米外交官らがキューバで体調不良、マイクロ波攻撃の可能性=米報告書

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画像説明, アメリカは当初、米大使館への「音波攻撃」を疑った

キューバでアメリカの外交官らが原因不明の体調不良を訴えたのは、マイクロ波に直接さらされたのが原因だった可能性が高いと、米政府が報告書で明らかにした。

米国科学アカデミーがまとめた報告書は、マイクロ波を誰が発していたのかは特定していない。

ただ、50年以上前に当時のソヴィエト連邦が、パルス無線周波エネルギーの効果を研究していたと指摘した。

この体調不良は2016~2017年に、キューバの首都ハバナのアメリカ大使館職員に最初にみられた

大使館職員と家族らは、めまい、バランス感覚の喪失、聴覚障害、不安症、「認識に霧がかかった」ような症状を報告。「ハバナ症候群」と呼ばれるようになった。

アメリカは、キューバが「音波による攻撃」を実行したと非難。キューバはこれを強く否定し、両国関係は緊張が増した。

同様の症状は、カナダ大使館の職員の少なくとも14人にもみられた。カナダはその後、大使館職員を減らした。

長期に体が衰弱

今回の報告書の研究は、約40カ国の政府職員の症状について、医療と科学の専門家チームが実施した。

報告書によると、多くの政府職員らが長期間、体の衰弱に悩まされているという。

「これらの特徴的で深刻な兆候や症状、(政府)職員が報告した所見の多くは、パルス無線周波(RF)エネルギーが向けられたことによる効果と一致している」

「西側とソ連側で半世紀以上前から公表されてきた研究や情報が、この仕組みの状況証拠になっている」

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画像説明, 中国・広州市の米総領事館の職員も奇妙な症状を訴えた

報告書はまた、「連続派ではなくパルス波(の無線周波)にさらされることの影響に関して、ロシア/ソヴィエト連邦でかなりの研究」がされていたと指摘。「ユーラシアの複数の共産国」の軍人らが、非熱的放射にさらされたことがあったとした。

珍しい症状を訴えた米外交官らは、キューバ勤務経験者に限らない。

2018年には、中国南部・広州市の米総領事館に勤務していた職員らが、「わずかで不明瞭だが普通ではない、音や圧力の感覚」を訴えた。それを受け、米政府は数人の職員を異動させた。職員の1人は、軽い脳損傷と診断された。