ウクライナ、東部で一部領土を奪還か 2014年からロシアが支配=英国防省

Ukrainian servicemen ride atop of a BM-21 Grad multiple launch rocket system near a front line in Donetsk region on 21 June

画像提供, Reuters

画像説明, ウクライナ東部ドネツク州の前線付近のウクライナ軍(6月21日)

イギリスの国防省は27日、ロシアが2014年から占領してきたウクライナ東部ドンバス地方の領土の一部について、ウクライナ軍が奪還した「可能性が高い」との見方を示した。

ドンバス地方はドネツク州とルハンスク州を合わせた地域を指す。ウクライナ軍司令官は24日、ドネツク州クラスノホリフカ村に近い土地について、ロシアから奪還したとしていた。

英国防省は27日の戦況分析で、ウクライナの空挺(くうてい)部隊がその後、この村から東に「わずかに前進」を果たしたと説明。

「2022年2月のロシアによる侵攻開始以降で初めて、ロシアが2014年から占領してきた地域を、ウクライナ軍が奪還した可能性が高い事例の一つ」だとした。

また、ウクライナ軍が反転攻勢としてドンバス地方の前線各地で同時攻撃を仕掛けた結果、同地方にいる自称「ドネツク人民共和国軍」とロシア・チェチェン共和国の部隊が過度に分散し、手薄になった可能性が高いとした。

BBCはこうした分析を検証できていない。ロシア当局は最新の戦況分析で、クラスノホリフカに言及していない。

「幸せな日」とゼレンスキー氏

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、反転攻勢によってすべての前線で前進がみられるとしている。

27日深夜の演説でゼレンスキー氏は、ウクライナにとって「幸せな日」だと述べた。ただ、詳細や具体的な地域については話さなかった。

ゼレンスキー氏は今月、ロシア占領地を奪還するための反撃を開始したと認めた。21日には、戦場での進展が「望んでいたより遅い」とBBCに話していた

ロシアは2014年、ウクライナ南部クリミア半島を不法に併合。ウクライナ東部でロシアと国境を接しているドネツク、ルハンスク両州は同年、ロシアの支援を受けた勢力が部分制圧した。

Map showing areas of Russian control in Ukraine

南部でも前進か

ウクライナ軍の南部前線を指揮するオレクサンドル・タルナフスキー司令官は26日、同国軍が南に向けて「前進」していると説明。「すでに解放された地域があり、私たちの移動は続く」と述べた。具体的な地域名は示さなかった。

親ロシア派の戦争ブロガーらによると、ウクライナ軍は南部ヘルソン州でも前進している。ドニプロ川を渡り、ロシア軍が占領していた左岸に足場を築いたという。

軍事ブロガーのサーシャ・コッツ氏は先週、ヘルソン市のアントニフスキー橋がかかるドニプロ川付近でウクライナ軍の活動が活発化したと、テレグラムに投稿。同軍が左岸に陣地を形成し、さらに南へ足場を広げようとしていると書いた。

BBCはこれが事実か検証できていない。ウクライナは現地での自軍の動きについて公式には明らかにしていない。

動画説明, 大事なものを取り返すため、取り返しのつかない喪失……反撃するウクライナ軍にBBC同行取材