を自在に操り文明開化期の世相を描く「明治小説」などで、大衆文芸に新たな面白さをもたらした功績
吉川弘文館「国史大辞典」
編纂着手より三十二年、三千五百余人の歴史学者が執筆にたずさわり、昭和五十四年から十八年の歳月をかけて刊行した総頁目数五万四千余、本格大辞典全十五巻十七冊の完結に至る努力に対して
中坊公平弁護士と山陽放送報道部
香川県豊島の不法投棄の産業廃棄物をめぐる住民の公害調停の弁護団長をつとめ、さらに住宅金融債権管理機構社長を無給で引き受け巨額の負債処理に立ち向かう中坊公平氏の生命を賭しての活動と、その一連の活動を克明に報道し続ける山陽放送報道部
東海林さだお
ナンセンス漫画の旗手として、サラリーマン哀歓を描いて共感を得る一方、「ショージ君」「丸かじり」シリーズでは独特の軽妙な文体を生み出し、多くの読者を魅了、雑誌読み物に新しい領域をひらいた功績
阿久悠
他の追随を許さぬ、オリジナリティをそなえる作詞、その数約五千百。日本人の心をつかみ、絶えずヒット曲を生み続ける作詞活動三十年の業績
44
1996
城山三郎
「もう、きみには頼まない──石坂泰三の世界」「わしの眼は十年先が見え──大原孫三郎の生涯」『「粗にして野だが卑ではない」──石田禮助の生涯』など、気骨ある経営者の堂々たる人生を描き、伝記文学の新しい領域を拓いた功績
孤蓬萬里編著「台灣萬葉集」
「日本語のすでに滅びし国」台湾にあって日本語を深く愛し、格調ある生活実感ゆたかな短歌を作家編集した業績に対して
読売新聞社健康医療問題取材班
医療、医学の最前線を取材し、医療従事者と患者・家族の心が通い合う”優しい医療”を求める長期連載「医療ルネサンス」の企画と紙面構成
有森裕子
バルセロナ・オリンピックのマラソン銀メダル獲得以後、踵の故障や精神的な悩みを克服してアトランタの銅メダルに輝き、さわやかな生き方で感動を与えた
「朝の読書」運動(提唱者林公教諭)
児童・生徒が自由選択による図書を、毎朝十分間、静寂の中でひもとき、やわらかい心に読書に親しむ習慣をつける読書普及運動の成果
市川猿之助
スーパー歌舞伎の創造、埋もれた通し狂言の復活によって歌舞伎を活性化し、ファン層を大き拡げ、門閥によらぬ若手俳優の育成にも大きな功績をあげた
NHKテレビドラマ「大地の子」製作スタッフ
戦争の悲惨さと、父と子の恩愛を通して、日中近現代史を日中共同製作によって映像化し、国内外に大反響を巻き起こした
43
1995
柳田邦男
ノンフィクションのジャンル確立を目指して、孜々として積み重ねてきた功績に対して。最新作「犠牲 サクリファイス」は、家族の絆、脳死と臓器移植など様々な問題を問うて新境地を拓いた
NHK名古屋放送局「中学生日記」
いじめ、不登校、親子の断絶など、思春期の子供たちを直撃する諸問題に正面から取組み、地域社会に深く根を下ろしてドラマ制作をつづけてきた三十四年の成果
東京裁判資料刊行會
東京裁判で却下になった弁護側資料の再収集・編集の努力に対して。当時日本側が主張しようとした「言い分」の全貌を戦後五十年目にして明らかにした
江川紹子
マスコミ沈黙の中、オウム真理教に関わって六年余、戦後最大事件の真実解明の為、沈着冷静な取材活動を行い、遂に教団を追い詰めた勇気と努力
佐藤喜徳
戦場体験を記録し、既刊戦史の誤りを正すことを目指して、昭和六十二年の創刊以来、毎月たゆまず小冊子『集録「ルソン」』を独力で編集・発行し続け、第一級の戦史資料として結実させた努力
野茂英雄
本場大リーグにおける夢のような快投は、震災、オウム、不況…暗い世相に沈む日本人の心に、唯一明るい灯を点じた。のみならず、苛立ちを増す日米関係に好ましい影響を与えた
42
1994
田辺聖子
王朝期から現代まで幅広く多彩な文筆活動に加えて、「花衣ぬぐやまつわる…」「ひねくれ一茶」などの評伝作品に新たな達成を果たした
E・マクレラン
「こゝろ」「暗夜行路」等の優れた翻訳(英訳)の業績のみならず、幾多の研究者を育成して、米国有力大学に教官として奉職せしめ、今日の日本文学研究の隆盛を導いた
和田誠
イラストレーション、ブックデザイン、推理小説の翻訳、エッセイ、映画製作のすべての分野で一級の業績をあげた上質かつ今日的なマルチタレントぶりに対して
日本テレビ
システィーナ礼拝堂の壁画の修復作業費用を全額負担するかたわら、十三年におよび修復作業をくまなく映像で記録し、世界的文化財の保護と日欧友好に尽くした功績に対して
中島みち
優れた評論により医療と法律の接点、及び医療・福祉の場の陽のあたらぬ部門の啓蒙・改善につくした功績、とくに「看護の日」の発案、制定への努力
安田祥子・由紀さおり姉妹による童謡コンサート
全国くまなく「童謡コンサート」の巡演を重ね、先人の遺した美しい日本の童謡を次代に伝え、正しい日本語を普及すべく努めたこの十年間の精進と成果
41
1993
杉森久英
数々の強烈な個性を的確かつ辛辣な筆致で描いて伝記小説に一時代を画し、現在も汪兆銘伝に取り組み新生面を開拓しつつある努力に
浅利慶太率いる「劇団四季」
創立四十年、築地小劇場以来の演劇体質を否定して、斯界に新風を吹き込むとともに、はじめてミュージカルを日本に定着させ、多数の観客動員に成功した
秦郁彦
近著「昭和史の謎を追う」など斬新かつ公正な昭和史観の確立と、「日本陸海軍総合辞典」「戦前期日本官僚制の制度・組織・人事」等、日本近現代史研究資料を編纂集成した功績
上坂冬子
時代を直視し事物の正邪を率直勇敢に表現する旺盛な言論活動と、そのノンフィクション作家としての史眼に
中一弥
歴史・時代小説のさし絵を、時代に忠実に、情感豊かにひとすじに描き続けてきた努力に対して
40
1992
黒岩重吾
古代に材をとり巷説伝承を越えて、雄大な構想と艶やかな情感で、時代に光芒を放つ新しい人間像を創出した一連の歴史ロマンに対して
島田正吾
卒寿を前になお矍鑠。朋友、辰巳柳太郎倒れ、新国劇解散の悲運にも屈せず、青春への追慕の「ひとり芝居・白野弁十郎」でパリ公演を果たし、伝統の旗を振りつづける執念
NHKモスクワ支局
「ソ連邦崩壊」など一連のニュース・番組によって、共産主義の実態と崩壊を、映像が持つ有無をいわせぬ迫真力をもって存分に伝えた。その取材の前線を担当した功労に対して
産経抄
二十有余年にわたり時にユーモラスに、時にするどく世相を活写し、新聞コラムにあらたな楽しさを与えてくれる、すぐれた観察眼に対して
ひめゆり平和祈念資料館
戦争を知らない世代がふえて来たいま、鉄の暴風・沖縄戦で犠牲になった女学生たちの悲惨をきわめた全容を、戦争と教育という観点から遺品とジオラマで再現、展示した努力
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
39
1991
白川静
東アジア古代文化への広い視野を生かし、いかに漢字が国語として摂取されたかを研究、字書「字統」「字訓」でその成果を見事に示した
山崎豊子
「白い巨塔」「不毛地帯」「大地の子」…綿密果敢な取材と豊かな構成力で多数の読者を魅了した
信濃毎日新聞社「扉を開けて」
増大する外国人就労という今日的問題を地方の視点で捉え、その対応をいかにすべきかを提言、日本の国際化への道を示唆した
秋山ちえ子
TBSラジオ番組「秋山ちえ子の談話室」で健全な庶民の良識を語りつづけること三十四年、ただの一度も休むことなく、一万回を目前に迎えた快挙に対して
思潮社
困難な出版状況に耐え、現代詩文庫
(第一期百冊)
をはじめとする詩作品の刊行を続けて三十五年、詩壇を支えてきた真摯な努力
A・デーケン
迫り来る高齢化社会の中に生きる人々に指標を与え、わが国にはじめて「死生学」という新しい概念を定着させた
38
1990
八木義徳(※)
純文学四十有余年。私小説の精髄をひたむきに追求し、独自の境地を守りぬいた
永山武臣
伝統歌舞伎を現代の演劇として国民の間に広く浸透させ、あわせて海外公演を積極的に推進し、文化交流と国際親善に尽くした功績
児島襄
明治維新から太平洋戦争、さらに戦後まで…外交史、戦史をふまえた独自の視点から日本の現代史を詳細に書き続けた
兼高かおる
海外旅行がまだ夢であった昭和三十四年の第一回放映から三十余年「兼高かおる世界の旅」で、未知の国々を紹介し、われわれの身近なものとした
島田謹二
日本における比較文学研究の創始者。あえて軍人研究をテーマに選び、秋山真之、広瀬武夫という二人の典型的な明治軍人の肖像をいきいきと描いた
37
1989
藤沢周平
江戸市井に生きる人々の思いを透徹した筆で書いて、現代の読者の心を掴み、時代小説に新しい境地を拓いた
NHKスペシャル「忘れられた女たち」のスタッフ
繁栄の陰に忘れられ、四十年も放置されてきた満州開拓団残留婦人の昭和を、感動的に捉えた歴史的映像に対して
筑摩書房「明治文学全集」
厳しい出版状況を克服して達成された明治の文化遺産の集大成、索引を含む全百巻の完成に対して
石井勲
漢字を正しく知ることは美しく正しい心を養い、文化遺産を継承する能力を培うとの信念から、幼児教育に画期的な石井式漢字教育の指導法を樹立した
36
1988
池波正太郎
大衆文学の真髄である新しいヒーローを創出し、現代の男の生き方を時代小説の中に活写、読者の圧倒的支持を得た
林健太郎
戦後四十年間空白に曝されてきた歴史教育を社会科の枠から独立させ、本来の姿に復活させた
白川義員
「聖書の世界」「中国大陸」「仏教伝来」など、世界の大自然を”地球再発見による人間性回復”を理念として撮り続けている
日本近代文学館
設立以来二十五年にわたって「近代日本文学」の資料収集保存に献身し、文学振興に大きな役割を果たしてきた
加藤芳郎
四十年ナンセンス漫画一筋、「この人をおいて昭和の漫画は語れない」といわしめた異能の才
35
1987
村松剛「醒めた炎…木戸孝允」
維新三傑の一人・木戸孝允の思想と行動を通じて今まで無視されてきた日本精神史の部分を照射した功績
笠智衆
昭和の時代とともに俳優生活を始め、その間愛される父親像の原形を演じ続けてきた名バイプレイヤー
岩波書店・岩波文庫創刊六十年
「万人の必読すべき古典的価値ある書」という理想を掲げて六十年、発行部数三億冊、日本人の文化的水準向上に貢献
大山康晴
十五世名人、A級在位四十年いまなお現役棋士として活躍する一方、将棋界の発展につくした
34
1986
野口冨士男「感触的昭和文壇史」
著者自らの見聞をもとに、多彩なエピソードをちりばめて生き生きと描く貴重な文壇史
澤地久枝
ミッドウェー海戦を克明に跡づけるとともに、不明だった戦死者三四一九名を全く個人的な努力で掘り起こした
徳岡孝夫
気鋭のジャーナリズムとしての文筆活動のかたわら、時代の書の翻訳紹介にすぐれた業績をあげている
槇佐知子
「医心方」とともに古代医書の双璧とされながら、難解ゆえに幻の書といわれた「大同類聚方」を初めて解読した
33
1985
河盛好蔵(※)
明晰にして中正、旺盛な意欲と、豊かな常識とを合わせもったモラリストとしての文筆活動
山田太一
家庭や職場等のごく平凡な日常を、抜群のドラマに仕上げて、人間愛を訴えつづけている
読売新聞大阪社会部シリーズ「戦争」
戦争を庶民の視点からとらえ、新聞記者が語りついだ十年におよぶ努力
田沼武能
世界七十八カ国、二十年にわたって、戦火・飢餓に苦しみながらも純真さを失わない子供たちを撮りつづけ、感動的な成果をあげた
日本航空写真文化社 末永雅雄監修「日本史・空から読む」
日本の遺跡をはじめて精密な航空写真に撮り、古代人の文化、生活を解明して、古代史の研究に大きな貢献をした
32
1984
永井路子
難解な史料をもとに、複雑な中世社会のすがたを歴史小説に導入して新風をもたらした
山本夏彦
軽妙辛辣な文体で歪んだ世相を諷刺し、常識の復権に寄与しつづける現代稀少のコラムニスト
日本経済新聞連載「サラリーマン」
日本の企業を支えるサラリーマンの生きがいと苦悩を、すべて実在の人物を通したドキュメントとして五年間にわたり報道し、読者の共感を呼んだ
橋田壽賀子
家庭内における人情の機微と世相批評を、みごとにドラマの中に再現し、特に「おしん」はこの一年の話題をさらった
31
1983
竹山道雄
一貫して時流を批判し、常に人間とは何かを探りつづけてきた勇気ある発言…著作集
(全八巻)
刊行を機として
サンケイ新聞行革取材班
一連の行革キャンペーン…特に大きな反響を呼んだ武蔵野市退職金問題を報道し、地方自治体改革の先鞭をつけた
立花隆
徹底した取材と卓抜な分析力により、幅広いニュージャーナリズムを確立した文筆活動
山藤章二
独自のイラストによる「ブラック=アングル」「世相あぶり出し」など痛烈な諷刺
30
1982
宇野千代
透徹した文体で情念の世界を凝視しつづける教鞭な作家精神
東京新聞「裁かれる首相の犯罪」法廷全記録
昭和五十二年一月初公判以来のロッキード疑獄裁判記録を欠かさず報道してきたユニークな紙面構成
塩野七生
イタリアの歴史を通して現代の日本に問いかける鋭い洞察力に富んだ「海の都の物語」その他の著作
大宅壮一文庫
わが国唯一の”雑誌図書館”として昭和四十六年以来社会に寄与してきた実績
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
29
1981
山本七平
日本人の思想と行動を、独自の視点から捉えた所謂「山本学」の創造に対して
川喜多かしこと高野悦子
岩波ホールを基点として、世界の埋もれた名画を上映する「エキプ・ド・シネマ」運動の主宰者としての努力
開高健
「ベトナム戦記」から「南北アメリカ縦断記」に至る、国際的視野に立つ優れたルポルタージュ文学に対して
「フロイス日本史」全12巻
散逸した一級資料を蒐集し、判読困難な原典写本からの完訳を実現させた、松田毅一と川崎桃太の功績
28
1980
福田恆存
昭和二十九年「平和論の進め方についての疑問」を発表以来二十六年間、渝らざる言論を貫き通してきた
大岡信の「折々のうた」
朝日新聞第一面に活性を与えたこの珠玉のコラムは、歴史の流れに立って詩歌のこころと魅力を広く読者に植えつけた
井上靖とNHK「シルクロード」取材班
井上靖の西域小説にかけた永年の情熱が、NHKの優れたドキュメンタリー製作陣によって、世界で初めて映像化された
講談社「昭和萬葉集」
五十余年にわたり激動の時代を生き抜いてきた人々の感懐を、四万五千首の短歌に託した国民の昭和史全20巻の完成に対して
27
1979
山口瞳
独自の手法により、自分の家族の生涯を赤裸々に綴った私小説「血族」に対して
松竹演劇部・歌舞伎海外公演スタッフ
昭和三年の訪ソ公演より、本年二月のアメリカ公演まで十五回の海外公演を行ない、文字通り「歌舞伎は旅する大使館」と賞賛されるまでに至った文化交流に尽くした努力
柴田穂
サンケイ新聞連載中の「毛沢東の悲劇」をはじめ、文化大革命当時から終始一貫、真実の報道によって読者に説得力のある分析と予見をうち出してきた新聞記者魂に対して
文學界同人雑誌評グループ
久保田正文・駒田信二・小松伸六・林富士馬の4氏。二十数年にわたって同人雑誌評を試み、文学を志すものに大きな励みを与えるとともに、数多くの作家を育成した功績
26
1978
木村毅
明治文化研究者として一時代を画し、文化交流に在野からいくたの貢献をし、常に時代の先導的役割を果した
五味川純平
「人間の条件」「戦争と人間」「ノモンハン」「御前会議」など一連の作品によって太平洋戦争の錯誤と悲惨を問い直す執念と、その戦争文学としての結実
毎日新聞「記者の目」
部署にとらわれず適材の記者を選び、自由にペンを運ばせて新聞記事に新風をもたらした企画
沢田美喜と日本テレビ
「子供たちは七つの海を越えた」
(番組)
で、サンダースホームの歴史と現実をみごとに映像化した
植村直己
犬ぞりによる単独北極点到達とグリーンランド縦断…日本青年の声価を内外に高めた二大冒険
25
1977
川崎長太郎
私小説をひたむきに書きつづけて半世紀、近作に実った精進の足跡
E・G・サイデンステッカー
「源氏物語」英訳
(完訳)
をはじめとする日本文学の研究紹介につくした功績
宇野信夫
継承困難な歌舞伎劇の唯一の伝承者として、現在も活躍しつづける貴重な劇作・演出家
読売新聞記者 井上安正
弘前大学教授婦人殺し再審に関する報道に身をもって示した新聞記者の執念
畑正憲
ムツゴロウものをはじめ数多の作品で人と動物の心の触れあいを描き、北海道に”動物王国”を造る迄その全生活を賭けた環境の文学
水本光任とサンパウロ新聞
ブラジル在住の日系人75万人に対する邦字新聞としての報道、啓蒙、親善に果たした役割
24
1976
戸板康二
近代批評を織り込んだ歌舞伎評を書いて三十年、劇評の権威を貫いた功績
毎日新聞社「宗教を現代に問う」
時代が要請しながらジャーナリズムでは取上げられなかった宗教問題に取り組み、あらゆる角度から日本人と信仰の現在的な態様をとらえた独自性
TBSテレビ「時事放談」
巧みな話術で社会時評を一千回、二十年間つづけ、政治を市民に接近させた細川隆元ほかスタッフの努力
入江泰吉三部作
古都奈良の寺社風物と自然を索めて六年、みごとな写真芸術に仕上げた「花大和」「萬葉大和路」「古色大和路」の色彩美
23
1975
高木俊朗
「陸軍特別攻撃隊」その戦争記録文学としての出色
サンケイ新聞社会部
連続爆破事件犯人逮捕のスクープ
萱野茂
「ウエペケレ集大成」を刊行し、アイヌの伝統文化を自らの手で守り続ける独自性
近藤日出造
漫画で政治を大衆に近づけた多年の功績
22
1974
丹羽文雄
多年にわたり文芸同人誌「文学者」を主宰、後進育成につくした努力
東京空襲を記録する会
貴重な記録「東京大空襲・戦災誌」全五巻の完成に対して
城戸四郎
五十数年にわたり、一貫して日本映画の発展につくした功績
日曜名作座
優れたラジオ文芸として、十七年間日本文学の理解、普及につとめた功績
21
1973
吉村昭
「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品
小林秀雄
「八丈実記」の原本を十年がかりで公刊した努力
北條秀司
演劇協会の創始者として、また劇作家として演劇文化に貢献
土方定一
鎌倉近代美術館長としての卓抜な企画力による業績
20
1972
豊平良顕
戦後、沖縄の文化全般にわたり保護推進してきた功績
永井龍男
市民生活の哀歓をみごとに結晶させた作家活動
倉林誠一郎
労作「新劇年代記」全三巻の完成に対して
武原はん
地唄舞を今日の隆盛までもたらした功績
山田洋次
庶民感覚にあふれる映画「男はつらいよ」シリーズに対して
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
19
1971
水上勉
独自の伝記文学「宇野浩二伝」
尾上多賀之丞
歌舞伎の脇役としてたゆまざる努力とその至芸
黛敏郎「題名のない音楽会」
卓抜なる企画と独創的な司会に対して
土門拳
ライフ・ワーク写真集「古寺巡礼」の完成
H・ストラウス
出版編集人として日本文学をひろく海外に紹介した功績
18
1970
松本清張
「昭和史発掘」を軸とする意欲的な創作活動
江藤淳
評伝「漱石とその時代」のすぐれた業績に対して
新潟日報 特集「あすの日本海」
地域社会を原点として描く積極的な企画構成
平凡社東洋文庫
精緻な注解を付した稀覯名著の復刻
西川鯉三郎
文芸作品の舞踏化並びに日本舞踏に新鮮な流風を創った功績
17
1969
石川達三
社会派文学への積年の努力
大佛次郎
「三姉妹」に代表される劇作活動
日本経済新聞社文化部
新鮮にしてバラエティと創意に富む紙面づくり
16
1968
海音寺潮五郎
歴史伝記文学作家としての努力と功績
毎日新聞「教育の森」
村松喬氏を中心とするグループ。三ヵ年にわたり、一貫して戦後日本の教育の批判と向上をめざしたシリーズ
読売新聞「昭和史の天皇」
すでに六百数十回に及び、的確な調査に基づいた、終戦時の生きた記録を興味深く除述している
渋谷天外
新喜劇のリーダーとして、同時にすぐれた作者舘直志として永年にわたり大衆に健全な笑いを提供してきた
布川角左衛門
永年にわたり、著作権、出版権の擁護に活動。また「日本出版百年史年表」編集委員長としての努力
15
1967
吉屋信子
半世紀にわたり読者と共に歩んだ衰えざる文学活動
宮田輝「ふるさとの歌まつり」
全国各地の民俗芸能を紹介しつつ、茶の間に笑いと親しみを与えた軽妙なる司会と丹念なる構成企画
青蛙房
特殊文献、特に失われつつある江戸時代風俗研究書の長年にわたる良心的出版
14
1966
司馬遼太郎
新鮮な史眼による小説「竜馬がゆく」
(全五巻)
「国盗り物語」
(全四巻)
の完結に対して
石坂洋次郎
常に健全な常識に立ち、明快な作品を書きつづけた功績
毎日新聞外信部
「燕山夜話」をいち早く紹介、批判し、中国文化大革命の核心を追求した鋭敏な感覚
博物館・明治村
民間独自の力で、明治の文化財を保存再現につとめつつある努力
13
1965
亀井勝一郎
「日本人の精神史研究」をはじめ、長年にわたる日本人の魂の遍歴を考察した功績
中国新聞の暴力団追放キャンペーン
地域社会に密着する地元紙として”暴力団追放”を宣言。徹底した報道活動を続けた勇気
みすず書房の「現代史資料」
貴重な記録・資料を多年にわたり苦心の末収集・整理し刊行した意義
大宅壮一
マスコミにおける評論活動生活五十年
12
1964
日本近代文学館の設立運動
高見順氏を中心として発足し、近く「近代文学館文庫」開館にまで漕ぎつけた努力と功績
宝塚歌劇団の五十年
レヴュー、ショーの先駆として永年健全な娯楽を提供し続けた努力と、多くの女優を輩出した功績
三宅周太郎
五十年間、劇評をつづけ、且つ文楽の保護など斯界に貢献した
カナダ・エスキモーの報道
朝日新聞記者、本多勝一・藤本高嶺両氏が、未開民族の内に身を挺して、苦楽の生活を共にし、画期的な報道をした功績
11
1963
伊藤整
「日本文壇史」
川口松太郎
三十年にわたり作者と同時に指導者として「新派」を育成しつづけた功績
「点字毎日」
点字新聞の創始者として四十年間終始変わりない努力
吉川弘文館と日本歴史学会
「人物叢書」百巻の刊行
堀江謙一
単身ヨットを駆って世界最初の太平洋を横断した快挙
10
1962
子母澤寛
「逃げ水」「父子鷹」「おとこ鷹」等、幕末明治を時代背景にした一連の作品
ドナルド・キーン
古典並びに現代日本文学の翻訳による海外への紹介
伊藤熹朔
四十年にわたる舞台美術確立と後進育成の功績
石原登
二十八年の長きにわたって独自の理論と実践により非行少年の補導に当り顕著な成果を挙げた
回数
受賞年
受賞者
受賞理由
9
1961
花柳章太郎
「京舞」「夢の女」等における演技と、多年にわたる演劇への功績
岡田桑三
東京シネマの科学映画への貢献
伊藤正徳
太平洋戦争外史ともいうべき一連の作品
NHKテレビ「バス通り裏」
ホームドラマとして多くの家庭に自然に親しまれ、七百回を越えるそのスタッフ一同の努力
三原脩
作戦統率の妙を得て、最下球団をして、よく優勝せしめた努力
吉田幸三郎
有形無形文化財の保存、保護に尽力した多年の功績
8
1960
菊田一夫
ロングランの新記録をつくった「がめつい奴」の脚本、演出の努力
石井茂吉
写真植字機の発明並びに写植文字
(通称石井文字)
の筆者としての功績
東芝日曜劇場
KRテレビ開局以来、一貫して正統演劇を放送し、テレビ番組の質的向上を目指す製作関係者及びスポンサー
長谷川路可
伊太利チヴィタヴェッキア修道院に於ける日本二十六聖人殉教大壁画の完成
7
1959
真山美保
新劇の大衆化、特に文化に恵まれぬ地方公演の成果
NHKテレビ芸能局
「私の秘密」企画の苦心とその成功
6
1958
野村胡堂
庶民の英雄「銭形平次」を主題とし、二十七年に亘り四百二十数編を創作した功績
川端康成
世界ペン大会開催への努力と功績
市川壽海
劇団の最長老として益々新鮮にして円熟せるその演技
石川武美
婦人家庭雑誌の創造と確立のため、四十二年一貫して編集経営に従事し、戦後はその大型化の先鞭をつけた
昭和女子大学近代文学研究室
その共同研究になる「近代文学研究叢書」五十四巻刊行への真摯なる態度
5
1957
正宗白鳥
いよいよ盛んなる批評活動
水谷八重子(初代)
常に新生面を開く努力
長谷川一夫
三十年に亙るたゆまざる精進
毎日新聞社会部
「官僚にっぽん」其の他一連の連載記事
大修館書店
諸橋大漢和辞典の出版への苦心
依田孝喜
記録映画「マナスル」のカメラマンとしての功績
4
1956
荒垣秀雄
「天声人語」の執筆
長谷川伸
多年の文学活動とその著作「日本捕虜志」
花森安治と「暮しの手帖」編集部
「暮しの手帖」
河竹繁俊
多年に渡る歌舞伎研究
淡島千景
本年度に於ける演技の著しき進歩
3
1955
木村伊兵衛
日本写真界につくした功績、特に外遊作品
安部光恭
世界的ニュース「ビキニの灰」のスクープ
徳川夢声
年毎に円熟を示している各方面に於ける活躍
阿部真之助
自由且つ気骨ある政治評論家として、民衆の政治意識を高めた近年の活動
石山 賢吉
雑誌経営並びに編集者として一貫かわらざる精進
2
1954
永田雅一
氏を中心とする日本映画の海外進出への活動
中島健蔵
著作権確立に関する努力
横山泰三
「プーサン」
朝日新聞
第三頁の総合解説面
石井桃子
児童文学活動
岩田専太郎
挿絵及び「表紙」
1
1953
吉川英治
「新平家物語」
水木洋子
シナリオ
(「おかあさん」「ひめゆりの塔」「丘は花ざかり」など)
俳優座演劇部研究所
その活動
読売新聞社会部
原四郎氏を中心とする同社会部の暗黒面摘発活動
扇谷正造
氏を中心とする週刊朝日編集部
岩波書店
「写真文庫」
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