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政・官攻防幕開け 民主、消費者庁長官交代検討

2009年9月2日3時0分

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写真就任会見する消費者庁の内田俊一長官=1日午後4時52分、東京・永田町、水野義則撮影

 麻生内閣は1日、消費者行政を担う消費者庁を発足させ、初代長官に旧建設省OBの内田俊一・元内閣府事務次官を就任させた。だが、民主党は政権交代直前のスタートを「駆け込み」と批判し、「脱官僚政治」の観点から内田氏の交代を検討中だ。消費者庁をめぐる攻防が民主党政権下の「政官バトル」の第1幕ともなりそうだ。

 「公務員で大丈夫か、という不信の声は大変重いと受け止めたいが、消費者庁長官に与えられた責務をかみしめながら、国民の信頼に応えられる消費者庁にしたい」。1日夕、初会見に臨んだ内田氏は、民主党が長官人事に異論を唱えていることへの見解を問われ、慎重に言葉を選びながらこう答えた。

 新政権が人事を見直した場合、従うかどうかについても「私が今の段階でどうこうお答えすべきことではないと思います」と言葉少なだった。

 この時期の消費者庁発足について、現政権はむしろ、民主党の国会対応のせいで遅くなったと批判している。麻生首相は1日、消費者庁と同時に発足した有識者による監視機関「消費者委員会」の初会合であいさつし、「内閣総理大臣を昨年9月拝命し、一番最初にいくと話していたら最後の最後までかかった」「(民主党に)審議に応じていただけなかった」と語った。

 民主党の仙谷由人元政調会長が8月上旬、河村官房長官に「仮に我が党が勝ったら、実質的に権力の座からいなくなった人が辞令を出して政令を公布する。珍妙な話だ」と発足時期の見直しを求めたが、首相は応じなかった。

 だが、民主党にとって、官僚OBの起用は「官僚主導政治からの脱却」という党の基本方針にそぐわない。鳩山代表は8月31日、記者団に対し、「我々が政権をとった暁には、もっともっといい人事ができた」と述べ、「(内田氏交代の)可能性は残っている」と明言。福山哲郎政調会長代理は1日、朝日新聞の取材に対し「新政権として、消費者庁発足が早まったことや長官決定の過程を検証し、見直すべきところは見直す」と述べた。

 野田消費者担当相は1日の記者会見で、内田氏の起用について「自民党支持者だからと選んでいるわけではなく、手堅い人事だ」と強調。「民主党に国民はもっと違うことを求めている。そっちにエネルギーを注いでいただかないといけない」と皮肉った。

 消費者庁幹部も「国家公務員法で長官の身分は保障されており、人事の見直しは法的には簡単ではないはずだ。外部からの政治的な圧力で辞めさせることができるのか」と民主党の姿勢に疑問を投げかける。

 一方、民主党は徹底して行政の「無駄遣い」をなくす方針を掲げている。消費者庁が入居する東京・永田町の首相官邸近くの高層ビル(4〜6階、計6千平方メートル)の年間賃料は8億円にのぼり、見直しの俎上(そじょう)にのぼりかねない。この点について、消費者庁幹部は霞が関周辺で職員200人が働ける事務所が他になかったためと説明している。

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