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      はじめに

      昭和歌謡の黎明期、いち早く、西洋のリズムを歌謡曲に取り入れ、独自の音楽の世界を築いた服部良一。
      “日本のポップスの元祖”と言われるその音楽人生をヒット曲誕生秘話と共に紹介する。

      昭和24年、敗戦からの復興を後押しするかのような、明るくリズムカルな歌が多くの人の心を捉えた。

      ♪若くあかるい 歌声に 雪崩は消える 花も咲く
      青い山脈 雪割桜 空のはて 今日もわれらの 夢を呼ぶ


      「青い山脈」である。作詞・西條八十 作曲・服部良一 歌・藤山一郎&奈良光枝。
      同名映画の主題歌として発表され、映画と共に大ヒット。日本歌謡史を飾る名曲として70年以上たった今もなお歌い継がれている。作曲した服部良一は西條から受け取った詞を手に曲想を練っていたが、「梅田から省線に乗って、京都に向かう途中のこと、日本晴のはるか彼方にくっきりと描く六甲山脈の連峰をながめているうちに、にわかに曲想がわいてきた」という。そして、列車の中で手帳に書きとめようとしたが車内は買い出しの客で満員。五線譜を書くことができない。そこで、口の中でむにゃむにゃ呟きながら、6032 3343 64322…と数字をしたためた。これは、ハーモニカでドレミファを表わす符号。「周りの人も、闇屋が計算していると思ったのでしょうね。」と回想している。服部の作風はブルースやマンボ、ボレロなど、ジャズを主流とする西洋音楽の影響を受け、“日本ポップスの父”とも謳われている。さらに、そのDNAは長男で作編曲家の服部克久(故人)、孫の作編曲家の服部隆之に受け継がれ、音楽界に華麗なる系譜を作り上げている。今回は隆之が服部メロディーに隠された秘密を明かし、真髄とは何かを解いていく。

      服部良一

      明治40年(1907)10月1日生~平成5年(1993)1月30日没 85歳

      服部良一服部良一
      服部隆之服部隆之

      番組内容

      生い立ちと音楽との出会い

      明治40年、大阪で土人形師をする服部久吉とスエの長男として生まれる。(5人兄弟で4番目、唯一の男児)
      芸事好きの家族の影響で郷土の江州音頭や河内音頭を子守唄代わりに育つ。小学生のころから音楽の才能を発揮したが卒業後は商人になるために昼は働き、夜は商業学校に通った。姉の勧めで音楽をやりながら給金がもらえる千日前の出雲屋(うなぎ割烹)の少年音楽隊に一番の成績で入隊。オーボエ、サックス、フルートなど担当。
      音楽隊解散後は、ラジオ放送用に結成された大阪フィルハーモニック・オーケストラに入団。

      音楽界の新風

      昭和11年、待望のコロムビアの専属作曲家に。入社第一作は淡谷のり子の「おしゃれ娘」で、当時、最先端の音楽であったスウィングジャズの要素を取り入れた斬新な作品であった。続いて、淡谷に提供した「別れのブルース」は、黒人のブルースをベースにした作品で妖艶なソプラノで哀愁を漂わせる淡谷の歌声とがマッチ、大ヒットし、出世作となった。以来、「蘇州夜曲」「湖畔の宿」「山寺の和尚さん」「東京ヴギウギ」「東京カンカン娘」など独特のメロディーのヒット曲を放った。

      上海が服部メロディーの源流

      西洋のリズムを取り入れ、日本の音楽界に新風を吹き込んだ服部だが、それを肌で感じた場所がある。中国大陸の上海である。近くには風光明媚な場所があり、戦時中は世界各国の文化が交流するある種のワンダーランドで欧米のバンドマンが腕を競い合い、観客はそれを楽しんでいた。服部は昭和13年、昭和16年、昭和20年と3回、上海に出向いている。その多くは従軍慰問であったが現地で演奏されていた音楽は服部を著しく刺激した。
      「蘇州夜曲」は上海の近くの美観世界一と言われる杭州の西湖で舟遊びをした際に曲想が浮かび、「東京ブギウギ」は上海で聴いた生バンドの演奏がヒントとなったという。
      ※今回、昭和13年、杭州に慰問したときのカラー映像を発見!
      「蘇州夜曲」の曲想が浮かんだと言われる湖でボートに乗る服部の姿があった。(テレビ初公開)

      名曲誕生秘話

      ♪別れのブルース
      「日本生まれのブルースを作ろう」とソプラノの淡谷のり子にあえてアルトで歌わせた。発売当初、日本ではヒットしなかったが中国戦線で兵士たちに歌われ、それが日本に伝わりヒット曲となった。  

      ♪蘇州夜曲
      初めて中国を訪れた際、上海の隣り杭州で“世界一の美しさ”と言われた西湖でボートに乗った。すると曲想が浮かび持っていたサックスでメロディーを奏でた。そのメロディーを元に、後日、映画の挿入歌として完成させたのが「蘇州夜曲」だった。服部は自作の中で“いちばんの作品”と言った。

      ♪東京ブギウギ
      リズム音楽を歌謡曲に取り入れた服部の代表曲。戦時中、“敵性音楽”とされた自らのメロディーへ対する思いが爆発。圧倒的なエネルギーで刻むリズムは聴く者を驚かせた。当時、12歳だった作詞家の阿久悠も驚いた。

      紹介楽曲

      ♪別れのブルース/淡谷のり子
      ♪蘇州夜曲/渡辺はま子
      ♪広東ブルース/渡辺はま子
      ♪東京ブギウギ/笠置シヅ子
      ♪買物ブギー/笠置シヅ子
      ♪胸の振子/霧島昇 石原裕次郎 石川さゆり
      ♪湖畔の宿/高峰三枝子
      ♪夜のプラットホーム/二葉あき子
      ♪恋のアマリリス/二葉あき子
      ♪山寺の和尚さん/ボニージャックス
      ♪一杯のコーヒーから/霧島昇
      ♪東京の屋根の下/灰田勝彦 
      ♪懐かしのボレロ/藤山一郎
      ♪青い山脈/藤山一郎
      ♪小雨の丘/服部富子
      ♪三味線ブギウギ/市丸

      ほか

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