「つげ義春流れ雲旅」完全版で復刊 半世紀前の単行本に続編も追加

小原篤
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 漫画家つげ義春の絵、アサヒグラフ編集者(当時)大崎紀夫の文、北井一夫の写真による紀行『つげ義春流れ雲旅』が、刊行から半世紀余の今月20日、続編を加えた“完全版”として復刊された。昨年11月に3人が集まった座談会も収録されている。

 下北半島へ雲を見に行き、北陸の雪景色を楽しみ、四国でぶらりお遍路旅――。ひなびた日本の原風景をたどる6度の旅行は1970~71年にアサヒグラフで連載された。つげが絵・文・写真を全て担当した回もある。71年の単行本刊行後に3人が他誌に載せた2度の紀行などを加え、完全版とした。

 現在85歳のつげはこの旅について、座談会で「忘れてるのが多いですね。とにかくどんどん忘れるばっかりでね。でもそれが、死ぬ場合、大事なのかもしれない」と独特の言い回しで振り返った。

 朝日新聞出版、A4判320ページ、2860円。小原篤

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