女性器を蒸す「Vスチーミング」でやけど、医師らが警告

Stock image of a clothed woman holding her crotch area

画像提供, Getty Images

カナダ人の女性が、女性器を蒸す療法でやけどを負ったことから、婦人科医らが警鐘を鳴らしている。

カナダの産婦人科系学術誌「Journal of Obstetrics and Gynaecology Canada」に掲載された事例によると、62歳のこの女性は子宮脱を患っており、この療法を行えば手術せずに治ると思っていたという。

熱湯に薬草を混ぜたものの上に座り、蒸気で性器を温めるこの療法は、英語圏では「V(女性器)スチーミング」や「ヨニ・スチーミング」などと呼ばれ、人気を集めている。日本にはよもぎ蒸しやハーブ蒸しと呼ばれる方法がある。

Vスチーミングや外陰部のエステといった女性器のトリートメントは、一部のエステサロンやスパが提供している。

最近では、アメリカのモデル、クリッシー・テイゲンさんがインスタグラムに、「フェイスマスク、ヒートパッド、Vスチーミング。どれが効くか分からないけど、けがはしないよね?」というコメントと共に、Vスティーミングを受けている様子の写真を掲載した。

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Vスチーミングを提供するスパは、この療法はアジアやアフリカで古くから行われてきたもので、女性器の「デトックス」を促すと説明する。

一方、専門家からは、Vスチーミングは危険が伴う可能性があり、月経痛や不妊症が治るといった主張にも医学的証拠はないと指摘している。

英国王立産婦人科医協会で広報を務めるヴァネッサ・マケイ医師は、女性器に過剰な清潔さやトリートメントを必要とだというのは「神話」だと話す。無香料の石鹸で、外陰部の外側だけを洗うのが良いという。

「女性器には良いバクテリアが存在し、保護機能を担っている。女性器を蒸すことでこのバクテリアやpHのバランスが崩れ、かゆみや(細菌性膣炎やカンジダ症などの)感染症、腫れを引き起こす可能性がある。また外陰部など、女性器周辺のデリケートな肌をやけどする可能性もある」

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カナダ人女性の事例はここ数日で多くの医師によって拡散され、Vスチーミングの危険性が取りざたされている。

英シェフィールド在住のナオミ・サットン医師は「女性器スチーミングを奨励するなんて、まったく信じられない。女性器に『トリートメント』が必要だという恐怖を作り出して金もうけしようとしている美容業界による、新しいVスチーミングの事例です」と、この事例を紹介した。 

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カナダ人女性の事例を紹介したマガリ・ロバート医師は、この女性は漢方医の指導の下でこの療法を行おうとしたという。

女性は2日にわたって熱湯の上に20分間座ったが、その後、けがをしたとして救急外来にやって来た。深度II度のやけどを負っており、もともと患っていた子宮脱の手術も、このやけどのせいで遅らせざるを得なくなった。

ロバート氏は、Vスチーミングなど医学に基づかない治療法は、インターネットや口コミで広がっていると話す。

「医療提供者はこうした代替療法の存在を知り、注意する必要がある。女性患者が情報に基づいた選択をして、けがをしないように」