この人出てた…?都知事選ポスターに別人、選管の見解は

2020東京都知事選挙

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 7月5日投開票の東京都知事選で、都内約1万4千カ所に設置されるポスター掲示場。多くの有権者の目に触れるだけに、各候補者ともポスターに様々な工夫を凝らす。本人ではなく、別人の写真だけを載せたポスターもあり、有権者からは疑問の声も上がる。

 「たりないのは愛とカネだ」「15兆円であなたを底上げ!」。れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)の陣営は26日、そんな文言を入れたポスターに貼り替える作業を始めた。これまでは「あなたはすでに頑張りすぎている」とうたったポスターだったが、「より具体的な主張を入れた方がいい」との判断からだ。「ポスター貼り換え大作戦!!」と銘打って、支援者らの士気高揚の狙いもあるという。

 「島の命と暮らし 産業を守る!」。現職の小池百合子氏(67)は、島嶼(とうしょ)部の自治体限定でそんなキャッチフレーズのポスターをつくった。23区や多摩地域で貼ったものは「東京の未来は 都民と決める」のフレーズで、2種類のポスターを使い分ける。その理由について、陣営幹部は「これまで島部振興に力を入れてきた小池氏の思いは変わらないということを伝えたかった」と明かす。

 ポスターに4年前の写真をあえて使ったのは、元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)だ。2016年の前回都知事選では、告示日前日に立候補を断念。当時の野党4党が「統一候補」と位置づけた鳥越俊太郎氏の出馬表明を受けた「苦渋の決断」だった。宇都宮氏は「当時応援してくれたみんなの思いがこのポスターにはこもっている」と話す。18日の告示日には自らの手でポスターを貼った。

 元熊本県副知事の小野泰輔氏(46)のポスターには、推薦を受ける日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事の写真も掲げる。「知名度の高い吉村さんはうってつけ」と陣営担当者。ただ、ポスターの肩書は「前副知事」のみだ。都選挙管理委員会から「東京都の副知事と誤解する人がいるのでは」と指摘されたが、「なぜ都知事選に出るんだと疑問に思う人もいるので熊本県は省いた」と話す。

 NHKから国民を守る党の党首立花孝志氏(52)は今回、政治団体「ホリエモン新党」公認で立候補。立花氏を含め3人が同団体から立候補しているが、ほかの2人は本人の名前や顔写真は使わず、実業家の堀江貴文氏の写真を載せた。堀江氏の写真が立花氏を挟む形で掲示している。届け出順がくじ引きになる早い時間は避け、3人連続で届け出た。立花氏は「新党の認知度を高めるため」と話す。

堀江氏写真入りポスター、選管に問い合わせ相次ぐ

 東京都選挙管理委員会によると、選挙ポスターは規定のサイズにおさめ、掲示責任者と印刷者の住所・氏名を記せば、候補者名は記さなくてもよい。古い写真を使うことも似顔絵を使うことも、公職選挙法上は問題ないという。

 ただ、候補者本人ではなく堀江氏の写真を使ったポスターについて、都選管には「貼り間違いでは」「法律がおかしい」といった問い合わせが告示日以降、100件以上あったという。

 公職選挙法に詳しい只野雅人・一橋大教授(憲法)は「ポスターは候補者の訴えを示すものだが、有権者に誤解を与えないように、一定のルールを設けるべきだ。有権者が投票先を判断する上で、候補者の名前は必要最小限の情報で、ポスターへの候補者名の記載は義務付けていいのではないか」としている。

(届け出順、年齢は投票日現在)

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