香港空港、デモ隊の立ち入りを「一時禁止」に 出発便を再開
反政府を掲げる数千人のデモ隊による座り込みが続いていた香港国際空港で14日、出発便の運航が再開された。しかし一部の便では、遅れやキャンセルが続いている。
空港当局の発表によると、空港の特定のエリアへのデモ隊の立ち入りを禁止する、一時的な命令が出された。「当局が指定したエリア以外での、いかなるデモや抗議行動への参加も制限」されるとしている。
香港では、反政府や民主化を求めるデモは10週連続にわたり続いている。
デモ隊は12日、香港国際空港を占拠した。13日には数百便が欠航となったほか、同日深夜にはデモ隊と機動隊が衝突した。
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香港国際空港で何があったのか
世界で最も利用者数の多い空港の1つである香港国際空港では、9日以降、デモが続いた。
デモ隊は13日、荷物用カートでバリケードをつくって大規模な座り込みを行い、旅行客の搭乗を妨げた。
一部のデモ参加者は、旅行客に対し、デモによって迷惑をかけていることをわびるメッセージを掲げるなど、デモの大半は平和的なものにとどまっていた。
しかし、報道によると、デモ参加者を装った警官だと疑われた男性が、デモ隊に襲われたことで、事態は一変した。
暴動鎮圧用の装備を身につけ、警棒を持った警官が現場に駆けつけ、デモ隊との衝突へと発展した。
ソーシャルメディアに投稿された映像では、自らの警棒で襲われた警官が、デモ隊に対し、必死に銃を向ける様子が確認できる。
デモ隊は、警官が持っていた警棒を取り上げ、建物の隅に追い詰めた。床に倒れこんだ警官を、別の警官がその場から引きずり出した。
少なくとも別の男性2人も警官だと疑われ、デモ隊に襲われた。
こうした攻撃は、香港警察が12日、反政府デモの対応に、デモ参加者を装った警察官を動員したと認めたことを受けてのもの。
中国国営のグローバル・タイムズはツイッターで、デモ隊の襲撃にあった男性の1人が、同社の記者だったと公表した。
11日に香港市内で起きた警察との衝突では、女性が負傷した。目から激しく流血している女性の写真は、ソーシャルメディアで広く拡散されている。
香港政府の主張
香港政府は14日、空港での暴力行為を非難する声明を発表。デモ隊は「文明社会における最低限のラインを踏み越えた」とした上で、「関与した人物を罰するため」、警察は「厳格に」対処するだろうと述べた。
刑事事件の容疑者を香港から中国本土へ引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改定案をめぐるデモは、6月から続いており、10週目に突入した今も収まる気配はない。
改定案が通った場合、中国政府による香港統治が迫り、香港の高度な自治性が維持されなくなるのではないかという懸念から、デモ隊は改定案の完全な撤回を求めている。