新型コロナウイルスによる死者、世界で100万人超える

Workers clad in hazmat suits bury the coffin of a person who died coronavirus in Jakarta, Indonesia, 23 September 2020

画像提供, EPA

画像説明, インドネシアの首都ジャカルタでは、厳戒態勢の中で新型コロナウイルスの死者の埋葬が行われている

新型コロナウイルスによる感染症COIVD-19で亡くなった人の数が、全世界で100万人を超えた。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカとブラジル、インドだけで死者の半数近くを占めている。

日本時間29日午後2時現在では、死者はアメリカが20万5070人と最も多く、これにブラジルの14万2058人、インドの9万6318人が続いている。

しかし専門家は、実際の死者はもっと多いだろうと指摘している。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、死者100万人という数字は「あ然とする」もので、「痛々しい節目」だと語った。

「しかし我々は、その一人ひとりの命から目を離してはいけない」と、グテーレス事務総長はメッセージ動画で述べた。

「この人たちは父であり、母であり、妻であり、夫であり、きょうだいであり、友人であり、同僚だった。この病の残酷さで、私たちの痛みはますますひどくなっている」

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死者数100万人の節目は、中国の武漢市で新型ウイルスの流行が始まってから10カ月近くで訪れた。

これまでに188カ国で感染が報告されており、その件数は3200万件を超えている。多くの国がロックダウン(都市封鎖)などの施策を取った一方、その影響で経済低迷に見舞われている。

こうした中、新型ウイルス向けワクチンの開発が進められている。だが世界保健機関(WHO)は、ワクチンが行き渡る前に死者が200万人に達する可能性もあると警告している。

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画像説明, 国別の新型コロナウイルスによる死者数。アメリカが最も多く、これにブラジル、インド、メキシコ、イギリスが続く(出典:ECDC、9月27日現在)

どの国で感染が広がっているのか

感染報告数はアメリカが最も多く、715万人近くと、世界全体の感染者の5分の1を占めている。アメリカでは7月に流行の第2波があり、8月にいったん新規感染者が減ったものの、最近になってまた増加している。

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画像説明, 大陸ごとの新型コロナウイルス死者の推移。紫色がアジア、水色が中東、青色が欧州、濃い青色が北米、赤色が南米・カリブ海地域、黄色がアフリカ。オセアニアの死者は1000人以下(出典:ECDCと各国保健当局、9月28日現在)

インドでも新型ウイルスが急速に広がっており、9月初めには1日当たりの新規感染者が9万人を超えていた。

現在、インドの感染件数は610万件と、アメリカに次ぐ多さとなっている。しかし13億人超という人口から見れば、インドの死亡率は比較的低い。

ブラジルは南米で最も新型ウイルスによる死者が多く、感染者数も470万人超と世界で3番目。

南米大陸ではこのほか、アルゼンチンで感染者が急増しており、全体で72万件となっている。

専門家は、各国で検査体制や感染者および死者の数え方が異なるため、実際に新型ウイルスによって亡くなった人の数はもっと多いだろうと指摘している。

ワクチン開発はどこまで進んだ?

現在、世界各地で約240種類のワクチン候補が開発の初期段階にある。臨床試験に進んだのは40種類、数千人を対象にした第3相まで進んだのは9種類だ。

ワクチン開発は通常、研究から配布まで5年から10年はかかるが、COVID-19ワクチンについてはそれが何カ月かに短縮されている。

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イギリスのオックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカが開発しているワクチンは、臨床試験で免疫反応が確認されており、すでにイギリスだけで1億回分を確保する契約が結ばれている。

中国でも、あるワクチン候補が新型ウイルスへの抗体を生み出すことが確認された。このワクチンは中国軍に供給される予定だが、その製造スピードについては懸念の声があがっている。

動画説明, 新型コロナウイルスに自ら感染……ヒトチャレンジ治験に応募する人々

ロシアでは、「スプートニクV」と名付けられたワクチン候補が試験の初期段階で免疫反応を生み出したと発表されている。

それによると、治験に参加した感染者全員が新型ウイルスへの抗体を獲得した一方、重篤な副作用は起こらなかったという。

ロシアは8月にすでに、このワクチンの国内での使用を認可した。新型ウイルス向けワクチンとしては世界で最も速い認可だが、ここでも製造スピードへの懸念の声があるほか、安全性と効果を立証するには臨床試験の規模が小さすぎると指摘する専門家もいる。

アメリカではドナルド・トランプ大統領が、早ければ10月にも国内でワクチン接種を始められると発言。しかし米疾病対策センター(CDC)は、2021年半ばまではワクチンは普及しないだろうとしている。

WHOも、2021年半ばまでは広範囲でのワクチン接種は見込めないとしている。