第1回「権威主義」中国とどう向き合う 日米首脳会談の行方は

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 菅義偉首相は16日(米国時間)、バイデン大統領との首脳会談に臨みます。会談では、気候変動問題なども協議しますが、米国が対決姿勢を強める中国にどう向き合うかが中心議題になりそうです。バイデン氏にとって最初の対面での首脳会談の相手が菅首相。それは日本が米中対立の最前線に飛び込むことを意味します。ワシントン駐在経験を持つ外交・安全保障担当の佐藤武嗣編集委員が2回に分けて、見どころを解説します。初回は①「民主主義」と「権威主義」との対立②人権問題③台湾海峡問題です。

「権威主義」中国へのメッセージに注目

 日米首脳会談では、国際社会で退潮しつつある「民主主義的価値」の重要性を再確認し、自由や平等、基本的人権の尊重といった民主主義をかたちづくる基本的な考えをどう推進していくかが議題になります。

 菅首相は、日本が外交方針に掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想を通じ、アジア地域を中心に、法の支配や航行の自由、自由貿易を促進していくことを強調し、日米連携の確認をめざすとみられます。

 念頭にあるのは中国です。バイデン大統領は3月25日の記者会見で、米中対立を「21世紀における民主主義国家と専制主義国家のの有用性をめぐる闘い」と強調しています。米国には、国際社会で自らが牽引(けんいん)してきた「民主主義」が退潮し、中国やロシアなど「権威主義」国家が台頭しつつあるという国際社会の変化に強い危機感があるからです。

 3月18日に米アラスカ州で行われた米中外交トップの会談でも、中国の楊潔篪(ヤンチエチー)共産党政治局員は「米国や西側諸国が国際世論を代表することはない」と米国を牽制しました。米国から新疆ウイグルや香港での人権問題を批判されても、米国内での黒人差別を取り上げて反論。トランプ前政権での国連軽視を念頭に「中国が従うのは、国連を中心とする国際システムだ」と国際機関は中国に味方しているとの自信もみせました。

 実際、中国の香港国家安全維持法を審議した昨年の国連人権理事会で、英国が呼びかけた「批判」声明に賛成したのは日本など27カ国。これに対し、国安法を事実上「支持」したのはエジプトサウジアラビア北朝鮮など50カ国以上にのぼり、多数を占めました。

 こうしたなか、日米両首脳がどういうメッセージを出すのか、注目されます。

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