米テキサスのウォルマートで乱射、多数死傷 ヒスパニック系を標的か
米テキサス州エルパソの商業地区で3日、銃の乱射事件があり、少なくとも20人が死亡し26人が負傷した。単独犯とみられる21歳の男が拘束されている。捜査当局は、インターネットに匿名投稿された白人国家主義的な「マニフェスト」が、男によるものか調べている。グレッグ・アボット州知事は、州の歴史でも特に犠牲者の多い日だと話した。
エルパソ警察のグレッグ・アレン本部長は、最初の通報は3日午前10時39分(日本時間4日午前0時39分)に受理したと説明。メキシコ国境に近いショッピングセンター「シエロ・ヴィスタ・モール」に並ぶ小売店ウォルマートの店舗で銃撃事件が発生したという内容で、警官隊は6分のうちに現場に到着したという。
同警察は、20代の白人男性が唯一の容疑者だと発表した。警官隊による発砲はなかったという。
警察によると、襲われたウォルマートの店舗は当時、新学期用の買い物をする客で「満員」だった。アレン本部長は、被害者の年齢は「様々」で、現場の様子は「恐ろしいものだ」と述べた。
警察のロバート・ゴメス報道官は、「我々はウォルマートならびにシエロ・ヴィスタ・モールの安全を確保した。現時点で市民への危険があるとも、銃撃犯がほかにいるとも考えていない」と述べた。
米メディアは、実行犯を「パトリック・クルシウス容疑者」と特定して報道している。エルパソから東に約1000キロにあるダラス近郊アレン市在住という。
米メディアは、銃撃犯の様子とみられる店内防犯カメラの映像を放送している。映像では、暗い色のTシャツを来た男が防護用のイヤーマフをはめ、自動小銃のような銃を構えている。
エルパソ警察と連邦捜査局(FBI)は、オンライン掲示板に投稿された匿名の白人国家主義「マニフェスト」が、銃撃犯によるものかを調べている。この文書は、今回の襲撃は地元のヒスパニック系住民を標的にしたものだと主張している。
被害者の身元はまだ公表されていないが、ロイター通信によるとメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領はメキシコ人3人が死亡したと明らかにしている。
テキサス州のアボット知事は、「私たちは州として一丸になって、被害者とその家族を支える。私たちは今日ひとつの行動を実践し、また明日もひとつ行動し、これから毎日毎日、その日にすべきことを実施し続けなくてはならない。私たちは団結しなくてはならない」と強調した。
エルパソ警察はツイッターなどソーシャルメディアを通じて、「輸血用の血液が緊急に必要です。複数の負傷者が各地の病院に搬送されました」と、市民に献血への協力を呼びかけた。
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事件発生当時にショッピングセンターにいたという男性は、米CBSニュースに対して、「従業員がこちらに向かって、銃声が聞こえたと言った。大勢の人が隠れようと店の中に駆け込んできたと。自分は精一杯、慌てないようにしていたが、内心はパニックしていた」と話した。
キアナ・ロングさんは夫ケンダルさんとウォルマートにいて、最初に銃声を聞いた。
「大勢がパニックして、銃撃犯がいると言いながら走っていた」と、ロングさんはロイター通信に話した。「姿勢を低くして走ったり、床に伏せたりしていた」。
ロングさんと夫は店の倉庫に駆け込み、他の客と金属性の入れ物に隠れたという。
グレンドン・オークリーさんはCNNに対して、ショッピングセンターのスポーツ用品店にいたところ、子供が1人駆け込んできて「ウォルマートに銃撃犯がいる」と言うのを聞いたと話した。
最初は誰も子供の言うことを真に受けなかったものの、まもなくして2発の銃声が聞こえたという。
「ともかく子供たちを避難させなくてはと、そればかり考えていた」とオークリーさんは話した。
ウォルマートは、「悲劇的な出来事にショックを受けている」とツイートし、「捜査当局と緊密に連携している」と述べた。
政界の反応は
エルパソのディー・マーゴ市長はCNNに、「こんな悲劇がエルパソで起きるなど、まったく一度も考えたことがなかった。すさまじくつらい」と話した。
ドナルド・トランプ米大統領は事件について、現場からの報告は「とても悪い、大勢が殺された」とコメントした。トランプ氏はかねて銃所有権を擁護し、不法移民対策や国境警備の強化を掲げている。
トランプ氏はさらにツイッターで、「テキサス州エルパソでおきた本日の銃撃は悲劇だというだけでなく、卑怯な行為だった。今日の憎むべき行為をこの国の全員と共に非難する。無実の人の殺害を正当化する理由は良いわけなど、決してあり得ない」と書いた。
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Twitter の投稿の終わり, 2
エルパソ出身で民主党から2020年米大統領選に出馬しているベト・オローク前下院議員は、選挙活動の予定を変更し、遊説先のラスヴェガスから地元へ戻った。
事件発生の知らせを受けたオローク氏は出席していた労組関係の集会で、銃規制改革は「放っておけば自然となんとかなる」などという幻想は打ち砕かれたと言い、「いまエルパソでは大勢が負傷し、大勢が苦しんでいる」と述べた。
同様に民主党から大統領選に出馬しているコーリー・ブッカー上院議員(ニュージャージー州選出)は、こうした乱射事件は「しょちゅう起きるものだと(アメリカは)受け入れつつあるようだ」と話した。
一方で、テキサス州のケン・パクストン州司法長官は、銃規制を強化しても今回のような銃撃事件は阻止できないだろうと述べ、「頭のおかしい」銃撃犯が攻撃を開始した時点で警官がそれを阻止できるはずもないとCBSニュースに話した。
「最善の備えは自衛することだ」とパクストン氏は述べた。