乳児の腕をかんだとして傷害罪に問われた母親(21)について、大津地検が起訴を取り消す申し立てをしたことが関係者への取材でわかった。母親の弁護人によれば、乳児の腕に残っていた母親の歯型とされた鑑定が誤っていた可能性があるという。

 被告となった母親は大津市内在住。起訴状によると、昨年8月下旬~9月上旬、生後1カ月の男児の左腕にかみつき、全治約1週間のけがを負わせたとして傷害罪で起訴された。

 関係者によれば、滋賀県警が実施した鑑定で、乳児の腕に残るかまれた痕は母親の歯型とみられるとの結果が出ていたという。母親は捜査段階でいったん自白したが、初公判で起訴内容を否認していた。

 1月28日の第2回公判に、証人として出廷した県警の鑑定官が、母親の歯型と乳児の腕に残る痕が一致しない可能性があると認めた。母親の歯型を別人の歯型と取り違えたのが理由とみられるという。母親は翌日、勾留が取り消され、釈放されていた。

 弁護人によると、大津地検から8月中旬ごろ「公訴を取り消す方針」という趣旨の電話があったという。(新谷千布美、安藤仙一朗)