しりあがり寿さん、冨嶽三十六景のパロディーを伝授

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山根由起子
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 東京・六本木国立新美術館で開催中の展覧会「古典×現代2020」で、漫画家のしりあがり寿さんが、江戸時代葛飾北斎「冨嶽(ふがく)三十六景」をパロディーにした作品を出品している。オリジナルの作品に手を加えてより面白くしちゃおうというパロディーの極意っていったい何だろう。8月半ばのオンラインワークショップ「北斎と遊ぼう!」で、パロディー作品に挑戦した小中学生に伝授したコツをたどってみた。

 しりあがりさんが出品している「ちょっと可笑(おか)しなほぼ三十六景」(2017年)は、北斎の「冨嶽三十六景」に現代の風物事象をうまく取り込み、クスッと笑いたくなる作品だ。スマホドローン、ロボットが登場したり、背広姿の疲れたサラリーマンがいたりなど、新旧の組み合わせが絶妙だ。

 オンラインワークショップは、この「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」に、描き足したり、コラージュしたり、吹き出しを加えたりしてパロディー作品を制作する企画。Web会議ツールZoomを使って、しりあがりさんと、各地の6組8人の小中学生たちをつないで実施。事前に制作した作品を、しりあがりさんが講評した。

しりあがり寿(ことぶき)

 漫画家。1958年、静岡県生まれ。キリンビールで広告宣伝などを担当するかたわら、漫画家としての活動も開始。94年に退社。「弥次喜多 in DEEP」で2001年に第5回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞。東日本大震災や原発をテーマにしたアンソロジー「あの日からのマンガ」(11年)では第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。朝日新聞夕刊で「地球防衛家のヒトビト」を連載中。

 冒頭で、北斎としりあがりさんの作品を比較して見せた。

赤富士が男前に

 有名な赤富士を描いた北斎の「凱風(がいふう)快晴」(写真①)。これがしりあがりさんの手にかかると、「髭剃(ひげそ)り富士」(写真②)となり、富士山もさっぱりと「男前」にヘンシーン。

 「最初は青い部分が、海苔(のり)かなと思ったんだけど、結局、髭にしました」と説明。極意は……。

 「正反対のものをもってきちゃう。さかさまのものをいっしょにしたら面白いでしょ。普段からいろいろなものを見て頭の中に入れていなくちゃいけないね」とアドバイス。

 「古いものに対して新しいもの。浮世絵の名作に対して、今、生活で使っているもの。富士山みたいな大きなものに対して、ちっちゃな髭剃り。大きいものと小さいもの、昔のものと現代のものを入れています」。なるほど!

 さて、子供たちの発想は……。

 カミソリで山肌に血が流れ…

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