「BLUE GIANT」は演奏中にしゃべらない。(小原篤のアニマゲ丼)

有料記事小原篤のアニマゲ丼

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 私「ライブシーンで聴衆の感想も奏者のモノローグもほとんど入れませんでしたよね?」

 立川譲監督「主人公たちが懸命に音楽で伝えようとしていることを言葉にしてしまうのは安易ですから。実は迷ったんですけどね。でも言葉で表現せず、映画を見るお客さんに委ねることにしました」

 17日から公開中のアニメ映画「BLUE GIANT」は、ジャズにかける10代の若者3人の出会いと成長の物語。全編の1/4をライブシーンが占めますが、立川監督の言葉通りもっぱら音楽と映像に語らせます。禁欲的とも言えますが、大胆かつ野心的で、観客にとっては集中し没入する喜びを味わえるぜいたくな時間でもあります。

 原作は、「岳 みんなの山」で2008年に第1回「マンガ大賞」(同賞実行委員会主催)を受賞した石塚真一さんが13年から連載している人気マンガ。仙台に住む中学生の宮本大がジャズと出会うところから始まる「BLUE GIANT」、欧州に渡る「BLUE GIANT SUPREME」、本場米国に乗り込む「BLUE GIANT EXPLORER」と続き、累計発行部数は920万部を誇ります。

 長い原作から立川監督とプロデューサー陣が映画に選んだのは、仙台でサックスの猛特訓を積んだ大が上京してから日本を旅立つまでのパート。高校時代の友人でドラム初心者の玉田、圧倒的なテクニックで既にピアニストとして活動を始めている雪祈(ゆきのり)の2人とトリオを組み、日本一のジャズクラブ「So Blue」に10代で出演することを目指す物語です。

 「1本の映画として、約2時間でドラマを描くとなると、仙台編から始めるのは難しかった。テレビアニメならぴったりのいいエピソードがたくさんあるんですけどね。迫力あるライブを映画館のいい環境で体感してもらうというのが映画の狙いですから、3人が東京のステージに立つ物語というのはかなり早い段階で決まりました」

 「ただ、大のキャラクターが…

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