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景気総括判断を3年ぶり下方修正、輸出や生産の一部に弱さ-月例報告

  • 生産を「おおむね横ばい」に引き下げ-中国経済減速などで輸出鈍化
  • 「景気は緩やかに回復している」との基調判断は維持

政府は20日発表した3月の月例経済報告で、日本経済の総括判断を2016年3月以来3年ぶりに下方修正した。「景気は緩やかに回復している」との基調判断は維持しながらも、中国経済の減速などの影響を受けて「このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」との表現を追加した。

  総括判断は18年1月に「緩やかに回復している」へ上方修正されて以降、据え置かれていた。今月の月例報告では、一部に弱さが見られるものの「緩やかに増加」としていた生産を、「おおむね横ばい」へ2カ月連続で下方修正。景気の先行きについても「緩やかな回復が続くことが期待される」との表現を維持しつつ、「当面、一部に弱さが残る」を追加した。

  政府は1月の月例報告時に、第2次安倍内閣が発足した12年12月からの景気拡大局面が1月で74カ月と「戦後最長になった可能性がある」との認識を示し、その後も維持してきた。景気の山と谷は専門家で構成する内閣府の景気動向指数研究会の議論を基に決定され、通常は判定に1年以上を要する。

  今月発表された1月の景気動向指数では、一致指数の基調判断が後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に引き下げられた。米中貿易摩擦の影響などから足元で輸出や生産の指標の弱さが目立つ中、日本銀行は15日の金融政策決定会合で海外経済と輸出、生産の現状判断を引き下げた。

  内閣府は今回の月例報告について、現時点で景気回復が途切れたとは考えておらず、緩やかな回復との認識に変わりはないと説明。国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費と設備投資は増加傾向にあり、雇用・所得環境の改善や高水準の企業収益を背景に、内需中心の緩やかな景気回復が続いているとしている。

足元で弱さが目立つ経済指標

出所:内閣府、財務省、経済産業省、日本工作機械工業会

備考:鉱工業生産と機械受注は前月比(%)、輸出と工作機械受注は前年比

「戦後最長」景気に黄信号、判断引き下げなら3年ぶりー月例報告
  
  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは発表前のリポートで、「日本経済が2019年中に景気後退へ向かう、つまり景気の山が早晩訪れる展開を肯定する」と指摘。19年終盤に世界経済が失速し、日本も下降を余儀なくされることをメインシナリオにしており、「19年序盤にすでに日本経済が景気後退に入ったとは考えていない」としていた。

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