オマーン国王死去、独自の中立外交展開 イランとも良好
ベイルート=北川学
中東オマーンのカブース・ビン・サイド国王が10日夜、死去した。国営通信が報じた。79歳だった。がん治療をベルギーで行い、昨年12月に帰国していた。11日にオマーンを含む中東歴訪に出発した安倍晋三首相とは、2014年1月に面会していた。
カブース国王は1970年、宮廷クーデターで父のサイド前国王を追放して即位。宗派を問わない公務員人事制度を導入し、自身が属するイスラム教イバード派とスンニ派、シーア派のバランスに配慮した。
また、一貫して周辺国の紛争から距離を置き、「中東のスイス」と呼ばれる独自の中立外交を展開した。80年には米国と防衛協定を締結。サウジアラビアが主導する湾岸協力会議に加盟する一方で、イランとも良好な関係を維持した。核開発問題をめぐるイランと欧米などとの交渉では、秘密協議の場をたびたび提供した。(ベイルート=北川学)
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