立憲、安全保障強調の公約発表 衆院選敗北受け路線転換図る

立憲参院選2022

藤崎麻里
[PR]

 立憲民主党は3日、参院選の公約を発表した。公約の柱で「着実な安全保障」を掲げ、ウクライナ情勢で関心が高まる防衛力の整備を強調。これまで主張してきた安全保障法制の「違憲部分の廃止」は公約の末尾に触れるにとどまった。立憲は昨年の衆院選で敗北。従来路線からの転換を図る泉健太代表の意向が反映された形だ。

 公約では、与党との対立軸を示そうと、アベノミクスからの脱却をうたう物価高対策、教育無償化、着実な安全保障を3本柱に据えた。泉氏はこの日の会見で「経済、産業、安全保障を正面から語り、国民に信頼していただける政党でありたい」と述べた。

 安全保障分野は党内で立ち位置が幅広く、防衛力強化に慎重な議員も多い。こうした中、「弾道ミサイル等の脅威への抑止力と対処能力強化を重視」するほか、宇宙やサイバー、電磁波などでの能力強化、情報戦を含む相手戦力の無力化に向けた研究開発の加速を明記。防衛費についても、泉氏は会見で「真に必要な防衛力を整備する結果、当然増えることもある」と踏み込んだ。

 一方、「野党共闘」の原点だった安保法制の「違憲部分の廃止」は、公約末尾の「主な政策項目」に小さく盛り込むだけとなった。小川淳也政調会長は「国防の充実、強化に矛盾するととられかねず、わざわざ重点政策に掲げることは控えた」と明かす。

 「鬼門」(党関係者)とされてきた安全保障で、これまでの姿勢からの転換を図る背景には、参院選を控え「保守層の票を取らないと勝てない」(中堅)との思いがある。ただ、公約決定にあたっては全所属議員を集めた政策懇談会を2回開いたうえ、項目を「着実な安全保障(対話による平和)」とするなど、慎重派への配慮も見せた。

 また、公約に泉氏肝いりの「生活者目線」を反映しようと、公募した政策も加わった。法律の制定と改廃や問題のある国の支出の検査を国民が求めることができる制度の創設で、泉氏は「有効に機能させられれば新たな市民参加になる」と意気込んだ。藤崎麻里

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2022年6月3日23時32分 投稿
    【視点】

    立憲民主党のホームページに、政策の全体像が掲載されています。メーンのキャッチコピーは「生活安全保障」。その説明によると、「国家の平和から経済、暮らし、雇用、教育、食料、エネルギー、デジタル、社会保障、全てに関わる概念」である安全保障を生活の

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2022年6月4日8時30分 投稿
    【視点】

    「与党との対立軸と示そう」としながら、そう違っていません。安全保障分野では難しいのかもしれませんが、政府や自民党と同様に「抑止力」を強調しているところは特に問題です。公約を見ると「平和憲法に基づき、専守防衛に徹しつつ」とありますが、防衛力を

    …続きを読む
参院選2022

参院選2022

ニュースや連載、候補者の政策への考え方など選挙情報を多角的にお伝えします。[もっと見る]