世界の9割の男女が女性に偏見、国連ジェンダー調査で明らかに

A woman holds a sign in support of women's rights

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国連開発計画(UNDP)は5日、世界のおよそ9割の男女が、女性に対して何らかの偏見を持っていることを示す報告書を発表した。

75の国と地域を対象に行われた「ジェンダー社会規範」指数の分析では、政治や教育といった分野で偏見があることが明らかになった。

全体で見ると、男性の50%近くが、男性は女性よりも良い仕事ができると答えた。また回答者の3割近くが、男性がパートナーをたたくことは容認できると答えている。

一方でこの報告書は、男女平等が達成されている国は1カ国もないと結論付けている。

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最も偏見が強いのはジンバブエで、ジェンダー・バイアスが全くないと考えている人の割合ははわずか0.27%だった。一方、アンドラでは偏見がないと答えた人は72%に上り、トップとなった。

ジンバブエでは、96%の人が女性への暴力は容認できると答えたほか、人口妊娠中絶など生殖に関する女性の権利を支持しないと答えた人も同じ割合に上った。フィリピンでも、91%の人が同じような考え方だった。

政治における女性の役割

報告書によると、世界の男女の約半数が、男性の方が良い政治的指導者になれると考えている。

中国では、55%の人が男性の方が政治的指導者に向いていると答えた。まだ女性大統領が誕生していないアメリカでも、39%が同様の回答をした。

一方で、現在女性が首相を務めているニュージーランドでは、この考え方は27%にとどまった。

Jacinda Ardern, prime minister of New Zealand

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画像説明, ジャシンダ・アーダーン氏が首相を務めるニュージーランドでは、男性の方が政治的指導者に向いていると考えている人は27%にとどまった。

女性が政府のトップを務めている国は193カ国中10カ国と、2014年の15カ国から減っている。

一方で議会での議席数では、女性の割合がわずかに増えた。中南米とカリブ海地域が31%と最も高かった一方、南アジアはわずか17%と最低だった。

Share of seats in parliament held by women. .  .

国連開発計画(UNDP)人間開発報告書室のペドロ・コンセイソン室長は、「我々はこの数十年、女性が男性と同様に人生の必需品へのアクセスを得られるよう、長い道のりを歩んできた」と説明。

「しかし他の領域でのジェンダーギャップはなお明確だ。特に力関係のあるところ、真の平等を達成するに当たって最も影響力のあるところで顕著だ。今日のジェンダーの平等に向けた闘いは、偏見や先入観との闘いだ」と述べた。

労働市場における女性

女性は男性よりも賃金が低く、役職に就く可能性も低い。世界的に見ると、40%の人々が男性の方が経営者に向いていると考えている。

イギリスでは、25%の人が男性の方が女性より仕事に向いており、経営者にも向いていると答えた。インドではこの割合は69%に上る。

UNDPジェンダー室のラケル・ラグナス室長代理は、「男女平等を達成するために迅速かつ広範囲な進展を求めるなら、我々は今こそ、この偏見と先入観の壁を破らなくてはならない」と訴えた。