「日本人」になった親方たち 角界に欠かせない異国の力

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波戸健一 松本龍三郎 鈴木健輔
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 「日本文化の継承」をうたう大相撲で、外国出身親方の存在感が増している。名門部屋の師匠が生まれ、現役横綱も親方になる見込み。ルールに従って「日本人」になった彼らの力が欠かせない時代だ。

 佐渡ケ嶽部屋から独立して丸4年、ブルガリア出身の元大関琴欧洲(38、鳴戸親方)が率いる鳴戸部屋に活気がある。力士は相撲強豪校出身者ら14人。近大出身の欧勝竜(おうしょうりゅう)は序ノ口デビューから1年半で十両昇進を狙える幕下上位まで来た。

 日本に地元や出身校がないとスカウトで苦労すると言われる角界で、有望な弟子を増やしている。背景にはSNSの活用がある。

 例えば朝稽古や催しのライブ配信。「SNSを見て体験に来てくれる子もいる。コロナ禍でファンと触れ合えないので、SNSの発信回数は増やしている」と鳴戸親方。視察先の稽古場でまわしを締め、学生らに胸を出して熱意を伝えることも。部屋の稽古場では天井に付けたビデオカメラで稽古を録画し、力士の研究に役立てている。

 独立当初、ある高校の指導者から「何しに来た。うちは○○部屋って決まっている」と追い返されたという。だが、睡眠時間を削って足を運び続けた努力が実り始めている。鳴戸親方は「人生をかけて弟子と成長する毎日です」と話す。

 日本相撲協会が親方になる条件に「日本国籍を有する者に限る」と加えたのは1976年。米ハワイ出身の高見山(後の東関親方)が幕内で活躍していた時期だ。理由は明らかにされていないが、外国出身者では伝統やしきたりの指導がおろそかになることを懸念した、などと指摘されてきた。

 100人余りいる親方のうち44ある相撲部屋を運営する「師匠」は、横綱6人が在籍した伝統ある高砂部屋を継承したモンゴル出身の元関脇朝赤龍(39)で外国出身者は5人に増えた。

 誰もがすんなり「日本人」に…

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